チュン太も!!!
7羽のツバメが来て、ツバメちゃんたちのまわりを、取り囲むように、飛んでいます。
気が小さいジュジュが、口を大きくあけて威嚇します。
キュートが舞い上がると、チュリが後を追うように飛びます。
そしてついに、ジュジュが飛びました。
ひなちゃんとひゅうがは、「 さよならしたかったなー 」 と 残念そう。
夕方になると、元気な声で鳴きながら、ツバメちゃんたちが、帰ってきました。
「 やったー! やったー! 帰って来たー! おかえりー 」ひゅうがは ガッツポーズ。
次の日も朝からツバメちゃんを外に出しました。
時々、もどって来て虫をねだります。でも、飛び方は一人前。
( これが、 ジ ユ ウ ジ ザ イ っていうのかな? かっこいいなー! )
今日は、ひなちゃんとひゅうがは、がっこうがお休み。
朝、早くお母さんと一緒に出て来て、ツバメちゃんたちを外に出します。
ひなちゃんとひゅうがは、自由に空を飛ぶツバメちゃんたちを見上げています。
「 キュートたちが帰ってきたら家に入れるようにしないと
気が付かないでいたらあぶないわね。 」 と、 家に入ったお母さんが言いました。
「 そうだなぁ、天窓をあけっ放しにすれば、チュン太が出ていっちゃうし・・・」 と お父さん。
「 うーん、そうね。 チュン太も飛行訓練するか!
でも、あまり飛ばないうちに、ネコかタカか何かに、やられそうな気がするね。 」
「 前よりは、だいぶ、たくましくなったんじゃないかな? 」
「 チュン太! 飛んでみる? 」
チュン太は、自分で鳥かごに入って、いそがしくごはんを食べています。
お父さんとお母さんは顔を見合わせて 「 だめかな? 」
ひゅうがが、「 チュリたち、かっこいいねー!!! 」
と 言いながら、おうちに入って行きました。
ひなちゃんも 「 お父さん!見た? すごいの!
超スピードで飛ぶのに、どこにもぶつからないの! 」
「 あー、見たよ。小さかったひなたちが、あんなに飛べるようになるなんて
ほんとにびっくりだね。 」
「 チュン太も、外に出してみようかと思うの。 」 と お母さん。
「 ツバメたちが帰って来た時、家に入れないから、天窓をあけてあげようと思ってね。
お母さんが、チュン太の飛行訓練もしてみようって。
チュン太も大空を飛べたら、うれしいんじゃないかな?
ひなは、どう思う? 」 お父さん。
「 キュートたちが、楽しそうに飛んでいるから、チュン太も飛べたらきっと楽しいと思う。 」
「 チュン太、まっすぐに飛んで行っちゃって、帰って来なかったら? 」
ひゅうがは心配そう。
「 そんなことも、ないとは言えないな。 もしかしたら、お別れかもしれないぞ。 」
ひなちゃんは、羽づくろいをしているチュン太を指に乗せて、ゆっくりなでています。
ひゅうがが、横から 「 チュン太! お前、帰ってこいよ! 」
「 じゃ、お母さんが外から呼んでみるから! 」 お母さんは、外に出て来ました。
ひゅうがが、少しだけあみ戸をあけました。
「 チュン太! おいで! こっちにおいで! ひゅうが! もう少しあけてみてもらえる? 」
チュン太は、ひなちゃんの手から飛び立ちました。
お母さんのほうに向かって飛びました。
でも、すぐに急ブレーキをかけてもどってしまい、外側からあみ戸につかまりました。
「 あははは! チュン太ー! あまえんぼだなー! 」 ひゅうがが、笑います。
ひなちゃんも泣き笑い。
お母さんは、チュン太に手をさし出しました。
チュン太は、お母さんの手の中にもぐるように入って、動こうとしませんでした。
「 お父さん、天窓をあけてくださいな。 そろそろジュジュたちが、おなかすく時間だから。」
( チュン太。本当は、ぼくなんだろう? ぼくが、お庭にいるから、帰ったんだね。
でも、チュン太は、いいんだよね、それで。 )
夏休みが終わる頃、ツバメちゃんたちは、ほとんど帰って来なくなりました。
夜も、お友だちと一緒にすごして、昼に1、2回、元気に鳴いて帰ってきます。
お母さんが、おはしをコンコンしても、虫は食べに来ません。
そして、ある日、お洗たくをほしている、お母さんのまわりを
チチー!チチー!チチー!チチー! 大きな声で鳴きながら、何回も何回も、回りました。
ひなちゃんとひゅうがも、お庭に出てきました。
「 お母さんは、一緒に行けないのよ 」 お母さんの目から涙がいっぱい落ちて・・・。
7羽も一緒にお母さんのまわりを回ります。
そして、高い電線にとまりました。
ツバメちゃんたちは、お母さんとひなちゃん、ひゅうがの、まわりを飛びます。
「 ありがとう!キュート! ありがとう!チュリ! ありがとう!ジュジュ!
さあ! お行きなさい! 来年きっと帰って来るのよ! キュート! チュリ! ジュジュ!
元気で。ね! 」
「 がんばれー! 南の国まで、へこたれんなー! 」
「 ・・・・来年ねー! 気を付けて! 」 ひなちゃんも涙がいっぱい・・・。
チチー!チチー!チチー!チチー! ツバメちゃんたちは、高く高く、まい上がりました。
空には、たくさんのツバメたちが、待っていました。
---44話につづく---
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