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ぼく  作者: 槌谷 紗奈絵
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入院

お友だちが、かえって行った後



ひなちゃんとひゅうがのかたをだいているお父さんを見上げて、お母さんは言いました。



「 わたしたち、しあわせね。 」



ぼくは花だんにのぼって、お友だちがかえるのを見送りました。



お父さんがひゅうがたちと少しふざけながら家に入っていきました。



後からついてきたお母さんは、ぼくをじいーっと見ました。



ぼくは、うれしくなって うーー ーとのどをならしました。



お母さんは、しんぱいそうな顔で 「 ふくすいじゃないよね ? 」とつぶやきました。



ぼくは、お母さんがまだジーーっと見ているのでうれしくてしっぽをふりました。



お母さんは、こしをおろしながらぼくの頭をなでて



「 あした行こうか 」 何か決めたように立ち上がり家に入って行きました。



次の日、ぼくは赤トンボがどうだんツツジの枝にとまりそうでとまらないのをぼんやり見ていると



お母さんが自動車のカギの音をならしながら 「 さあ、クロ 行くか ! 」



( どこかに遊びに行くのかな ?



ひなちゃんたちは後からお父さんと自動車に乗るのかな ?



では、ぼくは、お先に乗ってようっと。 )



お母さんは、ぼくが自動車の後ろの席に乗るとドアを閉めました。



そして、運転の席に乗るとエンジンをかけて出発してしまいました。



ぼくがお母さんと二人ででかける時は台の上に乗せられるときなんだよ。



「 おりこうだ 」ってほめてもらったけど あの時は、うーーんとがんばったから。



川の道を過ぎるとお店がいっぱい見えてきて やっぱりお医者に行く道だ。



ついにお医者に着くとお母さんは自動車をおりてお医者さんちに入っていきました。



なにか話すとすぐに出てきて、ぼくのいる後ろのドアをあけました。



「 クロちゃん、おりてお医者さんにみていただきましょうね。 」



ぼくは、いやだったけど、しかたなくおりました。



「 クロちゃんはおりこうね。 」 お母さんはぼくの首にうでをまわしてせなかをなでました。



( わかったよ。 ぼく、おりこうにする。 )



台の上に乗せられるとお医者さんが来て、ぼくのおなかをさわってみたりおさえたりしてから 「 CTをとりましょう 」 と 言いました。



ぼくは、ちがうへやにつれていかれて、今度は長い台の上にねかされました。



ぼくは、こわくて すぐに起き上がりました。



するとお医者さんが来て、ねかせます。



ぼくは少ししかがまんできません。



起きるとお医者さんが来ます。



3回くらい同じことをして、起き上がってしまうと終わらないんだとわかりました。



がんばって がんばって ねころんでいるとお医者さんがうれしそうに



「 終わったぞー よくがんばったなー 」 と 頭をもみくちゃになでました。



お母さんが待っているへやにもどって、お医者さんは言いました。



「 やっぱりこの子はすごくかしこい子だよ。 マスイしなくてもCTをとらせてくれる

と思って連れて行ったんだ。思った通りとらせてくれたよ。 」



お医者さんは、お母さんに大きな声でうれしそうに話しました。



それから小さな声になって、「 フクスイにまちがいなさそうだから3日ばかり入院してちりょうするようになるね 。 フクスイをぬいてけっかんにもどす----。 」



お医者さんはお母さんに何やらむずかしい話をしてから、ぼくをおりのあるへやにつれていきました。



閉められたドアのもっと遠くからお母さんの自動車が帰っていく音が聞こえました。



ぼくは、なにもないガランとしたおりの中でお母さんが迎えに来るのを待ちました。



白いふくを着たお姉さんが、コロコロの丸い食べ物と水を持ってきて、おりのすみにおきました。



そして、「 しっかり食べてね。 あしたからちりょうが 始まるからガンバってね。 」



と言ってニコニコしながらしばらくぼくをみていました。



ぼくが食べようとしないので、「 そうか、私が見ていたら食べられないよね 」



と、うなづいてから、べつのおりに入っているねこたちや小さい犬たちにも声をかけながら食べ物と水をあげて広いコンクリートのへやから出ていきました。



( お母さん早く来ないかなあ 用事がたくさんあるのかなあ )



- 52話につづく -

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