なれそめは?
「なれそめは? 」 と だんな まさきが 言いました。
「 えー ??? こんどは わたしたちなの ?
ムリムリムリ そんな 昔の事 おぼえてないもの。 」
と びっくりしたお母さんの声。
「 じゃあ おれたちが見た リョウガとみやびの事を話すよ。 」
「 はずかしいよー ススムー! 」 と お母さん。
「 てれるなよ!みやび。 なあ、ヒロ おれたちみんな二人に感動してたんだぜ。 」
「 ホントホント! わたしが気付いたのは、大学2年の時。
サ-クルで曲を作ったり、ユーミンとかをコピーしたり、みんなで語り合ったり、
そんな中、リョウガとみやびが、いつの間にか気が合っていったのよ。 」 女の人の声。
「 そこらへんとこ どうなのよ みやび 」 と エミさん。
「 えー?? そうね、
みんなで夜中まで色んな事を話したわよねー。
いつのころかは、分からないけど、リョウガとわたしは考え方や感じ方が似ていると思ったの。 」
「 みんなで 意見が分かれた時なんか 大体みやびがぼくと同じ意見をのべていたんだよね。
最初はぜんぜん気付かなかったけど。
大学祭の準備の時とかも、決めることが多くて、なかなか意見がまとまらないこともあったし。 」
とお父さんが、続けた。
「 そうだったなー 思い出すとなつかしいよ。 合理的かつ、より多くの人を集める?
何か 今考えると おかしなことで、よく議論[ぎろん]してたな。 」 と 男の人。
「 そんなことをしているうちに4年になって 夏にはそれぞれ就職[しゅうしょく]が決まって
一安心した頃、リョウガは会社を立ち上げた。 」
「 ぼくは、リョウガが言う 『 人間は、いい言葉や話を聞きたい、話したいと思っている。
だから、それをインターネットのサイトと結びつける。 』
という考えは、必ず成功すると思ったよ。
それで、リョウガを手伝おうと決めたんだ。 」
「 ありがとう。 カズ。 今はほとんどカズが仕事をしてくれている。
ほんとうに助かるよ。 」 お父さんが言いました。
「 あの時、カズ以外は みんな リョウガが言っている事は現実的に思えなくて・・・
一生けんめい、やめるようにせっとくしたよね。 」
「 そんな時、みやびはぎゃくに おれたちをせっとくした。 そればかりじゃなく
親もせっとくしようとしたんだ。 会社設立をもくろむ男とケッコンしたいって。 」
「 みやびのお父様、『 そんな男にはみやびをやらない! 家もない、金もない、ましてや
変てこな会社を作るなんて言い出す男に!!! 』 って、恐ろしいけんまくで怒って。 」
「 おかげで、ぼくは、早く会社を立ち上げられたんだよ。
大学にいるうちに手ごたえをつかんでおきたかった。 必ず来ると確信していたんだ。 」
と お父さんの声
「 その、リョウガの確信が、こわかったよね、わたしたちには。 」
「 でも、リョウガたち親に猛[もう]反対されてもあきらめなかったよね。
わたしたちは、いつしか リョウガたちを応援するようになっていて、
最後の学祭は、リョウガの立ち上げたサイトのチラシ配って、
ぜったいうまくいくように祈るような気持ちだった。 」
「 そうそう、みんな声がかれちゃってさ。
サイトがうまくいったら、ご両親からも みとめてもらえるって、
何だか分からないけど やみくもに信じてつき進んだよな。あの1週間。 」
「 ありがとう。 みんなのおかげで きせきみたいなことが起こったのよね。
大学祭が終わらないうちに、1万を越すアクセスがあって、
しばらくしてから、大学生が立ち上げたサイトが話題になっているということで
ラジオ放送局からインタビューを受けたの。
その放送を聞いた方たちが、またアクセスしてくださって、ついに
ついにスポンサーがついたの。 」 と お母さんがうれしそうに話しました。
「 さいごに みやびのお父様も、しぶしぶだけど、みとめてくださって、
二人はやっとケッコンしたの。 リョウガ、みやび 良かったね。 」
女の人が、しみじみと言いました。
「 そんなことで かけまわっていたくせに みやびったらトップクラスで卒業したんだから。 」
と エミさん。
「 エミには勝てないけど、成績を落としたら父の反対に油を注ぐでしょう?
ぜったいエミにくらいついていこう! と 思ったの。 」
「 さーすが みやび。 」
「 あははっ みやびらしい。 」
「 そうだったんですかー。 ぼくも 前向きで 明るくて くじけない それでいて
いやされる家庭を作りたい。 」 と だんな まさきが言いました。
「 がんばってね! よろしく! 」 エミさんが言いました。
パチパチパチパチ みんなの手をたたく音がしました。
ぼくは眠くなって、楽しいわらい声や歌声を遠くに聞きながら、すっかり眠ってしまいました。
-49話につづく