結婚
すずしい夜、ぼくは、なんだか淋しくなって、
「 ゥウォーーン ・・・・・ ゥウォーーン・・・・・ゥウォーーン 」
ようすを、見ながら、なきました。
お母さんが、こわい顔になって、家から、出てきました。
( ドキッ )
「 静かにしないと、夜でしょう ? メッ ! 」
「 ウォンは、 ダメなの ! 」
( ウォンは、 ダメ。 )
ぼくは、耳を低くして、頭を下げました。
「 クロは、おりこうねー、よしよし。 もう分かったわね。 ウォンはダメよ。 」
お母さんは、ぼくの頭を、なでて、帰って行きました。
ぼくは、がまんです。
淋しくて、たまらなくなると、 「 ヴーキューン 」
がまんしても、声が、出てしまいました。
空気が、すんで、星が、きれいに、見えるころ、ついに、ぼくは、結婚しました !
すっかり、仲良しになった、エルと、ぼくは、結婚しました。
寒くなって、大好きな雪が、降りました。
エルの、おなかは、大きくなって、苦しそう。
よっちゃんのおばちゃんが、ひなちゃんと、ひゅうがを、むかえに来て、
「 お母さんは、しばらく、びょういんに、いるから、おばちゃんの家で、ご飯を食べよう。」
と言いました。
お母さんが、いない日が、続いています。
夜、たくさん、雪が、降りました。
朝になると、庭も、山も、やねも、まっ白 !
木の枝は、白い線に、なっています。
エルは、落ち着かなくて、雪の上を、うろうろ、しています。
( 寒いから、エルは、おうちに、入ってないと、いけないのに。 )
大変 ! エルは、歩きながら、雪の中に、赤ちゃんを、産んでしまいました。
エルは、とても、困っています。
行ったり、来たり。
あーっ ! また、雪の中に、産んじゃった !
( エル ! おうちに入れるんだよ ! 赤ちゃんを、早く ! おうちに入れて ! )
ぼくは、赤ちゃんに、手を、伸ばしましたが、とどきません。
もう、何回も、雪の中に、赤ちゃんが、生まれました。
最初に、生まれた、赤ちゃんは、動かなくなって、しまいました。
( お母さーん ! 早くー ! 早く帰ってきてー ! )
−−− 13話につづく −−−