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こども③

 

 バタンッ

 俺は抱えていた子供をトイレにそのままほうり込んだ。

(トイレはそれほど小さい子供でもないし自分で出来るだろ。まあ間に合ってよかったが、。・・・・・・・それにしてもまさか朝から歩きまわっていたのはトイレを探していたのか?それで俺の部屋に入ってきたわけか)

 壁に背を持たれながら思う。

 確かに昨日からトイレに行く様子はなかったが、そんなこと考えてすらいなかった。

 しかし自分が思い付きもしなかったのも仕方がない。

 そもそも人を家に一晩泊めること自体今まで1度もなかったことだ。それも子供を。

 この仕事をしている以上子供となんてまず接点がないのだ。正確に言えば間接的に関わることがあっても、仕事を請け負う際の交渉をする仲介人の自分には当たり前だが直接子供と会ったり話す機会はない。だから子供に関して気にかけるなんて考えたことすらない。

 しかもこんな形で関わるなんて想像出来ないだろう。

(家の扉の前で蹲っていて、依頼を聞こうと思ったら熱を出して倒れて、仕方ないから一晩泊めたが、)

 今思えば変わった経緯だ。

 そんなことを考えているうちに、トイレの扉が開き、中から子供が髪の毛を引きずりながら出てきた。

(重そうだな・・・・・)

 しかもかなり傷んでいる。

 何かする訳では無いがなんとはなしに思った。

「・・・・大丈夫だったか?」

 優しく言葉をかけるのはタチではないが、また泣かれたら困る。

 だからできるだけ優しく声をかけてみたが。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 反応がない。

(・・・・なんなんだこの子供)

 出会った時から思っていたがこの子供は反応がなさ過ぎる。言葉を発したのだってさっきの一言だけだった。

 今も下を向いたまま反応がない。

(自己主張ができないのか?)

 眉をひそめる。

「おい、何か言ったらどうだ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 ・・・イラッ。

(うんでもすんでも言えばいいだろ!面倒臭いな!!)

「聞いてんのか?!返事くらいしたらど-」

 ぎゅるるるる〜〜〜〜〜

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

(・・・・・・・・・・・・・・腹が減ってるのか?それでもなんか言えよ本当に)

「はぁ」

 口から自然とため息が漏れた。

 これならまだずっとくっちゃべられていた方がマシである。

 それにこの子供は返事もそうだがずっと無表情なのだ。

(やりずらい・・・・・・・・。子供って普通こんなもんなのか?いや、俺が町で見た子供はもっと元気だったぞ・・・・)

 俺はこのことについて考えるのを諦めることにした。諦めて違うことを考える。

(此奴昨日からなんも食ってないからな。時間もまだあるし何か作るか。一応病人だから粥か?味はその上におかかでも乗せればいいか)

「ガキ、ソファに座って待ってろ」

 そう決めると俺は子供に声をかけ、台所に向かった。




 粥なんて作るのは久しぶりだった。

 俺自身病気になることなんてほとんどなかったし、何より他人に粥を作るというのがなんだか妙な気分だった。

 出来た粥を持ってソファのあるテーブルに行くと

 子供はまだトイレの扉の近くに立っていた。

「おい、来いよ」

 言いながら手招きをする。するとまだクラクラするからだろう、ゆっくり歩きながら近ずいてきた。

(体調悪いなら立ってないで座ればよかっただろ)

 視線でソファに座るよう促す。

 子供も返事をすること以外なら従うらしく、大人しくソファに座った。

 子供の前に粥の入った鍋を置いてやる。

 相当腹が減っているのだろう。食い入るように鍋を見つめている。

「ただの粥だっつうの・・」

 独りごちる。

 スプーンも子供の前に置いてやる。

 すると子供は俺と粥を交互に目を輝かせながら真剣な顔で見つめてくる。

「だから・・・食っていいって」

 手を払いながら言う。

 子供はそれを見るとスプーンを持ち粥を食べ始めた。

 最初はおかかだけを掬って口に入れていた。口に入れた瞬間、無表情だった表情が緩んで頬が心做しか仄かに紅に染まっでいった気がした。

 子供は相当腹が減っていはずなのに粥をそのままゆっくり食べていった。

 俺はそれを向かいのソファに腰掛け、食パンを食べながら眺めた。



読んでくださりありがとうございます。

次の話からは他の人物も出てくる予定なので是非また読んで見てください!

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