おやつの時間
白いオカメインコのテリーは、ぼくの、鼻に乗って、頭にのぼったり、背中からしっぽまで、歩いたりして、遊んでいます。
ぼくは、テリーが、びっくりしないように、眠ったふりをして、テリーを見ています。
テリーは、お母さんの肩に乗って、ひなちゃんとひゅうがの、お迎えに行ってしまいました。
( ぼくも、一緒に連れて行ってー ! さびしいよー ! )
ひなちゃんと、ひゅうがが、走って、帰って来ました。
「 クロ、ただいまー、 おりこー ! おりこー ! 」
お母さんのまねをして、ぼくの頭をなでます。
ぼくは、ひなちゃんと、ひゅうがが、とどくように頭を下げて、耳は、平らになるように、たおします。
あとから、お母さんが、歩いてきました。
テリーは、お母さんの肩に乗って、とくいそうに、黄色のかんむりを立てています。
待ってましたー ! おやつの時間 !
お母さんは、お庭の、テーブルに、焼きたてのレモンケーキを、持ってきました。
( うーん、いいにおい ! )
お母さんは、小さく切って、まず、エルに向かって、高くほうります。
エルは、とびついて、パクッと、くわえた !
と思ったら、飲みこんでしまいました。
( えー ! ! ! かまないの ?! )
次は、ぼくの番。
ひなちゃんが、 「 わたしが、クロにあげるー 」
ひゅうがが、 「 ぼくが、クロにあげるー 」
「 わたしが、あげるの ! 」 とひなちゃんが、口をとがらせる。
ひゅうがも、まけず 「 ぼくが、あげるの ! 」
ついに、けんかが、始まりました。
( レモンケーキ、早く食べたいなー。)
ぼくは、テーブルの上にある、レモンケーキを、じっと見ました。
すると、お母さんが、ぼくのケーキを、二つに切りながら言いました。
「 ほら、クロが、まぶしそうな顔して、ケーキを見てるから、ごらん。 」
二人は、けんかをやめて、ぼくの顔を、見ました。
( レモンケーキ ! )
ぼくは、おすわり を して待ちました。
お母さんは、二つに切ったケーキの片方を、ひゅうがに、渡して、
「 高くほうるのよ、クロが、じょうずに、くわえるように。 」
と言います。
でも、ひゅうがは、お母さんが、言い終わらないうちに、ケーキを、ぼくに、ほうりました。
ケーキは、まっすぐに、しばふに向かって落ちました。
「 あーあ ! かわいそうにー、クロのケーキ、落ちちゃた 」
と、ひなちゃんは、まだ少し、ごきげんななめ。
お母さんは、ひなちゃんに、もう片方の、ケーキを渡しました。
ひなちゃんは、何回も、ほうる練習をしています。
ぼくは、そのたびに、かまえて、ケーキに、とびつく準備を、しました。
「 クロも、ジャンプしたいって、待ってるよ。ほうってごらん。 」
お母さんが、笑うと、ひなちゃんは、やっと、ケーキを、ほうりました。
おいしいレモンケーキが、ぼくに向かって、弧を描きます。
( いただきまーす ! ) ぼくは、高くジャンプしました。
−−−第8話につづく−−−