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蜜月の日々

 それからクトロはオリビアの話を本当に実行に移した。自慢の天剣を携え天空の家族にやってきたのだ。


「僕は日中は仕事があるからいないけど夜は空いている。介護の仕事も手伝うよ。僕は僕自身を変えるんだ。ナンパな自分とはもうおさらばさ。グラッド王国と天剣の名に恥じぬ男になる。ということでこれからよろしく頼むよ」


「ヘエヘエ。そう上手くいけばいいけどね。まあ頑張っておくれよ。スモル、あとは任せたよ」


「クトロさん、こちらこそよろしくお願いします。クトロさんには主に力仕事を手伝って頂きたいと思います」


 こうして天空の家族に新たな家族が入居した。



 クトロは器用で力があるためオムツ交換をやらせてみるとスモルやオリビアをスピード丁寧さ正確さの点で遥かに凌駕した。コロリと体位を変換しスッとオムツを脱がしてしまうその早業はまさに電光石火でスモルとオリビアの作業時間を大幅に短縮させた。


 日々の激務が減りオリビアの性格は大分穏やかになった。


「オリビア、随分と優しい顔つきになったわね。これもクトロさんのおかげね。感謝しないと」


 スモルは感慨深げにそう呟いた。

 

 苦労してきた日々を思い出す。毎日繰り返された口論。スモルもオリビアも限界だったのだ。


「そうかい。私も感じてるよ心が楽になったのを。あのクトロがここまで役に立ってくれるとは。分からないもんだね人間ってのは。スモル、今まで口汚い言葉で罵ってしまってすまなかったね」


「いいのよ、オリビア。私の方こそ仕事を増やしたり仕事が遅くてごめんなさい。親友であるアナタに大分迷惑をかけたわ」

 

「まあ、お互い様ってこったね」


「そうね、ウフフ」


「ハハハ」


スモルとオリビアは笑いあった。


「で、スモル。クトロとの仲はどうなってんだい?」


「それが… クトロさん、凄い紳士的なの。徐々に信頼を深めあっていきたいみたい」


「ふ〜ん、あのナンパ野郎がねー 今回は本気ってことかい」


 そんな幸せな日々は長く続くと思われたが突如として訃報が舞い込んだ。


 王国と帝国との戦争。


 クトロも出兵することになった。

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