表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぼく  作者: 槌谷 紗奈絵
26/52

思い出話

お母さんが、植えた、フェンネルを,ハピちゃんが、いっぱい食べます。


それでも、フェンネルは、負けずに、大きくなります。


(  フェンネル、 強い !  )


ぼくは、お母さんより、大きくのびた、フェンネルを、見上げました。


黄色の花が、上の方に、さいています。


( 花火みたい ! )



そこへ、よっちゃんの、おばちゃんが、遊びに来ました。


「 クロちゃん !  お久しぶり ! 」


「 これは、なーに ? 大きくなってるハーブ 。 」


と、まどごしに、家の中の、お母さんに、聞きます。


お母さんは、お庭のテーブルに、おかしと、ハーブティーを、持って来て、


「 それはね、 や・せ・る・ ハーブよ 」 と、にっこり。 



ぼくは、テーブルの下に、ねころび、お母さんの、くつに、鼻を、乗せて、話を、聞きます。


「 ハピちゃんは、毎日、モリモリ、食べるから、体が、しまった感じ、しない ? 」


「 そうそう、ハピちゃんが、やせたと、思ったのよ 。


これ、食べるから、だったのね ?


わたし、いただいても、いいかしら ? 」


「 ええ、どうぞ、どうぞ ! 


帰りに、いっぱーい、つんでくと、いいわよ !


においが、きらいな方も、いらっしゃるから、今、味見してみたら、いいわよ 。 」


よっちゃんの、おばちゃんは、ほんの少し、つまんで、食べました。


「 あまーい ! だいじょうぶ ! 」 と、うれしそうに、言いました。



「 なんだか、こうして、おちゃするの、お久しぶりね 。 」


「 ほんとね、子どもたちが、小さいころは、毎日、話していたのに 。 」


「 クスッ ! 子どもたちも、色々して、てんやわんやだったわねー 。 」


お母さんは、思い出したように、わらいました。



「 そうそう、よしきと、ひなちゃんの、カケオチ事件 ! 」


「 まだ、何も、分からなくて、『お名前は?』って、聞かれると、


指を、一つ立てて、『2ちゃいー』って、答えていたころだったわねー。 」


「 おたがいに、そちらに、おじゃましてると、思い込んでいて、


気付いたら、どこにもいなくて、わたしたち、なきながら、さがしたのよね 。」



( えーーー ! いなくなったのー ? よっちゃんとひなちゃん ! )


ぼくは、あわてて、おき上がって、テーブルの下から、出ました。


お母さんは、ニコニコしながら、ぼくを見て、話を、つづけます。



「 ぜんぜん、見つからなくて、とうとう、おまわりさんに、話しに、行ったら、


おまわりさん、のんきに、


『 おう、カケオチだね ! 』 なんて、 おっしゃって 。 」


「 わたしたち、ないていたから、元気出すように、考えて、いらしたのね 。 」



( おまわりさんが、 カケオチ ??? カケオチって、何 ? )


ぼくは、おかあさんと、よっちゃんのおばちゃんの、顔を、ずっと、見ました。

 

 

「 夕方になって、よっちゃんの、おじいちゃんから、


二人で、手をつないで、うちに、来たって、電話が、はいったのよね 。 」


「 あんなに、遠くまで、国道を、わたって、どの道を、歩いて行ったのかしらね 。 」


「 今でも、なぞね 。 思い出すと、ゾッとするわー 。 


自動車に、はねられなくて、ほんとうに、良かった ! 」 


「 ほんとにねー ・・・・・ 」 


しばらく、二人は、だまっていました。



( おじいちゃんちに、行ったのかー 。 )


 

「 ウフッ それから、『お母さんたちに、話さないで、出かけちゃダメ !』って、言って


よっちゃんと、ひなちゃんを、山の大きな木に、しばって、


わたしたちは、かくれたのよね 。 」 と、お母さんが、また、話し始めました。


「 二人のなき声が、山中、ひびいたけど、かくれている、私たちも、ないたよね 。 」


「 ええ、だき合って、ないたね 。 」


よっちゃんの、おばちゃんの、目からも、お母さんの、目からも、なみだが、あふれました。



「 ひなちゃんが、けがを、したことも、あったね 。 」


「 そうそう、かんたんに、さくを、とびこえて行った、よっちゃんの後を、追って、


さくを、とびこえようとしたけど、ひっかかっちゃってね。」



「 あの時の、おくさん、早かったよー ! 


ひゅうが君が、まだ小さくて、何を、話しているか、分からないくらいの、時だったけど、


『オカアサン・・・』って言う、ひゅうが君の声が、外から、聞こえただけで、


顔色、かえて、とび出して、行ったでしょう ?


私なんか、何が、おきたのかと、思っているうちに、頭から、血を、流している、


ひなちゃんを、だっこして来て、すぐ、病院に、連絡して、つれて行ったのよ 。 」



「 そうだったわねー、


ひゅうがの声が、何か、ふつうでは、ない何かを、言おうとしている声だったから、


ひなちゃんに、何か、あったと、思って、むちゅうで、走っていったの 。 


動物の感 ! ね 。 」


「 さすが ! 動物の感 ! 」


よっちゃんの、おばちゃんは、ぼくを、見て、片目を、つむりました。



「 わたし、いつの間にか、ひゅうが君を、だっこして、後ろの、ざせきに、乗ってた 。


病院で、ひなちゃん、ちりょう中、なかなかったから、先生に、ほめられたね 。」



「 ますいを、しない方が、早く、治るからって、ますいなしで、ぬったのよね。 


わたしの方が、ないちゃって、先生に、


『お母さんが、ないちゃいけないよ、ひなちゃん、がんばったんだから !』って 


言われた。 」


「 アハッ そうだったの 」


よっちゃんの、おばちゃんは、そう言いながら、おいしそうに、ハーブティーを、飲みました。



( ひなちゃん、小さい時から、がまん強いんだなー 。 )



−−−27話につづく−−−

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ