7章 三途川家
「ハァハァ、、、」鬼灯は紫月を菊に任せて三途川家へ向かっていた
「絶対に戻ってくる、菊はそういうやつだ。あいつなら、きっと、、、」
鬼灯は自分に言い聞かせるようにただ真っ直ぐ、菊のことを考えながら走っていた。
(紫月に間合いを詰められた時、震えが止まらなかった。凄まじいほどの霊気を感じた。私は怖くて動けなかった。100年に一度しか生まれないと言われていた菊よりも強い霊気に私は体の奥底まで支配され、感覚がなくなっていた。あれは本物の死神だというのか。)
ーー菊は生きて帰ってくることが可能なのか?ーー
そんな言葉が鬼灯の頭の中を駆け巡る
そしてようやく三途川家にたどり着いた鬼灯は、そのまま玄関のところで倒れた。
・
・
・
「うぐ、、私はどうして布団に? そうか、三途川家の前で倒れていたところを運んでもらったのか」
鬼灯が目を覚ますと、ある部屋の布団に寝かされていた。あたりを見回してみると、菊の部屋であることがわかった。
「あいつ、部屋には何も物をおいていないのだな、、、それもそうか、この家が嫌いで学校に通い始めたのだからな。」そうおもっていると、扉が開いた。
「鬼灯様、目が覚めたのですね。ご主人様からの言伝です。『話は後日、傷がいえてから聞く。黒川家の人間であることを自覚し、今は休むように。』お伝えしましたので私は失礼します。なにかあれば使用人にお申し付けください。それでは」そう言って使用人は部屋から姿を消した。
「黒川家の自覚か、菊のことだ。きっと、、、明日にはケロッと帰ってきているかもしれない。」そう自分に言い聞かせて鬼灯は目を閉じた。
・
・
・朝目覚めると鬼灯は病院へ向かわされ、怪我の治療をした。そして午後
・
・
鬼灯が菊のことを考えていると、扉が空いて、三途川家の使用人が入ってきた
「失礼します。鬼灯様、痛みが引いたようで何よりです。そしてご主人さまがお呼びです。至急こちらへ向かうようにと」そう言って使用人は部屋から出ていった
「菊は生きて戻ってきているだろうか、、、」そう呟いて鬼灯は菊の親の元へ向かった
「失礼します。」
鬼灯も霊媒師家系の人間は嫌いだったが、外部の人間なので礼儀正しく振る舞う。
「黒川鬼灯、なぜお前は傷だらけで家敷へと倒れ込んできた?菊はどうした?」
単刀直入に言われ、鬼灯は答えが少し遅れた。
「、、、菊は、死神の紫月と名乗る女と交戦しました。その者は必要以上に私のことを憎んでいるようでした。さらに、強力な霊力を持っていて、私では全く刃が経ちませんでした。菊は剣剥の力を全開放して自分に取り込み、私からその者を遠ざけ、ここへ向かうようにと。これが私が知っていることの全てです」鬼灯は無力だった自分が情けなかった。
「その者は、本当に、紫月と名乗ったのだな。」
いきなり、質問を返された鬼灯は少し戸惑いながらも、頷く。
「そうか、黒川鬼灯、お前の家系はかつて、死神という魔物を使って、より楽に幽霊を祓うことを計画していた。しかしそれは、死神の力を大きくすることとなってしまったのだ。そのため、黒川家の者たちは、今まで力を貸していた死神を殲滅することにした。それに怒り狂った死神たちは反抗し、戦争となった。そして、その戦争で、黒川家は勝利した。その後、黒川家のことを信頼していた死神を使って戦う気のなかった死神も一人残らず殲滅し、信頼していた死神のことも容赦なく消したのだ。その中で最後まで協力的だった死神が紫月だ」
「そんなことが、、それであの女はその家系である私を狙っていたのですね。」
「そうだ。私達は紫月のことを知っていた。お主たちが戦闘する前から、現世に来ていることも。だが私達三途川家は黒川家の問題に関わらないようにしていたのだ。菊には、このことを話そうとしたが、逃げられてしまい、伝えられていない。そして菊は未だ、姿を表さない。剣剥の霊力も感じない。そろそろ他人事ではなくなって来たということだ」
「菊は、帰ってきていないのですね、、、。菊がいなくなった場所を私に調査させてもらえませんか?勝手なことは承知しています。ですがどうか、お願いします。私なら、あの女の霊気と菊の霊気をたどることができます。何かあった場合は、私と共に向かう方々をこの身を持って守ることをお約束します。どうかお許し下さい」
「ふむ、、、いいだろう。直ちに菊を連れ戻してこい。」
「!、承知いたしました。ありがとうございます。」
鬼灯は急いでいつもの服に着替え、紫月と菊が交戦した場所へ向かった