笑顔でいるの
「 りょうがーー !! しなないでー !!! 」
突然のさけび声に、ぼくの背筋は、さか立ちました。
お母さんは、ぼくによりかかって、泣いています。
( ぼく そばにいるよ お母さん・・・ )
少し暗くなったころ、お母さんは、ぼくと一緒に走って家に帰りました。
ぼくは、わけも分からず、心配で、お母さんの顔を見ながら家に着きました。
ひなちゃんとひゅうがが、もう家で待っています。
「 ひなちゃん、お米あらってくれたのね。 ありがとう! 」
ひゅうがが、「 ぼく、お風呂の準備したよ! 」
「 あら、ひゅうがも? ありがとう! お母さん、急いでご飯作るから、先にお風呂入る? おやつ作れなくてごめんね。 」
「 おなかすいたけど、いいや。お風呂はお父さんが帰ったらいっしょに入ろうかな。 」
「 今日はお父さん、おとまりだから お風呂に入ってね。」
ひゅうがは一人でお風呂に入りました。
ひなちゃんは、お母さんといっしょに何か作っています。
お魚の焼けているにおいが、してきました。
( ぼくにも、お魚の頭がきますように。 )
ひゅうがは、入ったと思ったら、もうお風呂から出てきました。
そして、いつものように、ひゅうがが、はしをならべている音がします。
ひなちゃんがもり付けた、ごはんやスープやサラダも、ひゅうががテーブルにならべます。
ひゅうがが、いすにすわる音がしたら、ぼくも、ひゅうがの近くの窓の所にすわります。
お母さんが、さいごにすわって、食事が始まりました。
ひゅうがは、学校であったできごとを次々と話しています。
ひなちゃんは、だまって食べているようです。
( ひなちゃんも、お母さんと同じだ! 何かいつもとちがう )
ぼくの心は、おちつかなくなりました。
( ひなちゃんもきっと、泣いてしまう )
ぼくは耳をすまして、家の中から聞こえる声を一つも聞きのがさないようにしました。
「 ・・・・・・ さあ、こんどひなちゃん、きょうは、いいことあったかな? 」
お母さんが聞きました。
「 お父さんは、お母さんにいつも聞くよね、きょうは何かいいことあった?って。 」
ひなちゃんは、おさえた声で言いました。
「 そうね、ひなちゃんのを聞いてから話すからね。 」 と、お母さん。
「 いいことあったけど、おぼえてない。 ・・・ お父さんは病院に行ったの?
検査したの? どうしておとまりなの? お父さんどこにおとまりなの? 」
「 おかたつけしてから、お話しするわね。 」
お母さんがいすから立ち上がりました。
ひゅうがも、ひなちゃんも、次々立ち上がって食器をかたつける音がします。
窓があいて、お母さんが持ったお皿に、いつものチーズが3つ。お魚の頭が3コ乗っています。
ひゅうがが、横から、ぼくの銀色のうつわにごはんを入れました。
ぼくが、チーズをお母さんの手からもらって食べると
「 おりこうさん 」 ひなちゃんが、白い顔をして言いました。
( ひなちゃん お母さんと同じ顔 何だか心配 )
窓が閉められ、みんなはとなりの部屋へ行きました。
( ぼくもとなりの部屋の窓の下に行って聞こう。 )
しばらくシーンとした後 「 笑顔でいようね ! これからお母さんが話すことは・・・・」
−−34話につづく−−−