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俺達のチューニング 3

俺は、気を失っていたらしい。

姫の細い腕にあんな力があったなんて、やたら腰が入っていたあいつは、の拳はボクシングの才能もあるのかもしれない。


スタジオの受付前にある、ベンチで俺は(ひめ)に膝枕されていた。

「す…すまねぇ。」


そう言っておしぼりを俺の殴られた(ほほ)に当ててきた。


「で、お前はなんで、いつも俺を殴るんだ?」

俺は起き上がり、事の経緯(けいい)を聞くことにした。


「違う、お前も悪い。」


俺は、一旦深呼吸をした。

「はいはい。俺も悪かった!じゃ教えてくれ。」


「雄太が一緒に寝たとか言うから。」

俺は、辺りを見回した。

物陰から隠れて俺達を見ている3人の姿がそこにはあった。


「ごめん、ごめん。姫が勘違いして行っちゃうもんだから。ははは」

愛想笑(あいそわら)いをした雄太が出てきてそう言った。


「ほんとなら、近藤さん。仲間っすね。」

二人もでてきて、蓮弥(れんや)が言った。


どうやら、勘違いだったらしい。

雄太を取られるとでも思ったのか。

それか俺に失望して、こういった行為に及んだのか。

ま、どちらにしても、行動が先に行きすぎてるな。


「姫、お前暴力禁止な。」


「なんで、あーしそんなに悪いことした!?」


「した!!約束だからな!」


俺は、半ば強引に姫に暴力禁止令をだして約束してもらったのだった。


俺達は、残りの時間練習する為、またスタジオへと入り、ドラムの蒼馬を紹介した。


「それじゃ、練習するぞ。」

俺達は、準備をし雄太はドアの前の定位置へと座った。


「とりあえずコピー曲するか、まだオリジナル曲渡したばかりだしな。」


たまには、違うジャンルもいいなぁなんてそんな話して、お互い知っている曲を共有した。


「え!?あーし嫌だ!絶対やだ!」


「まぁいいじゃねぇか、たまにわ。」

俺は、マイクを姫に近付けた。


「殴った罰だ。」


俺から、ギターを鳴らした。


曲は、

邦楽

ジュディ・アンド・マリー

オーバー ドライブ


俺のギターから、姫が合わせてくる。

ドラムとベースが後から入り、合わさって、姫が嫌々歌いだす。


流れるメロディが、歌声を引き立たせる。


めちゃくちゃ上手いわけでもないが、いい声だな。

俺と蓮弥は、顔を見合せ、リズムに合わして身体を揺らす。

姫はそれを見て吹き出して、蒼真は笑ってドラムを叩いていた。

やっぱりメインギターも悪くない。

ギターに集中できてアドリブを入れるのが楽しい。

オリジナル曲がなかったら、姫をメインボーカルにしたいぐらいだった。


演奏が終わった時に姫が一言。

「コーラスぐらいならやってやるよ。」

思いの(ほか)、気持ちよかったんだろう。


その後、何曲かコピー曲をして、その日の練習は時間がきた。

俺達は、また2日後に練習予約をして解散することにした。



そして、いつもの様に俺は屋上に上がった。


──ガチャ


「今日も、青いな空は。」

空は、雲一つない快晴だ。

だが少し肌寒くなってきていた、そう思いながら、タバコに火を着ける。


「あたりめぇだな。晴れてりゃ空は、大概青い。」

後から入ってきた、姫も一緒にタバコに火を着けた。


「そういえば、お前なんで駅にいたんだ?」


「雄太に聞いたから。つか、あーしこのスタジオから10分で家着くし。」


そうか、だから拓史の時も、こいつが早く着いたのか。

俺は、姫のことを、まだ何も知らない。

そう感じていた。


「お前一人ぐらしなのか?」


「まぁ一応。親にお金は、だしてもらって…」

モゴモゴと途中から声が小さくなり、姫は、下にうつむいた。


「そうか。」

こいつは、こいつの事情があるからな…。


「今度、お前の家でみんなで集まるか。」


「やめろ!あーしの家が、たむろ場になるのは、嫌だからな!」

そう言って姫は、タバコを消して怒って下へと降りていった。


そんな、つもりはなかったが男4人で女の子の部屋におしかける。

ってのも、なかなかそう考えると危険な気がする。


ガールズバンドがたまにいるが、今まで俺は同じ仲間だと思って男同士の様に話していた。

気をつけたほうがいいのかもしれないな。


俺は、タバコの火を消し下へと降りた。


スタジオの前を通ると、姫と雄太が待っていた。

蓮弥と蒼馬は、先に帰ったようだった。

「ちひろくーん。今からご飯行こ。」


「おぅ。いいぞ。姫も来るのか?」


「今日は、あーしも行って見張っとく。」

そう言って姫は、ギターを担いだ。


「なぁ、俺のギターとエフェクター、姫の家に置いててくれないか?」


「ヤダ!あーしの家は、物置きじゃねぇ。」


俺達は、居酒屋みかんへと向かった。

まだ、17時だって言うのに外は暗くなってきていた。

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