ツバメちゃん3
ひなたちの飛行訓練が始まりました。
お母さんは、こわがるひなたちを、お庭の木にとまらせ、ほんの少し、はなれた所で
「 チュリッ チュリッ チュリッ チュリッ 」 と 何度もツバメの鳴き声で呼びました。
ひなたちは、しっかり木につかまったまま、羽ばたきました。
( それじゃあ、飛べないよ。 つかまっている木を、はなさないと。 )
がんばれー! ツバメちゃんたちー! )
「 はははっ 飛ぶ気持ちはあるようだな。 」 お父さんは笑って見ています。
「 まだ無理かしら。 」 お母さんは、3羽のひなたちを家の中につれて帰りました。
お母さんは、おそうじやお洗たくをしてから、また、ひなたちをつれて出て来ました。
そして、木にとまらせて少しはなれます。
( さっきより近いね。 お母さん。 )
「 キュート! チュリ! ジュジュ! おいで! さあ飛ぶのよ! 」
今度は、名前で呼びました。
ひなたちは、羽をパタパタしますが、木につかまっている足が、なかなか、はなれません。
「 キュート! キュート! 飛べるでしょ? ここまで来て! チュリ! ジュジュ! 」
お母さんは、一生けんめい呼びます。
すると、キュートが、足をはなしてお母さんの胸に、しがみつきました。
チュリが、それに続いて飛びました。
それを見て、最後までこわがっていたジュジュも、お母さんめがけて飛び付きました。
「 やっと飛べたね! 1mかー、南への第1歩だな。 」 と、お父さん。
「 そうね、秋風がふいたら、南の国へ行かなくては。
それまでには、自由自在に飛べるようになるわ。 」
お母さんは、3羽のひなたちをなでながら、木の所に行ってとまらせました。
また、さっきと同じ所まで、はなれて呼びました。
3羽が平気で足を木からはなすようになると、お母さんは、だんだん遠くにはなれて呼びます。
それも平気で飛ぶようになると、今度は2階から呼びました。
ベランダにいるお母さんに向かって飛びます。
頭をひっこめたような、いかにもこわがっている飛び方。
( まだ、かっこ悪い飛び方だけど、頑張ったね! ツバメちゃんたち えらいぞ! )
次の日、ツバメちゃんたちは、電線にとまって、ごきげんにしています。
お母さんが、はしをコンコンすると、虫を食べに降りてきます。
降りて来る時は、あいかわらずお母さんに、しがみつく感じ。
そして、もっと高い電線にとまった時、7羽のツバメが来て、
ツバメちゃんたちの周りを、取り囲むように、クルクル飛んでいます。
ツバメちゃんたちは、びっくり!
---42話につづく---