のぼくん
「 チュン太も飛行訓練する? 」 と お母さん
「 チュン太、まっすぐに飛んで行っちゃって、帰って来なかったら? 」 ひゅうがは心配そう。
「 チュン太! おいで! こっちにおいで! ひゅうが! 窓をあけてみて。 」
チュン太は、ひなちゃんの手からお母さんのほうに向かって飛び立ちました。
でも、すぐに急ブレーキをかけてもどってしまい、お母さんの手の中に入って動こうとしませんでした。
( 本当は、ぼくが、お庭にいるから、帰ったんだね。 チュン太は、いいんだよね、それで・・・ )
夏休みが終わる頃、ツバメちゃんたちは、チチー!チチー!チチー!チチー!
と大きな声で鳴きながら、帰って来ました。
ツバメちゃんたちは、お母さんとひなちゃん、ひゅうがの、まわりを飛びます。
「 お母さんは、一緒に行けないのよ。 ありがとう!キュート! チュリ! ジュジュ!
来年きっと帰って来るのよ! 元気で。ね! 」
「 がんばれー! 南の国まで、へこたれんなー! 」「 また来年ねー! 気を付けて! 」
チチー!チチー!チチー!チチー! ツバメちゃんたちは、高く高く、まい上がりました。
いつまでも、手を振っている3人の肩を、大きく包むようにようにお父さんが、手を乗せました。
「 みんな、ひなを育てるのは大変だったけど良く頑張ったね。 きっと来年の春また会えるよ。」
( ひなちゃん、おかあさん、ひゅうが・・・・・・)
「 そうだ!今から、おやつを持って山の上の池に行こう! 」
涙でクシャクシャのお母さんが言いました。
ひゅうがは、ぼくのくさりをはずして、リードを付けます。
( わーい! みんなで おさんぽだー! )
ひなちゃんは、おやつを袋に入れて持ってきました。
ひなちゃんの肩にはテリーが、黄色いかんむりを立ててとまっています。
お母さんは、ビニール袋と虫取りあみを持ちました。
( あはっ! お母さんらしい いでたち。 みんな目が、はれてる。 元気 出してね。 )
ぼくは胸をはって、ひゅうがの横に付きました。
「 よーし!! 走るぞ!クロ!!! 」 そう言って、ひゅうがが走り出しました。
「 ヴォン !! 」
池に着くとひゅうがは、ハアハア息をはずませながら、ぼくの首からリードをはずしました。
「 よしのぼりを取ろう! クロ! 」
ひゅうがは、そっと水に手を入れました。
「 あー、逃げられちゃった。 」 そう言いながら、また水の中に手を入れます。
何度もつかまえようとするけれど、なかなかつかまりません。
ぼくは、待ちきれなくなって池の中に足を入れました。
ズブズブッとやわらかい土の中に足がしずんでいきます。
( ワー、気持ちがいい! ブルブルッと身ぶるいしました。 )
「 コラッ! クロ! 水がにごっちゃったじゃないか! モー! クロ! メッだよ! 」
( ありゃー、 しかられちゃった! むこうで遊んでこようかな。 )
「 おーっ! さっそく つかまえてるな? 」
お父さんたちが、やっと到着しました。
「 ぜんぜんとれないよ。 」 ひゅうがは不満そう。
ひなちゃんは、池の周りにあるベンチにおやつをおいて、ひゅうがの所に行きました。
「 わたしは、タニシを取ろうかな。 タニシは水をきれいにするんだって。
ひゅうがが、ノボ君をつかまえたら一緒に飼うといいね。 」
「 よーし! ぜったいつかまえるぞー! 」
---45話につづく---