こども②
鳥の鳴き声が耳に入ってくる。
それと同時に意識が浮上していく。
(・・・朝か)
眠気を払うように寝返りを打つち、横になったまま重い目をゆっくり開ける。
「・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
何かと目が合った。
ぼんやりとした目でそれを見る。
髪が灰色がかっていて、肌が白くて、丸みがあって・・・・・・・。
子供が見ていた。
頭がはっきりとしていく。
「!!・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
叫ぶかと思った。が、声には出さなかった。
そこにはリビングにいるはずの子供が寝台に手を置いたまま固まっている姿があった。
色々な疑問は浮かんだが、まず上体を起こした。
俺が体を動かせば子供は硬直させていた体をビクつかせ1歩、2歩と後ろに下がり、逃げていこうとしていた。
「待て」
子供に声をかける。
だがそのまま走って部屋を出ていってしまった。
「はぁ」
俺は額に手を当ててため息をついた。
軽く身支度をして部屋を出るとリビングのソファの後ろにこちらを見つめる子供がいた。
俺はそのまま子供の方へ歩いていく。
子供はもちろんビクッとしてオロオロとしているが、その間に俺は子供の場所まで辿り着く。
子供は固まってしまっていたが、
俺は構わず子供に手を伸ばし額に触れた。
「・・・・まだ熱いな、」
子供を見ればまだ怠そうだ。
昨日飲ませた解熱剤の効果が切れて熱が上がっている。
熱はあったが昨日からの回復としてはとても早い。昨日はこのまま死ぬんじゃないかと思っていたが流石にそこまでではなかったようだ。考えすぎであった。
だがこの子供も早く主人の元に帰らないとまずいだろう。既に1日近く家に帰っていない。
熱を無くさせるのは無理そうだ。そうなれば。
(できるだけ早く依頼内容を聞いて追い出さないとか。まぁ、今は5時だ。あと2時間くらいならここにいてもいいだろう。だが、それ以上は関わりたくない。)
普通、お人好しな奴は「自分が守ってあげる」だの「戻らなくてもいいんだ」だのと言うのだろうが、奴隷だという言葉の重みを知るこの業界の奴にそんなことを言う奴はいないだろう。
奴隷なんか洒落た遊びでしか快楽を得られなくなった奴。つまり欲に溺れた権力者。それが此奴ら奴隷の主人なのだ。誰だって手を出したくない。俺もその意見に相違は無い。
それにどこだろうとこの子供の居場所はそこだ。そこにいることが運命なんだ。
だから目をつけられる前に早く消えて欲しい。
(一晩泊めてやってそのうえ看病もしてやったんだ。十分だろう。あと2時間追い出さないだけでもありがたいはずだ。他の奴だったらとっくに追い出してる。まあ子供だからというのもあるが、。それにリビングを抜け出して人が寝ている部屋には入られたが特に害はなさそうだしな。・・・・・でもそれとは別に行動力がありすぎるんじゃないか?人の家をうろつくなよ。)
声には出なかったが一人暮らしの俺が目を覚ました瞬間、誰かと目が合うなんて恐怖以外のなんだと言うんだ。
これが子供だから良かったものの大人だったら普通になにか近くのもので殴っていた。
(まあいい。あとちょっとの時間だ。)
考え事をしていると子供がこちらを見つめているのに気がついて目を見開いた。
ただ見つめているのではない、涙目なのだ。
俺は慌てて子供の額に添えていた手を引っ込めた。
(俺何かしたか?何もしてないだろ、)
いや、何かはした。
家の前で会った時怒鳴った記憶がある。だがそれは昨日の話だ。その後ちゃんと優しくしてやった。
今日。今日やった事。
(・・・・まさか、ずっと無表情だったのが悪かったのか?確かに俺は少し目つきが悪いが、)
何も言わず無口だった記憶もある。
(引き金になったのは額に触ったことか?)
近くに子供がいることなんて今まで無かったから分からなかった。
それに俺はただ熱の確認のために触っただけだ。
(・・・俺、悪いのか?)
俺は恨めしげに子供を睨みつけた。
子供は少しビクッとした。
だが少しして初めて口を開いた。
小さく、泣きそうな声で。
「トイ、レ」
「は?」
一瞬、フリーズする。
(とい、れ?)
子供の下半身を見る。手が服の裾を握りしめている。
「!」
(トイレ!)
俺は構わず子供を担ぎあげ、トイレに向かった。
(早く言えよ!)
読んでくださりありがとうございます!昨日は投稿出来なかったのでまた投稿します。
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