佃煮海苔のレン
次の日、クトロから得た金貨10枚で食料やオムツやポーションを買い込んだスモルは帰り道、持ち前のドジぶりを発揮してしまい人にぶつかり大量の荷物を落としてしまった。
「ああ、すいません。私の不注意です」
「いやいや、こっちも悪かったし。荷物拾うの手伝うよ。いやー大量の荷物だね、これは。一人で持つの大変だよね。この後、予定ないから運ぶの手伝ってあげるよ。俺はレンって言うんだ。皆からは佃煮海苔のレンて呼ばれてる」
「わざわざ、そんな申し訳ないです。私はスモルストーンと申します。よろしくお願いします。レンさん」
スモルは丁寧にお辞儀をしながら言った。
「ありゃ、こりゃオムツじゃないか。へーこの世界にもオムツあるんだねえ。キルギス村にはなかったよ。まさかスモルさん、介護の仕事してる? 」
「はい、天空の家族という施設で働いております」
「いやー介護職大変だよね。前いた世界では人手不足と低賃金で有名だったよ。ああ、でも大切な仕事だよね介護って。俺もルバインに右肩ぶった斬られた時は苦労したよ。片腕での生活は辛かった。皆にお世話してもらったなー」
「レンさん、今はなんともないようですが」
「いやーそれが、ヴァリガリマンダという召喚獣の羽を使った特効薬で治してもらったんだ」
「まさかあのとても高額な夢のようなお薬ですか」
「そうそう。ヴァリガリマンダに直に会いに行って羽貰ってきて優秀なパロポロという少年錬金術師に作ってもらったんだ。結構余ってるから必要な人いたらあげようか。やっぱ困ってる人には気前良くいかないとねえ」
「そんな高額なお薬を。でも頂けたら助かります。うちには四肢欠損している方が3人程おりまして」
「任せといてよ。今ないから後で届けるよ」
「ありがとうございます。これも天空神様の導き」
「やめて、やめて。俺、神とか悪魔が大大大嫌いでね。あんなもんどもに祈ったところでクソ程も救いなんてないよ。エライめにあったんだからホントにもー」
「まあ、しかし私は天空神様の信徒でして」
「まあ信教の自由はあるからね。ただもう俺はダメでね。思い出しただけで大きな哀しみと怒りが湧いてくるよ」
「さぞ辛い思いをなさったんですね」
「いやー辛かったね。今も思い出すと辛いよ。大切な仲間を沢山失ったからね。実は心も身体も回復したばかりなんだ。でも今は暗い話はなしにしよう… 」