愛情のジャムセッション①
ファーストキスは、男だった。
これは、あくまで俺、世永利 蓮弥の場合の話しだ。
小学4年の時だった。
マンションの隣に引っ越してきた、かずくんは、俺と同い年で同じクラスだった。
同じサッカークラブに入ったこともあり、俺達が、仲良くなるのに、そこまで時間はかからなかった。
親同士も仲が良く、中学にあがる前までは、なんでも話せる友人がいることに俺は少し誇りに思っていたんだ。
あの日までは。
学校から、一人で帰って来た俺は、隣のかずくんの家が騒がしいことに気づいた。
同じ服を来た大人達が、何人も家具を運んでいた。
俺は、自分の家に荷物を置いて、かずくんの家に行った。
家に入ると、かずくんの親は、いつも通りで、かずくんの部屋に案内してくれた。
──ガチャ
「かずくん?」
「れんくん、僕、引っ越すことになったんだ。」
かずくんは、僕を見るなり抱き締めて、泣いていた。
「え…急だね。どこ?近いの?」
「んーん。すごく遠いとこ。もう会えないと思う。だから…ね?座って?」
かずくんの声は震え、今にも泣き崩れそうだった。
かずくんは、自分のベッドに俺を座らせて、目の前に立った。
「ねぇ、目を閉じて?」
かずくんは、悲しそうに笑っていた。
俺はいなくなってしまう親友の願いを受け入れて、言う通りに目を閉じた。
その時の俺も泣いてしまいそうだったから、だから、目を閉じてしまったのかもしれない。
何か大切なもの、友情の証あかしでも貰うのかな。なんて、そう思っていた。
──ちゅ─
俺と、かずくんの唇くちびるが重なった。
俺は、ビックリして目を開け、かずくんの肩を押し倒した。
「な、なにすんだよ。」
かずくんは、床に腰をついて嬉しそうに笑っていた。
俺は、その時どう思っていたんだっけ?
もう覚えていない。
それから、すぐに家に帰って俺は布団にくるまった。
唇の柔らかさが…
かずくんのあの笑顔が…
胸の高鳴りが…抑えられなかった。
そのまま、いつのまにか俺は寝てしまい。
それから、かずくんとは会っていない。
俺は、中学生になって彼女ができた。
と言っても、友達のなりゆきだった。
最低な奴だ俺は。
彼女は、とてもいい子で俺のことを好きだと言ってくれた。
思春期の頃だった、あいつお前のこと好きらしいぜ、なんて意識して勘違いで付き合ってしまった。
でも、その時の俺は女の人にそもそも魅力を感じていなかったんだと思う。
〝魅力〟という言葉が正しいのか今でもわからない。
しばらくして、正直に話した俺に
「最低」
なんて言われて頬を叩かれたのを覚えている。
それから、俺は友達とも距離を取られる様になっていった。
当たり前だ。
それが人の心をもて遊んだ俺の罪なのだから。
学校にも、少しずつ行かなくなって年の離れた兄の影響もあってか1日中、音楽を聞いていた。
長い1日、毎日気が病んでくる日々だった。
そんなある日、俺はあるアーティストを知り、その言葉を知った。
『好きなものを好きと言うために他をけなす必要はない』
自分は、まだ、ここにいていいんだ。
涙が溢れそうになって、そう思えたんだ。
彼の影響で俺は、また学校へ行く条件で、ギターを買って貰った。
親父おやじには、最初ぶん殴られたが、なぜか、良いギターを買ってもらった。
cobraのJS 10万ぐらいして、母ちゃんに、親父は、怒られていたのを覚えている。
久々に行った学校は、はっきり言って最悪だったが、仲良くしていた一人が話しかけてくれて、時間が立つにつれて、そのうち俺は昔のいたグループに戻っていた。
俺は、考えすぎていただけなのかもしれない。
自分のしたことは、最低のことだったのかもそれないけれど、自分を卑下ひげしすぎて、落ち込んで前を見れなきゃ意味がない。
俺の〝好き〟は他人にかってに比較できていいものじゃないし、俺のものだ。
俺は学校の帰りにギター教室に通うようになった。
毎日ギターを担いで、学校へ登校して、音楽教室に行く。
そのルーティンが日常化していたある日、楽器屋で、バンド募集の貼り紙があることに気づいた。
バンドは、いずれしたいと思っていたしギターもそれなりに弾けるようになっていた頃だった。
俺は、意を決してバンド募集の一番近い年齢の人達に連絡をして見ることにしたんだ。
そこで出会ったのが、俺の人生で忘れられない人。




