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15.これから忙しくて目が回りそうね

 うんざりする石畳が終わり、現代日本のような舗装路に出る。いえ、日本の舗装路より平らかも知れないわ。轍も出来ていないのだから。二泊してようやく王城が見える距離まで帰ってきた。


「遠かったわね」


 溜め息交じりになってしまう。何度も休憩するし、シュトルンツの舗装路に入ってからは石畳の5倍の速度で進めたけど。それでも楽な旅ではなかった。ずっと馬車に座ってるのも疲れるし、着ているドレスも窮屈なの。どうせ馬車から降りないなら、部屋着で過ごしたかったわ。


 もし提案したら、侍女長や執事がこぞって文句を言うから言わないけどね。


「立派な王城ですね」


「この辺では古い国だから。次々と足していったのよ」


 王宮というより、トルコ風宮殿が近いの。玉ねぎのような丸い屋根が大小並び、基本は平家造り。所々、塔があるけれど……私も入ったことがないわ。貴人用の幽閉牢らしいけど、お母様の代では使われていなかった。


 説明している間に城下町を抜けて、城門をくぐる。名称は一応「王宮」で「王城」だから城門よね。飾りっ気が多くて実用性のない門は、それなりに意味があった。


「潔いですね」


「あら、気づいた? 正直、城門前まで敵に攻め込まれた時点で戦は負けだもの。その前に降伏するなり、亡命するなり手を打っていなかったら遅いわ。我が国の方針では、民を捨てて逃げる女王は下の下よ」


 この城門が戦いの最前線になる状況はない。従って煌びやかな飾りで問題なかった。普段の警護は専門の騎士や衛兵が配置されている。見慣れた門を見送って、馬車はまっすぐに王宮へ向かう。王宮は段々畑のように配置されていた。


 攻め込まれた時の対策ではなく、あくまでも見栄えの問題だった。大きな山の斜面を利用して、高さを使った配置が行われている。街から見上げる王宮は豪華で、荘厳な雰囲気があった。まるで宗教施設のようね。


「移動が大変ですわね」


「そこはエレベーター代わりの移動魔法陣があるから平気よ。各国に繋がる街道に同じ魔法陣を付けたいのに、地脈がないんですって」


 王宮がある山の下には、魔力が大量に流れる地脈がある。その魔力を活用して、魔法の才能がない者でも魔法陣を利用することが可能だった。城下町辺りまでは影響の範囲内だが、外で地脈が発見されていない。そのため、街道を魔法陣に置き換える魔力が足りなかった。


 数十人の魔術師が全力で動かして、その後10日近く回復に費やすなんて……戦でもなければ使いようがないわ。各国への街道が移動魔法陣なら、時間が短縮できるだけじゃなくお尻の痛みに耐える苦行も軽減できるのよね。


「王宮内に部屋を用意して、それから正式な叙爵と守護騎士の選定式。あら、忙しいわね」


 予定を頭の中で組んでいく。留守にした期間の執務も片付けないといけないし、時間が足りないわ。この時点で、私はすっかり忘れていた。アリッサム王国の騎士や国王を国境からひとつ目の城塞都市に預けたことを……。

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