9章 死神の紫月
(何も変えられない、、俺は誰かの力がないと何もできないんだな。)
菊は自分の無力さを痛いほど感じながら、ただ下を見つめていた。
『さぁ、自分に絶望しなさい。全て受け止めてくれていた剣剥もわかり合ってくれた鬼灯も、あなたが何もできなかったせいで苦しむことになるわ。あなたに協力して信じたせいで、何もかもあなたのせいで、みんなが苦しむことになったわ。みんなの不幸の元凶は全て、、』
『あなただったのよ』
「黙れ!お前は何を知っている?なぜそんなに俺や鬼灯に執着する!なぜそこまで人の不幸を望む?お前は何がしたくてこんなに回りくどいやり方をしている?何か怖いのか?」
菊がそういった瞬間、紫月は菊の襟を掴み上げた。
『あなた、霊媒師2代家系の一つ、三途川家の、神から生まれた子とも言われている三途川菊なんでしょ。ならば、もう一つの家系、黒川家の過去ことをなにか知らないの?』
紫月が怒りに震えた声で菊に問いかけた
「知らねぇ。興味もねぇな。俺は生まれた環境を憎んでいる。霊媒師なんてなりたくもねぇ。霊媒師家系内の問題なんて聞かされようと興味ねぇ。だが、俺が今拘束されている以上、その黒川家の過去に何があったのか知る必要がある。教えろよ俺に。その過去を全て」
菊は、紫月を睨んだ。
『あなたも、霊媒師のことが憎いのね。やっぱりあなたは他の霊媒師と何か違うわ。鬼灯ちゃんもそんな感じがしたけれど、あなたの憎しみは誰よりも強いみたいね。私とあなたは似た者同士ね』紫月は嬉しそうに言った。そして、過去のことを話し始めた。
ーーー回想ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
私は人間のことが好きだった。表情豊かで、いつも面白そうなことを発明していた。
私はそんな人間が羨ましかった。
そんなとき、黒川家の人達から死神へ協力要請が来た。
私はずっと憧れだった人間界に行く人数集めに真っ先に応募した。
その時、私は人間の為に全力を注いでいこうと心に決めた。
それからしばらく、人間と死神の交流は続き、よい関係になるはずだった。
ーはずだったのに、、、
黒川家の人々が私達を襲った。近くで悲鳴が上がって、銃声のような音が響き続けた。
怖かった。でも私は信じた。人はこの関係をより良いものに変えるのだ。だから私は最後まで人間の、黒川家のもとで尽くし続けた。
私は呼ばれた。他に生きていた死神も含めて。
また、いいものを開発するために呼ばれたのだと信じていた。そして、待ち続けた。
しかし、周りにいた死神が殺されていく。そして私は、撃たれた。
絶望した。恐怖を感じた。みんなも同じ思いをしていたことを知った。
私は黒川家を憎む気持ちから誓った。
『復讐してやる、みんなのかたきを討つ、この絶望を味あわせる。』そう心に誓った
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『私は信じていたのに、何度仲間が撃たれても、良い関係にするためにやっていると。そう信じ続けていたのに、私の憧れていた人間の心はただの飾りだった。本当の心は、重く黒い色をしていた。だけど、あなたは違う。心の芯まできれいだわ。だから私は、、、、黒川家の復讐に協力してくれない?もちろん、協力してくれるわよね?三途川菊』