表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぼく  作者: 槌谷 紗奈絵
45/52

のぼ君の水かえ

空いちめんに青空が広がって気の早いトンボたちが飛んでいます。



きょうはシルバーウイークで学校はお休みだって。



ひなちゃんとひゅうがは朝からお父さんとじゃれてうれしそう。



お母さんは、おせんたくをいっぱーい ほしました。



「 ひゅうが のぼ君のお水 かえてね。」



「 ウィ! 」 ひゅうがは このごろ こんな返事をするようになりました。



そして、からのペットボトルをふくろにつめこんで自転車に乗りました。



あれ?! 行っちゃうの? ぼくも行く~ 「 ウォーン! 」



「 あっ そうか 」 



ひゅうがは、自転車からおりて ぼくのリードをかえて さんぽ用にしました。



「 うぉーん!! 」 キャッホー!  おさんぽ おさんぽ



山の上の池につくと ひゅうがは、ペットボトルを池の水にしずめました。



ボコ ボコ  ボコボコボコ ポコ



ペットボトルに水が入ると 音がだんだん高くなってピチッといっぱいの音になります。



全部のペットボトルが、ピチッと鳴るまで水を入れると ひゅうがは二つのふくろに分けて



自転車の両方のハンドルにぶらさげました。



帰り道は早い早い!



あっという間に家の近くのまがり道まで来てしまいました。



( つまんないなー  )



ぼくは家の前ののぼり道で ひゅうがを追いこして いつものようにオイヤオイヤをしました。



「 クロ! そんなことをするなら もうつれて行かないぞ!! 」



ひゅうがは、ちょっとこわい顔。



( だめかー・・・ )



ぼくは、しかたなく トボトボと 家に帰り始めると



「 よし! おりこうだクロ!!  のぼ君の水をかえるんだから 早く帰るぞ!! 」



ひゅうがにほめられて ぼくは頭としっぽをあげて まっすぐ家まで歩きました。     



6角形の水そうで元気に大きくなったのぼ君。



丸いタニシもいっぱいガラスにくっついて ガラスをそうじしています。

 


みどり色のマリモが光るようにきれい。



ひゅうがは、水そうの水をバケツに入れて すっかりなれた のぼ君を両手ですくって



そのバケツにうつしました。



ガラスにくっついているタニシは はがしてポーンと高くなげました。



1つ また一つ  バケツの中にポチャン ポチャン ポチャン



バケツをのぞきこんでいたぼくの鼻に水が・・・・



「 ハー ハー ハックション!!! 」



「 あははは  鼻に水が入っちゃったね。 」



ひゅうがは 大わらいしています。



家の中からひなちゃんが、出てきました。



「 はい! ガラスみがき 」 と言いながら ひゅうがに白い物をわたしました。



「 サンキュ 」



「 わたし まりも 洗おうか? 」



「 うん 」



「 おじいちゃんのマリモ 最初5コだったのに すっごくふえたね。 」



「 アハッ もう数えきれないし。 」



「 丸くしておくの けっこうたいへんなのよね。 丸めてあげないと へんな形になっちゃう。 」



「 おねえが 丸めているからきれいじゃん。 こんなのどこでも 見たことないよ。 」



「 うん。 きれいね。 おじいちゃんから北海道のおみやげにいただいたのは、



小学校の3年生位だったから もう4年は過ぎたわね。 」



「 そうかー  ぼくは、よくおぼえていないけど・・・



1番大きなマリモがバクハツしたのは おぼえているよ。



それで ちいちゃくこまぎれになったのが また マリモになってきたけど



丸くない! あはは 」



「 バクハツっていうか はじけたっていうのかしらね。 」



「 お母さん マリモが死んじゃうって 毎日 あながあくほど見ていたからじゃない? 」



「 うふふっ  そうかもね。 」



「 よーし!!  ガラス きれいになったーーー!!! 」



「 ほんとねー  マリモもあと3こ丸めたら終わり。 」



ひなちゃんは、1つ1つ ていねいに マリモをまるくしてから 水道の水で洗いました。



ひゅうがは、ピッカピカになった6角形の水そうに 



山の上の池でいっぱいにしたペットボトルの水を2本入れました。



そして、きれいになったマリモを入れて



それから、バケツの中で頭を出し始めたタニシも 水そうに入れて 家の中に持って行きました。



げんかんのドアの中がわに ゲタばこがあります。



そのゲタばこの上で のぼ君たちはくらしているのです。



ひゅうがはいつもの所に水そうをおくと のこりのペットボトルの水をどんどん入れて



水そうがいっぱいになると 最後にバケツにのこったのぼ君をすくって入れました。



「 こんなに水を入れると のぼ君が、とび出すんじゃない? 」 と



ひなちゃんは、心配顔です。



「 あー  そうかー。 ホースで水をぬこう。 」

 


ひゅうがは、バケツの水をすてて ゲタ箱の下におくと



家の中から短いホースを持って来て外の水道に付けました。



水が少し、ホースの口から出ると、水道からはずして ホースの はしとはしを指でおさえて



水そうまで持って来ました。



「 せーのー それ! 」



す早く ホースの口を水そうとバケツめがけて入れると



バケツの方に水そうの水が いきおいよく出てきました。



「 ヒエ~! 」 ぼくはビックリして 後ろにさがりました。


 

「 どんなもんだい! 水うつしのじゅつー  クロびっくり! 」



「 ウフフッ クロ ホースは大てきね。 」



「 あはは  よし! これで のぼ君も安全! 終了終了! 」



「 のぼ君に ミミズほってあげようかな? 」 と ひなちゃん。



「 うん 大きいのは ハピちゃんが食べるしね。 ・・・・・ちょうどいいのみーっけ! 」



ひゅうがは、ミミズでのぼ君をじゃらして遊んでから ミミズを手からはなしました。



すると、のぼ君は ミミズにとびついてパクリと飲みこんでしまいました。   



ぼく なんだか ねむくなったよ。 おひるねしようかな。



お母さんが、「 きょうは よくかわいたー 。 おひさまのにおいがするわー。 」 と



うれしそうにせんたく物を入れ始めると



下の道から ガラガラガラガラ 音が近づいてきます。



ぼくは とびおきました!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ