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ぼく  作者: 槌谷 紗奈絵
16/52

ハピちゃん

「 ちょっと、お願いが、あって来たんです。 」 と、せがお兄ちゃんは、言いました。


箱を、持って来て、 「 これなんですが・・・・ 」


( 何だろう ! ) 鼻を高くして、においを、かぐと、


( なまあたたかい、このにおい ! チュン太の時と、にている。 何かのヒナだ ! )



お母さんが、箱を、のぞきました。


「 あら、何のヒナかしら ? 黒い鳥ねー 。 」


「 これは、バリケンといって、フランスがもの、仲間なんです。


つとめ先の、動物園で、生まれたんですが、


いっぱい、生まれるもんですから、肉食獣のえさに、されるんです。


こいつも、えさになると思うと、どうしても、かわいそうで。


こいつだけは、助けたいと、思って。


考えていたら、お兄さんの、家で、飼ってもらえるんじゃないかと・・・」



[せがお兄ちゃんは、お父さんを、「お兄さん」、お母さんを、「お姉さん」と呼んでいます。]



お母さんは、お父さんの、顔を、見ます。


「 このバリケンとやらは、どの位、大きくなるのかね ? 」 お父さんは、聞きます。


「 はい、この位です。 」 せがお兄ちゃんは、両手を広げました。


「 70cm位かねー ? 」 お母さんが、口を、はさみます。


「 そんなもんですね。 」 と、せがお兄ちゃん。


「 かってもいいかしら ? 」 と、お母さん。


「 見たら、飼いたいだろう ? 」 と、お父さん。


「 お願いします。 」 と、せがお兄ちゃんが、お父さんに、頭を、さげます。


「 あー、おいていったらいいよ。 うちのが、飼いたいようだから。 」


( お母さん、うれしそう ! )



さっそく、お母さんは、どこかから、ゲージを出してきて、組み立て始めました。


せがお兄ちゃんも、手伝います。


広くて、りっぱなゲージが、できました。お母さんは、箱の中から、ヒナを出しました。


( まっ黒な、ヒナ ! )


「 クロ ! 小さい子だから、仲良くしてね。 」


ぼくは、小さな、新しい家族を、見つめました。


ペタペタ、と、歩きます。


( 声は、ないのかな ?? ) ぜんぜん鳴きません。



「 そうね、 ひなちゃんと、ひゅうがが、使った、ベビーバスを、おきましょう ! 」


かわいい絵が、書いてある、ベビーバスを、持って来て、ゲージの中に、入れました。


まいてあるホースを、引っぱると、カランカランと、音がします。


ホースの先を、ベビーバスに入れて、水道のねじを、回すと、勢いよく、水が、たまりました。



お母さんが、黒いヒナを、そーーっと、少しずつ、水に入れました。


びっくりしないように、静かに、手を、はなすと、黒いヒナは、水に浮いています。


「 おー ! いっちょ前に、泳ぐじゃん ! ! 」


せがお兄さんは、大喜び !


お母さんは、手を、たたいて、パチパチパチッ ! 「 まぁ ! じょうず ! 」



ぼくも、近くに行って、よく見ると、足を、ゆっくり、動かして、泳いでいます。


頭を、水に入れたりして、ごきげんです。


( アハッ ! かわいい ! )

 


お母さんは、自動車に乗って、ひなちゃんたちを、迎えに行きました。


一緒に、帰ってきた、よっちゃんも、ひなちゃんと,ひゅうがも,ゲージにつかまって、


めずらしそうに見ます。


「 お名前を、つけようよ ! お母さん、 何てつける ? 」 


ひなちゃんが、お母さんの方を、ふり返って、言いました。


「 そうねー、この子は、せがお兄ちゃんが、幸せになってほしいと、願って、助けたから、


ハッピー が、いいんじゃない ? 」


「 ハピちゃんだね ! 」 と、ひゅうが。


「 ハピちゃん ! 大きくなるんだよ ! 」 ひなちゃんは、うれしそうに、言いました。


せがお兄ちゃんも、うれしそう。 


( おチビの、ハピちゃん、ぼくが、遊んであげるね ! )



お空が澄んで、秋になると、ハピちゃんは、ずいぶん大きくなりました。


ゲージから、出してもらって、遊びます。


ぼくの鼻を、つついたり、おなかのあたりを、かみついて、ねじります。


すごく痛いから、時々、ぼくは、「 キャイン ! 」 と、声が、出てしまいます。


お母さんは、「 あら、また、やられちゃったの ? やり返さないから、強いわねー。 


本当は、クロの方が、ずっと強いのに、えらいねー、えらいねー ! 」


お母さんは、ぼくの事を、ほめてくれます。 


ぼくは、ハピちゃんが、何をしても、かみついたり、しません。


だって、ぼくが、一回、かみついただけで、ハピちゃんは、死んでしまうから。



ある日、ハピちゃんは、ペタペタと、歩いて、エルの方へ、行きました。


( だいじょうぶかなー ? エルは、ポインター。


かもや、キジを取る、猟犬[りょうけん]だから、あぶないよ! )


エルは、自分の方に、歩いて来る、ハピちゃんを見て、かまえます。


しっぽを、ピーンと、立てています。


( あれは、赤ちゃんたちが、ひゅうがと、遊んでいた時の、飛びつくかまえ ! )


「 ワンワンワン ! 」 ぼくは、ほえました。


( それ以上、行ったらダメ ! ハピちゃん ! ダメだよ ! あぶない ! )


ぼくが、ほえるのも、気にしないで、ハピちゃんは、ペタペタ、歩いていきます。


 −−−17話につづく−−-




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