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ぼく  作者: 槌谷 紗奈絵
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「 かわいがってくれそうな、お客さんに、声、かけてみるっす 。 」


「 あら ! うれしいわー ! 優しい方に、お預けしたいの 。 お願いねー 。」


「 それじゃー 、 また、連絡しまーす ! クロ ! バイバイ ! 」 


( バイバーイ ! バイバーイ ! )


ぼくは、トラックが、見えなくなるまで、しっぽを、ふりました。



赤ちゃんたちは、じょうずに、ご飯を、食べるように、なりました。



白い赤ちゃんが、もらわれて行くようです。


ひなちゃんが、だっこして、写真を、とりました。


ひゅうがも、一緒におすわりして、写真を、とりました。


そして、箱の中に、白を、入れて、自動車の、うしろに乗せました。


ひなちゃんと、ひゅうがが、その箱をはさんで、両側に乗り込みました。


二人とも、箱を、のぞき込んでいます。



この前、お部屋から、聞こえてきた話だと、お母さんの、じっかの、お向かいさんが、白い方が、いいって。


( あの子は、おじいちゃんちの、近くにいるんだね、 幸せになるんだよ ! )


お母さんの、車は、走り出しました。


帰ってきた、ひなちゃんと、ひゅうがは、「 よかったー ! ひろちゃんちで ! 」


「 おじいちゃんちに、行ったら、見に行こう ! 」 と、 喜んでいます。


( ひなちゃんと、ひゅうがが、笑っているから、いい人だったんだなー ! )



ある日の朝、また、写真を、取りました。


ひなちゃんと、ひゅうがが、「 バイバイ、やさしい人だからね。 安心してね。 」


と、赤ちゃんたちに、話しかけています。


そして、何度も何度も、バイバイをして、幼稚園に行きました。 



しばらくすると、遠くから、あの、うれしい音が、聞こえてきました。


トラックと、カンカンの、怪物の音です。


ぼくは、しっぽをふって、遠くを見ます。 鼻を、高く上げて、においを、かいでみます。


お兄さんの、においが、かすかにしました。


お兄さんの、トラックが、やっと、見えます。


まだ、少し寒いのに、お兄さんは、腕まくりして、トラックから、ひじを、出していました。


( 早く来て !  ぼくと、遊んで ! )



お母さんが、箱を持って、家から、出てきました。


お兄さんが、カンカンの怪物を、トラックから、運んでいる間に、黒い赤ちゃんを2匹と、白い赤ちゃんを、箱に、入れました。


お兄さんは、いつものように、うちにあったカンカンを、トラックに乗せると、ぼくの方に、歩いてきます。


( 待ってたよー ! 遊ぼー ! )


ぼくは、お兄ちゃんに、飛びつこうと、しました。


箱を持った、お母さんが、ぼくと、お兄さんの間に、すっと入り、


「 ありがとうございます。 よろしくお願いしますねー。 ご飯も、少し入れましたから、

先方様にも、よろしくお伝えください。 」


「 はい ! とても、いい方たちです。 どうぞ、ご安心ください。 」


お兄さんは、箱を、受け取りました。



「 クロ ! じゃあな !  今日は、そんな訳で、遊んでられないんだ ! 」 と、


受け取った箱を、片手に、持ちかえて、ぼくの頭を、3回なでたかと思うと、トラックに、乗って、ビューン ! ! と、帰ってしまいました。


「 キューン 、 キューン 」

 

( お母さーん ぼく、お兄さんと遊びたかったよー ! )


「 ごめんね、クロ !  赤ちゃんたち、 うちでは、飼えないのよ。 でも、プロパンのお兄さんが、かわいがって、育ててくださる方を、見つけてくださったの。 」


お母さんは,そう言いながら、ぼくを、いっぱい、なでました。


ぼくは、なでてもらうと、うれしくなって、すわっている、おかあさんの、ひざに、・お手・を、しました。



もう一匹の、黒い赤ちゃんは、お母さんの、お友達の所に、行きました。


まーるい顔の、やさしい目をした、おばさんです。


( また、前の、静かなお庭、 ちょっとさびしいな。 )



すっかり、あたたかくなった日。


お母さんが育てた、青い亜麻[あま]の花が、風にゆれているのを、うつらうつらと、見ていました。


今日は、お父さんが、お休みです。


車が、坂を、登ってきます。


( せがお兄ちゃんだ ! )


「 こんにちはー ! 」


人の良さげな、笑顔の、せがお兄ちゃん。


「 クロ ! ちょっと、見ない間に、太ったなー ! 」


ぼくは、グルグルっと、のどを、鳴らしました。


「 よしよし、 久しぶり、久しぶり ! 」 


と、言いながら、背中を、大きく,なでました。 


お父さんは、 「 太ったかなー ? 」 と、ぼくを、見ます。



せがお兄ちゃんは、「 今日は、ちょっと、お願いが、あって来たんです。 」 と、いいました。


そして、車に帰り、箱を、持って来ました。


「 これなんですが・・・・ 」


( 何だろう ! )


ぼくは、鼻を高くして、においを、かいでみます。


( なまあたたかい、このにおい ! チュン太の時と、にている。 何かのヒナだ ! )



−−−16話につづく−−

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