冬
雪は白く降り積もる
どこまでもどこまでも
雪が降った
昨夜遅く降り積もった雪は
朝になったら溶けていた
今朝の気温は氷点下
日陰にはまだ少し白く残っていて
積もる程度には降ったのだと思わせた
夏には青々していた木々も
すっかり鳴りを潜めていて
冬を耐え忍ぶのだと言わんばかり
地面の草花には霜が降りていて
アスファルトを歩くとパリパリ音がする
転ばないようにゆっくり慎重になる
氷を手に
騒がしく駆けていくランドセルの群れ
寒いのに元気だなぁと思いつつ
僕は口元までマフラーを引き上げた
そういえば自分も
子どもの頃は同じ事をしてた
あの頃は隣にいた君に諌められながら
ふざけて転んで怒られたりしてたっけ
ふと寂しくなって隣を見る
君がいなくなって3度目の冬
弾ける笑顔も
怒った顔も
涙で濡れた横顔ももういない
最初は電話もLINEも毎日してた
忙しさにかまけて今は
それすら月に数回程度
心にぽっかり空いた穴は
埋まるどころか広がるばかり
雪が降り積もり
北風が吹き荒ぶ
それを溶かしてくれる君は
今はもう隣にいない
また一段と寒くなった気がして
コートで耳まで覆い隠した
ふとポケットに入れていたスマホが震える
立ち止まり確認してみる
『春になったら帰れるよ!!』
暖かい風が吹いた気がした
まだまだ雪解けには程遠いけれど
確かに感じた春の息吹
『了解』
とだけ短く打って
仕舞って再び歩き出す
春よ来い
早く来い
かの童謡を口遊みながら
白き冬は続けども
いつか来る雪解けに君想う
未だ遠き春を待ち侘びて
ということで今回は『冬』でした。
一応次回で完結予定です。
また次回…♪