表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぼく  作者: 槌谷 紗奈絵
43/52

チュン太も!!!

7羽のツバメが来て、ツバメちゃんたちのまわりを、取り囲むように、飛んでいます。


気が小さいジュジュが、口を大きくあけて威嚇いかくします。


キュートがい上がると、チュリが後を追うように飛びます。


そしてついに、ジュジュが飛びました。


ひなちゃんとひゅうがは、「 さよならしたかったなー 」 と 残念ざんねんそう。


夕方になると、元気な声で鳴きながら、ツバメちゃんたちが、帰ってきました。


「 やったー! やったー! 帰って来たー! おかえりー 」ひゅうがは ガッツポーズ。


次の日も朝からツバメちゃんを外に出しました。


時々、もどって来て虫をねだります。でも、飛び方は一人前。


( これが、 ジ ユ ウ ジ ザ イ っていうのかな? かっこいいなー! )



今日は、ひなちゃんとひゅうがは、がっこうがお休み。


朝、早くお母さんと一緒に出て来て、ツバメちゃんたちを外に出します。


ひなちゃんとひゅうがは、自由に空を飛ぶツバメちゃんたちを見上げています。


「 キュートたちが帰ってきたら家に入れるようにしないと


気が付かないでいたらあぶないわね。 」 と、 家に入ったお母さんが言いました。


「 そうだなぁ、天窓をあけっ放しにすれば、チュン太が出ていっちゃうし・・・」 と お父さん。


「 うーん、そうね。 チュン太も飛行訓練するか!


でも、あまり飛ばないうちに、ネコかタカか何かに、やられそうな気がするね。 」


「 前よりは、だいぶ、たくましくなったんじゃないかな? 」


「 チュン太! 飛んでみる? 」


チュン太は、自分で鳥かごに入って、いそがしくごはんを食べています。


お父さんとお母さんは顔を見合わせて 「 だめかな? 」 


ひゅうがが、「 チュリたち、かっこいいねー!!! 」 


と 言いながら、おうちに入って行きました。


ひなちゃんも 「 お父さん!見た? すごいの! 


ちょうスピードで飛ぶのに、どこにもぶつからないの! 」


「 あー、見たよ。小さかったひなたちが、あんなに飛べるようになるなんて


ほんとにびっくりだね。 」


「 チュン太も、外に出してみようかと思うの。 」 と お母さん。


「 ツバメたちが帰って来た時、家に入れないから、天窓をあけてあげようと思ってね。


お母さんが、チュン太の飛行訓練もしてみようって。


チュン太も大空を飛べたら、うれしいんじゃないかな?


ひなは、どう思う? 」 お父さん。


「 キュートたちが、楽しそうに飛んでいるから、チュン太も飛べたらきっと楽しいと思う。 」


「 チュン太、まっすぐに飛んで行っちゃって、帰って来なかったら? 」


ひゅうがは心配そう。


「 そんなことも、ないとは言えないな。 もしかしたら、お別れかもしれないぞ。 」


ひなちゃんは、羽づくろいをしているチュン太を指に乗せて、ゆっくりなでています。


ひゅうがが、横から 「 チュン太! お前、帰ってこいよ! 」


「 じゃ、お母さんが外から呼んでみるから! 」 お母さんは、外に出て来ました。


ひゅうがが、少しだけあみ戸をあけました。


「 チュン太! おいで! こっちにおいで! ひゅうが! もう少しあけてみてもらえる? 」


チュン太は、ひなちゃんの手から飛び立ちました。


お母さんのほうに向かって飛びました。


でも、すぐに急ブレーキをかけてもどってしまい、外側そとがわからあみ戸につかまりました。


「 あははは! チュン太ー! あまえんぼだなー! 」 ひゅうがが、わらいます。


ひなちゃんも泣き笑い。


お母さんは、チュン太に手をさし出しました。


チュン太は、お母さんの手の中にもぐるように入って、動こうとしませんでした。


「 お父さん、天窓をあけてくださいな。 そろそろジュジュたちが、おなかすく時間だから。」


( チュン太。本当は、ぼくなんだろう? ぼくが、お庭にいるから、帰ったんだね。 


でも、チュン太は、いいんだよね、それで。 )



夏休みが終わる頃、ツバメちゃんたちは、ほとんど帰って来なくなりました。


夜も、お友だちと一緒にすごして、昼に1、2回、元気に鳴いて帰ってきます。


お母さんが、おはしをコンコンしても、虫は食べに来ません。


そして、ある日、お洗たくをほしている、お母さんのまわりを


チチー!チチー!チチー!チチー! 大きな声で鳴きながら、何回も何回も、回りました。


ひなちゃんとひゅうがも、お庭に出てきました。


「 お母さんは、一緒に行けないのよ 」 お母さんの目から涙がいっぱい落ちて・・・。


7羽も一緒にお母さんのまわりを回ります。


そして、高い電線にとまりました。


ツバメちゃんたちは、お母さんとひなちゃん、ひゅうがの、まわりを飛びます。


「 ありがとう!キュート! ありがとう!チュリ! ありがとう!ジュジュ!  


さあ! お行きなさい! 来年きっと帰って来るのよ! キュート! チュリ! ジュジュ! 


元気で。ね! 」


「 がんばれー! 南の国まで、へこたれんなー! 」


「 ・・・・来年ねー! 気を付けて! 」 ひなちゃんも涙がいっぱい・・・。


チチー!チチー!チチー!チチー! ツバメちゃんたちは、高く高く、まい上がりました。


空には、たくさんのツバメたちが、待っていました。


---44話につづく---


ブログ(Haoのステキな一日)URL

remienuogreen.blogoo.ne.jp/

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ