テリー ! テリー !
( お母さん ! テリーが、肩にいるよ ! )
お母さんが、水入れを、取ろうとしたその時 ! エルは、喜んで、飛びつきました。
テリーは、びっくりして、パッと、高く、高く飛びました。
風が、ゴーーー ! と、テリーを、追い払うように、さらっていきます。
( テリー ! テリー ! )
テリーは、ティッシュペーパーのように、くるくる回って、飛ばされていきます。
ぼくは、見えなくなった、テリーの方を、ずっと、見ていました。
「 あら ? テリーが、飛んだね。 そのうち、帰って来るでしょ。 」
( のんきだなぁ ! テリーは、飛んだんじゃなくて、飛ばされたんだよ ! )
ぼくは、すぐに、さがしに行かない、お母さんを見て、テリーの事が、心配になりました。
鼻を、高くして、テリーの,においを、かいでみても、土ぼこりの、においと、葉っぱのにおいだけ。
ひなちゃんたちが、帰って来る、時間になっても、テリーは、帰ってきません。
「 ウォーーーン ! 」・・・・・
「 ウォーーーン ! 」・・・・・
「 ウォーーーン ! 」・・・・・
( ぼくの声、 テリーに届け ! )
夕方になって、やっと、お母さんは、テリーの心配を、始めました。
庭で、 「 テリー、暗くなるわよー ! 帰って来なさ−い 。 」 と、テリーを、呼びます。
ひなちゃんと、ひゅうがも、 「 テリー ! テリー ! 」 と、 大きな声で、呼んでいます。
とうとう、夜に、なりました。
「 ウォーーーン ! 」・・・・・ぼくは、時々、呼んで、においを、かいでみました。
テリーの、においはしません。
家から、ひなちゃんの、ないている声が、聞こえます。
お父さんが、帰ってから、4人で、明かりを、てらしながら、テリーを、さがしに、行きました。
明かりが、山の上の方に、見えます。
ひなちゃんと、ひゅうがが、テリーを、呼んでいるのが、かすかに、聞こえます。
やがて、みんなは、何も話さないで、帰って来ました。
「 ウォーーーン ! 」 ( テリー ! テリー ! )
ぼくは、夜中も、時々呼びました。
( 明るくなったら、こちらに、飛んで来なよ ! )
朝に、なると、お母さんたちは、いっぱい紙を、持って、出て、来ました。
大きな字と、絵が、書いてあります。
テリーの、絵です。
「 だれか、見つけて、くれたら、いいね ! 」 と、 ひなちゃん。
「 お母さん、ス−パーにも、たのんで、はらせて、いただくね。 」
「 テリー、帰って来るよね ? 」 ひゅうがは、お母さんの、顔を見ます。
−−−19話につづく−−−






