なれそめ
四角の自動車から降りてきた6人は、みんな大きなフクロを持っていました。
おいしいにおいがしてきます。
ぼくは、おすわりをして待っていましたが、お母さんは、ぼくのことをすっかり忘れたようで
おうちに入ってドアをしめてしまいました。
( そうだ! まどの下に行こう。 )
中に入った大ぜいのお友だちの色んな音がします。
あのフクロから何か出す音。
テーブルにならべられるコップの音。
「 みやび 何もしなくていいよ。 」
「 そうそう コップ以外は、ぜんぶ用意してきたから。 」
「 はしも おさらも いらないよーん。 」
「 ありがとう 」 と お母さんの声が聞こえます。
「 さあ、みんなすわったら カンパイといくかー!! 」
コップにシュワシュワと音がします。
お父さんがおフロに入った後、時々していた音です。 ずいぶん前のなつかしい音。
「 えー、みなみやまよしろう カンパイのおんどを とらせていただきます。
まさきさん エミさん ごケッコンおめでとうございます。 ・・・・・?x・・?c
・・・・・x? カンパーイ!! 」
「 カンパーイ!! 」 カチカチとコップがあたる音がします。
「 エミはぜんぜんケッコン願望[がんぼう]なかったのにどうしてケッコンする気になったわけ? 」
と女の人
「 そうね まさき 話す? 」
「 はい。 エミさん にがてなんですよね。 この話するの。 」 シーンとしずかになりました。
「 ぼくが、ふじさきコーポレーションのデザイン部門に入社した時、2年せんぱいのエミさんが、
社長ひしょとして、テキパキ仕事をしていたんです。
ぼくは、ケッコンするならこの人と決めていましたが、
3年が過ぎ4年が過ぎてもエミさんに声をかけることさえできませんでした。
5年目のクリスマスの日に、ことわられてもあきらめないと覚悟[かくご]をして
お付き合いをもうしこんだのです。
すると、エミさんは、 『わたし、ケッコンする気持ちがないの。
だから、お付き合いしても意味がないし、時間のムダよ。
他の方とお付き合いして、さっさとケッコンなさったら? 』
と 言われまして。 」
「 アハッ ごめん よけいな おせっかいよね。 」 エミさんの声
「 エミらしいね。 」
「 それでそれで? 」
「 ぼくは、経営[けいえい]に向いていないし、父と仕事の話はしません。 だから、
がんこな父にぴったり着いて仕事ができるエミさんを心から尊敬[そんけい]しているんです。
家事[かじ]はだれにでもできるかもしれないけれど、エミさんのような人は他にはいない。
ぼくも、人間をみがこう。そして、エミさんが思うぞんぶん力をはっきできるパートナーになろう。
エミさんからも、他にはいないと言われるぼくになろう。と 一生けんめい勉強しました。
それから、毎年、クリスマスの日に お付き合いする気持ちになったかどうか聞いたのです。
ついに昨年、6回目のクリスマスでOKをいただきました。 」
「 お待たせしましたね。 まさき。
わたしも4年目くらいから 真剣[しんけん]にまさきとケッコンしたら、どんなことになるか
考えては、やっぱりムリって思っていたけど、仕事も遊びもなかなかがんばっているし、
人々の意見を聞くたいどや思いやりなんかもあるし 親を大切にしているし
ケッコンするんだったら まさき かなって。 」
「 キャハー ごちそうさまー 」
「 アハハハ 」 みんなの笑い声
「 そうそう、社長ったら ふつうに入社試験と面接[めんせつ]受けさせて、
知らん顔しているから、ぐうぜん名字が同じなのかと思ったら息子じゃん。
いまだにだれも知らないんだよね。 まさきが、社長のあととりだなんて。 」
「 へーーー それじゃ エミは社長ひしょを続けるのね。 」 と 女の人
「 そう。 できるだけ仕事をしたいの。 今の仕事やりがいがあるし好きなの。 」
「 ぼくは、エミさんが働いているから家事はしなくていいって言うのに、1人分作るのも
2人分作るのも一緒[いっしょ]だからって毎日おべんとうも作ってもらってます。 」
「 そうじは まさきが ぶんたんしてるの。 」
「 こんど ぜひ 皆さんで ふじさきけにおいでください。 ピカピカになっていますよ。 」
「 そう、今の所はね。 みんな早いうちに来てね。 」
「 ずっと きれいにするよ。 」
「 あはっ おねがいします。 」
「 アハハハ 」 みんなは、また、どっとわらいました。
「 あのー、リョウガさんたちのお話も聞きたいです。 エミさんからちょっと聞いていますが、
ごケッコンなさるときに大変な困難[こんなん]乗りこえ、
お二人のきずなだけでなく、エミさんたちみんなのきずなを強くむすんだと。
なれそめは? 」
-48話につづくー