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第21話 本当に大事なこと

感情移入しすぎて、頭が痛いっす…。

『【噛み砕き】スキルを奪いました。どのスキルと入れ替えますか?』



「【力30%UP】。」



『【力30%UP】スキルは完全に消滅しますが、よろしいですか?』



「いいよ。」



『【力30%UP】スキルと【噛み砕き】スキルを入れ替えました。』



放置していた、奪ったスキルを入れ替えた。




「…カイルさん…。」



「話はあとだ。

 帰るぞ。」



「カイルさん、こんなことしといて…、」



カイルを責めようとするティナの肩に手を置き、目を見つめるロック。


そして、首を左右にふり、やめるよう促す。



ロックとティナは、ディランを引きずるカイルのあとを無言で付いて行った。






村に帰り着くと、カイルは他の村人とディランをどこかに運んで行ってしまった。



「あとはじいさんに聞いてくれ。」



その言葉だけを残して。




2人はカイルの言葉通り、ヨムじいさんを訪ねた。



「入りなされ。」



家の中に入ると、座るように促された。



「ヨムじいさん、全部知ってるんですか?」


「もちろんじゃ。

 これはわしが考えて、カイルに頼んだことじゃからの。」


「どうして…?」


「ロック、パーティを結成した時、わしが行った言葉、覚えておるかの?」


「もちろんです。

 自分だけのために力を振るうな、信じ合える、笑い合える人たちとの繋がりを大事にしろ、と…。」


「うむ。

 では問うが、お主はなぜ魔王を倒し、故郷を取り戻したいんじゃ?」


「なぜ?

 僕は生まれた故郷を魔王たちに滅ぼされました。

 本当の両親やそこに住んでいた人たちの仇をうちたいからです。

 そして、その人たちが生きていた場所を魔王の手から取り戻したい。」


「それは誰のためなんじゃ?」


「だから、本当の両親やそこに住んでた人たちのために…。」


「本当にそうかの?

 本当に、それでご両親たちが喜ぶと?」


「違うんですか?

 自分たちの大事な場所に、そこにいたみんなを殺した魔王たちが住んでいる。 

 そんなの耐えられないと思います。」


「ふむ。

 じゃあ質問を変えよう。

 お主たちは今日何度も死ぬ思いをしたはずじゃ。

 ロック、仮にお主が死んでいたら、ティナに仇をうって欲しいかの?

 ティナ、お主もじゃ。ロックに仇をうって欲しいか?」


「それは…。」


「…私は、私は今日一番怖かったのは、ロックが死んでしまうこと。

 自分は死んでもいいから、ロックには逃げて、助かって欲しかった。

 もし私が死んでたとしても、…危険を冒して仇なんてうって欲しくない。」


「ロックはどうじゃ?」


「…僕もです。

 でも、僕は死ぬのが怖い。

 両親に殺されかけたことを思い出して、なにもできなくなった。

 でもそれより怖かったのが、ティナを失うこと。

 死んでも守りたかった。」


「ロック…。」


「自分の命より大切な人がいること、それは幸せなことじゃ。

 しかし、ロック。

 お主の旅の目的は、魔王を倒すこと。

 パーティメンバーのティナも一緒に行くことになるじゃろう。

 お主がダメだと言っても付いていくのは目に見えておる。

 それだけ、お互いが大事な存在になっておるからの。」


「あ…。」


「気が付いたか?

 誰かのために戦ってたつもりが、今一番そばにいて、命よりも大事な仲間を、お主が死なせてしまうかもしれん、ということじゃ。」


「それは…。」


「ロック。私にとって、あなたはとても、…とても大切な存在。

 自分が死ぬことより、あなたの幸せの方が大事なの。

 もし、あなたにとって死ぬより大事なことがあるなら、一緒に守りたい。

 例え死んでも。それが私の幸せだから。」


「ティナ…。

 でも、巻き込めないよ…。

 旅の中で君がもし死んでしまったら、僕は自分を一生憎む。」


「ロック…。」


「ヨムじいさん…、いったい僕にどうしろと…?」


「うむ。

 その答えは…。」


「はい…。」


「答えは…、






 ない。」


「…ない?」


「そうじゃ。

 用意された答えはない、ということじゃの。

 自分の答えを自分で考え続けるしかないんじゃ。」


「もうどうしたらいいか、わかんないですよ…。」


「それでも考え続けるんじゃ。

 魔王を倒すのは誰のためなのか、なんのためなのか。

 自分や自分の大事な人が幸せになるにはどうしたらいいのか。」


「考え続ける…。」


「例えばじゃ。

 今はお主たちはお互いに大事に思っておる。

 ずっと一緒にいたい、という気持ちもあるじゃろう。」


「そ、そんな…。」


「まあ聴きなされ。

 今の幸せになるための答えは「一緒にいる」ことかもしれん。

 しかし、どちらかの気持ちが変わったらどうかの?

 「一緒にいる」ことがお互いの幸せになるじゃろか?」


「なり、ません。」


「つまり、そういうことじゃ。」


「考えることを放棄しちゃだめ、ってことですか?」


「うむ。

 誰のために、なんのためにするのか。

 自分にとって大事なことはなんなのか。

 考え続けて欲しい。」


「わかりました…。

 それで、今回のことにはどう繋がるんですか?

 なぜヨムじいさんはこんなことを仕組んだんです!?」


「考えて欲しい、といいたいとこじゃが、それは話すべきじゃな。

 さっきの問いじゃが、魔王を倒すことをやめる選択をしたとしよう。

 ティナを危険に晒したくないから、と。」


「それは、答えの一つなのかと頭をよぎりました。」


「うむ。

 しかし、現実は理不尽なものじゃ。

 その理不尽さはロックやティナ、お主たちが一番知っておろう。」


「…。」


「お主たちが戦いのない平和な街で一緒に暮らしてる時に、魔王が攻めてきたらどうする?」


「…!そんなことを言ったら!

 全部不正解じゃないですか!!」


「正解を選んでも、力あるものに踏み躙られる、それがこの世の中なんじゃ。」


次話、第一章 完!

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