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44.(幕間)こんなはずじゃない

 大使館に手を出した国王と王太子は、そのまま捕縛されたと連絡があった。驚くけど、頭の片隅で「それもそうか」と思う。だって大使館って、現代にもあったし。国の代表だから、治外法権があって偉いんだっけ。襲ったらその国が報復する……って言ってもさ、モブ国じゃん。


 名前も知らない隣国なんて、やっつけちゃえばいいのに。もしかして国王と王太子が二人とも捕まったから、指示する人がいないのかも。


 ベッドの乱れたシーツの上で、隣で微笑むイケメンに尋ねた。


「ねえ、エックハルトがいなくなったら次の王様はどうするの?」


「王位継承権の高い僕が継ぎますね」


 え? 嘘! 本当に? それって最高の展開じゃん。一番好みの美形が、王様になるんでしょ。王妃が私だから、最高のハッピーエンドだ。なんで思いつかなかったんだろ。これは悪役令嬢に感謝かも。


「本当? 嬉しい。私、あなたの妻になりたい」


 裸の胸を押し付けて抱き付けば、彼はもう一度求めてきた。顔が良くてエッチも上手とか、最高なんだけど。しかも私にベタ惚れ状態で、ゲームの補正が掛かってる。ヒロインの私が、絶対に幸せになるはず。


「あんっ、愛してる。だから私をエックハルトから奪って、王妃にして」


「っ! リサの願いなら」


 必ず叶える。そう口にして、彼は実際に国王になった。国王と王太子が残酷な死に方をしたと聞いても、私には関係ない。だって物語の登場人物だもん。ざまぁ展開ってやつじゃないかな。ヒロインには関係ないけどね。


 悪役令嬢が国外追放されたエンドだし、ちゃんと王妃になった。私はハッピーエンドに入れたんだと思う。豪華な食事と立派な部屋、素敵なドレスや宝石を並べて笑った。好みのイケメンが国王になるなんて、隠しルートかな。


 幸せだったのは2年くらい。国が貧しくなって、最初に制限されたのは買い物だった。綺麗な宝石やドレスが手に入らなくなり、やがて侍女が減る。使用人が減れば不便だし、何となく王宮も汚れが目立ち始めた。文句を言っても、何も改善されなくて。


 最後に食事が不味くなった。味もだけど、盛り付けも残念になって。気づいたら量も減り始めた。泣いても騒いでも、改善されない。浮気相手だった宰相や騎士団長の息子達が王宮に来なくなった頃、ようやく気づいた。


 これ、トゥルーやハッピーエンドじゃない。バッドエンドに入った? 隣国の魔女を倒さなかったからかな。慌ててその話を持ち出してみるも、国はすでに傾いていた。夫を見捨てて逃げ出した私は、すぐに捕まって連れ戻される。


 イケメンで優しい設定の彼は、私を監禁して鎖で繋ぎ、乱暴に扱った。罵られ、浮気を咎めて髪を切られる。最後は服も与えられず、獣のように床に置いた器から食事を取らされた。


 閉じ込められた塔へ、ある日外の騒ぎが届く。何か起きた? 助かるかも知れないと目を輝かせた私は、城内に流れ込んだ人々の様子に慌てて首を引っ込めた。凄い剣幕で王宮を壊していく。あれは暴動だ。絶対に見つかってはいけない。


 騒動は二日経っても収まらなくて、お腹は減るしトイレもそのまま。どうしよう。水が飲みたい。そう思いながら、破壊された塔から引き摺り出された。楽に死ねるといいな、そんな願いは叶わないと知りながら……夫だった男の生首と対面する。


 こんなことなら、召喚されなきゃよかった。最期までついていないなぁ。こんなはずじゃなかったのに。

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