11章 強化バトル
『さぁ、着いたわ。ぼーっと突っ立ってないで早く入りなさい。』
熾月は菊を急かしながら、中に入って倉庫の方へと歩いていった。
菊が入った部屋は、サッカースタジアム2つ分程と思われる西部の街のような平地だった。
菊は部屋を見回し、端の方にベッドのような物を見つけ、剣剥を寝かした。
そして、また部屋中を見回しながら呆然としていた。
「何だここ、、、別世界見てぇだ。こんな事があり得るのか?よほど強い霊力がねぇと、、」
と菊がついた部屋に圧倒されていると、、
『この中でなら朱青蒼を出しても外部に影響もないわ。音も響かないし、外からは何も聞こえない特殊な戦闘訓練場なのよ。あなたにはここで私と剣剥の力無しで戦ってもらうわ。』
と言いながら紫月は倉庫から大量の剣を持ってきた。
『この中からあなたにピッタリの形の剣や本数を私と戦いながら生み出していくわよ。あなたには剣剥だけでなく他の霊の力も開放してもらって勝率を上げて徹底的に復讐してやろうと思っているの。休ませるつもりはないから。かかってきなさい』
と、紫月は短剣を出して構えた
「絶対に、どんな形だろうとお前に勝ってやる!やってやるよ!」
菊はすぐ近くにあった剣を手に取り、攻撃を仕掛けるため走り出した
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菊と紫月が強化バトルを始めて三時間ほどが経過していた。
バキッ!(この短時間で、ここにあった剣の山がもう数えられるぐらいの数しかねぇ)
「なんでこんなに簡単に剣が折れていくんだ、、、何度打ち込もうとしても剣で防がれる」
菊は、紫月との強化バトルに苦戦していた。
(霊力を込めすぎているからか?俺の剣の振り方が悪いのか?クッソどうしたら、、)
『この程度でこんなにも簡単に剣がなくなっていくなんて驚きだわ。私が想像していたよりも、あなたは弱かったみたいね。私に勝つと言っていたのは口だけだったのかしら。』
紫月が呆れたように言いながら菊に向かって斬りかかる
「クッソ!これで最後の剣か、、ここで決めねぇと後がねぇ。」
菊は剣を握って紫月に向き直った。その時、、
バキッ!「何だと!」突如菊の握っていた剣の刃が粉々になって砕け散った
「ハッ!剣が砕けても、俺は負けねぇ。力が尽きるまでなんとしても戦い続けてやる!」
菊はそう言いながら刃が砕け散った剣に霊力を注ぎ込んで心のなかで剣の形をイメージした。すると菊の持っていた剣が光りだして刃の形のようにまとまり始めた。
『やっぱりあなたは素晴らしいわ。その思い一つで戦い続ける心!さぁ手加減はしないわ』
「何度でも戦い続けて、俺はお前に勝つ!」互いに斬りかかろうとしたその時、菊の強い思いに反応して創造された剣にこもっていた霊力が突如、菊の体を包み始めた。
『感情とともに一気に溢れ出した霊力が暴走しているのね。その霊圧にあなたが耐えられなくなったときは、体の中にいる霊が一気に放たれていくわ。このあとどうなるかしら』
紫月は興味深そうに言い放ち、にやりと笑みを浮かべながら光りに包まれていく菊に手を振った。
「戦いはまだ終わってねぇ!俺は絶対、お前に勝つ!」
菊は眩しい霊力の光に飲み込まれていった。