雀のヒナ
ぼくは、ひなちゃんが、ほうったレモンケーキに向かって、思いきりジャンプしました。
「 ナイスキャッチ ! 」
お母さんは、手をたたきました。
ひなちゃんと、ひゅうがも、口々に 「 ナイスキャッチー ! 」 と、手をたたきます。
ぼくは、レモンケーキを、よーく味わって、食べました。
( お母さんの、作った、レモンケーキ、オイシ− ! )
ぼくは、だんだん、お母さんたちの、ことばが、分かるようになりました。
お母さんは、 「 Wait! 」 のことを、 「 待ってー ! 」 と言います。
けっこう、楽しいことば。
そして、ぼくの名前は、「 クロ 」
もう、だれも、 「 Lucky 」 とは、呼びません。
ぼくは、「 クロ 」 という名前も、けっこう、気に入っています。
雨が、やんだ、暑い日、お散歩をしていると、草花ではない、ぬるまっこい、におい!
ぼくは、お母さんを、ひっぱって、においのする方に、急ぎました。
「 どうしたの ? クロ ! 」
お母さんは、ひっぱられながら、ぼくの、進むほうを見て、
「すずめのひな ! 」 と、いいました。
ぼくは、ぬるまっこい、においの前で、おすわりを、しました。
「 待ってー ! 」 と、言いながら、お母さんが、そっと、手を出すと、こわがって、逃げます。
お母さんが、 「 待ってー ! 」 って、言っているのに、待っていません。
それにしても、小さい羽。 ( オジギソウみたい ) ぼくは、笑ってしまいました。
その羽を、一応、動かしながら、ヨチヨチ歩いて逃げます。
でも、すぐ、つかまえられました。
「 クロ、すずめのひなよ ! 」 と、ぼくに、見せました。
これは、 「 スズメのヒナ 」
ぼくは、すずめのひなを、見てから、お母さんの顔を、見ました。
「 おりこう ! わかるのね。 」 お母さんは、ぼくの頭を、何回も、なでました。
ぼくも、いっぱい、しっぽを、ふりました。
お母さんは、すずめのひなを、大事そうに、胸に入れると
「 クロ ! 走るよ ! 」
今度は、僕が、ひっぱられることになりました。
家に着くと、ぼくを、くさりに、つないで、家に、かけこんで、行きました。
( すずめのひな、どうするのかな ? )
−−−第9話につづく−−−