第94話 戦場への出兵要請
宿に帰ると、宿の主人が慌てた様子で駆け寄ってきた。
「お帰りなさい!
さっき軍の人が来て、帰ったら軍本部に来てくれって…。
将軍がお呼びみたいですよ!」
「軍本部!?」
「将軍…、なんでしょうね…。」
3人は恐る恐る軍の本部を訪ねた。
「すみません、軍の本部に来るように言われていたロックと申しますが…。」
軍の門を警備する軍人に声を掛ける。
「む?
誰からの呼び出しだ?」
「将軍からです…。」
「将軍!?
いったい…」
声をかけた軍人がそう言いかけところで、別の軍人が走ってくる。
「あー、すみません!
ロックさんですよね?!
将軍がお待ちです、どうぞ!」
「あ、はい…。」
後からきた軍人に案内され、軍本部基地の中へ入っていった。
「よく来てくれたな。」
「先日はお世話になりました。
今日はどういったご用件でしょうか?」
「まあ、そうかしこまらなくていいぞ。
聞いたところによると、S級モンスター倒したそうだな!?」
「は、はい。」
「無限ガエルも倒したと聞いたぞ?
本当か?」
「苦労しましたが、なんとか倒せました。」
「あれから数日しか経ってないが…、またかなり強くなったんじゃないか??」
「そうですね。
わかるのですか?」
「なんとなく雰囲気がな。
それで用件だが、単刀直入に言おう。
…魔族の防衛戦に出兵してほしい。」
「え?!」
「驚くことでもあるまい。
ロックはBランクだし、ギルマスが出兵要請があるだろうと伝えたと言っておったぞ。」
「い、いや、確かに聞きましたけど、こんなに早いとは…。」
「何か予定があるのか?」
「モンスター生息域に行って、訓練を積みたいな、と…。
それと装備を揃えるための資金を集めを。」
【アイテムボックス】のスキルを奪りにいくとはさすがに言えない。
「それなら、防衛戦でもできるぞ。
敵は向こうからやってきてくれるし、素材を運ぶ手間も省ける。
成果に応じて素材の売却益から報奨金が出るからな。」
「…なるほど。」
(そう考えれば、貴重なスキル枠を【アイテムボックス】で埋めるメリットはあまりなくなるかもしれないな。)
「…パーティで話し合ってからお返事させてもらってもいいですか?」
「…わかった。
ちなみに今回行ってもらう予定なのはアルカトル王国だ。
馬車で大体140日くらいだな。」
「敵の強さや数はどんなものなんでしょうか?」
「魔族1人あたり1回の侵攻でA級モンスターが20~30匹、B級モンスター以下がその10倍くらいだな。
魔族も無制限に引き連れて来れるわけじゃないらしく、強さも自分のレベル以下のモンスターに限られるようだ。
魔族は大体1〜3人でやってくる。
アルカトル、サンジャータ、フォーレン以外はB級モンスターまでしか侵攻してこない。
強い魔族は近いところに投入してるんだろうな。」
「魔族はどうやって大陸を渡ってきてるんですか?」
「移動に特化した飛龍というモンスターがいてな。
そいつに乗ってくるから、どの国も見張りを立てている。
それから侵攻までに1〜2日かかるから、攻めてくるタイミングがわかるのはせめてもの救いだな。」
「…わかりました。
では、一旦失礼させていただきます。」
「明日の朝、宿に返事を聞きにいかせる。
…急がせて悪いが、実はこれは皇帝からの直々の指示でな。
推薦したのは私だが、初めてのことで私も困惑している。
悪いが、前向きに検討して欲しい。」
「皇帝が…。
…わかりました。
では、明日の朝までに結論を出します。」
3人は将軍の部屋を後にした。
そして、宿に戻ってきた。
「どうしようか。」
「行くべきだと思うわ。
魔族によってどんな被害があるのか身をもって知るべきだし、私たちが今後どうするべきかを考えるためにも。」
「そうだよね。
ただ、このタイミングで行くべきかどうか、それが悩ましいと思って。
僕はともかく、2人はまだCランクだから危険だと思うんだ。」
「大丈夫!!
スキルもパワーアップしたし!!」
「他にも強い冒険者がいるわけだし、この調子ならすぐBランクになるわよ。」
先日エシアドの崖で、ミラが2度も【起死回生】を発動する事態になったことが、ロックを躊躇わせている。
「ロック。
私たちを信じて。」
「そうだよ!
大丈夫だから!」
「…うん。」
翌朝、3人は宿を訪れた将軍の使いに出兵することを伝えた。




