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夏の君は花火のように儚くて

夏の風に

風鈴が鳴る


暑さと湿気が

肌に吸い付くような粘りを帯びた空気の中で

せめて音だけでもと

涼やかに軽やかに

チリンと体を震わせながら


「お待たせ」


その言葉に振り向く

息を呑んだ


いつもと違う

大人びた雰囲気の君がそこにいた

藍色の浴衣

足元には赤、ピンク、紫の

色とりどりの紫陽花を咲かせて


「何とか言ってよ…」


照れながら拗ねる君に


「似合ってる」


精一杯絞り出した言葉


二人並んで歩き出す

道行く人も

目的地はきっと同じ


駆けて行く小学生達

腕を絡ませ歩くカップル

父親に肩車してもらいながら歩く親子

手を繋いで歩く老夫婦


目的地は同じでも

それぞれ違う想いのカタチ


辿り着いた川沿いの神社

境内は人と屋台で大賑わい


「離れないで」


差し出す手は

小さな手がそっと握り返す

触れられた所が熱くなる

そしてそのまま喧騒の中へ


「どうしようか」


屋台を見ながらじっくり吟味

唐揚げ、射的にリンゴ飴

美味しそうな楽しそうな雰囲気を醸し出す


その中の一つ

綿あめを手に君はご満悦

袋を取って齧り付く


鼻まで付いた綿あめに

変わってないなとクスリと零れる笑み一つ


「今笑ったでしょ」


怒る君にはこの言葉


「鼻に付いてる」


焦る君を見てまた笑う

その時だった


"ドーーーン"


と一つ音が鳴る


地響きがするような

お腹の中から音がするような


見上げた夜空

大きく開く大輪の花

キラキラと

無邪気に輝く横顔


大きく咲いたり

小さく咲いたり

たくさん咲いたり


黒い夜空のキャンパスに

色とりどりに咲く花火


「綺麗だね」


ふいにこちらを向く横顔

花火に負けない

大輪の笑顔を咲かせて


「また来年も…」


そう言いかけて

口を噤んだ

来年も一緒に…なんて

誰も分からないのに


「また来ようね」


言葉を変える

君は困ったように笑った


この時

僕はまだ何も知らなかった

今回は夏編でした。

夏はイベントいっぱいで楽しくもあり、ちょっと寂しくもあり…

皆様この夏は如何お過ごしでしたか?


さてさて春、夏と来て、次回は一体何編なのか!?

また次回お会いしましょう♪

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