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ぼく  作者: 槌谷 紗奈絵
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なんだか淋しい

飛び出してきた、すずめのヒナを、ジャンプして、つかまえた、ぼく。


でも、ほめられるどころか、お母さんは、こわーい顔で、 「 メッ ! 」 って、


ぼくを、うんと、しかりました。


幼稚園から帰った、ひなちゃんが、ぼくを、ほめました。 


お母さんは、静かになった、暗い夜、家から出てきて、ぼくを、だきしめました。


「 ありがとう。 クロ。  ごめんね、 クロの気持ち、分からなくて。 」


ぼくは、うれしくなって、お母さんの、ほっぺを、なめました。



ぼくは、いつの間にか、大きくなって、少し太りました。


よっちゃんのおばちゃんが、 「 クロ、ころっコロしてるねー ! 」 


ニコニコして、言います。


今日は、よっちゃんのおばちゃんが、ひなちゃんたちを、幼稚園に送りました。



お母さんが、スイカを、切って、持って来ました。


外のテーブルには、お母さんが、育てたハーブの、お茶。 


( うーん、いいにおい ! お花のかおり )


ぼくは、鼻を高くあげて、もっと、かおりを、すい込みました。



オカメインコのテリーは、お母さんの肩に乗って、かんむりを,立てています。


よっちゃんのおばちゃんが、 「 ほら、テリー ! スイカの種よ ! 」


テリーは、お母さんの腕を、スルスルと、おりて、スイカの種の所に、行きました。


そして、口ばしで、スイカの種をおしながら、進みます。


何か、話しているように、聞こえます。


「 グビディズグビディズ−ズ−  グビディズグビディズ−ズ− 」


( それって、ナニ語 ? ? ? )


テリーは、スイカの種に、話し終わると、皮をわって、中身を食べます。


たくさん食べて、テリーのくちばしも、鼻の頭も、まっ黒。


よっちゃんのおばちゃんは、テリーの鼻を見て、大笑いです。


「 テリー、 お口のまわりが、まっ黒よ !  きれいにしましょうね。 」


よっちゃんのおばちゃんが、テリーの口を、ふこうとした瞬間[しゅんかん]! 


テリーは、プルッと首を振りました。


鼻に付いたスイカの種が、ピューンと飛んで、ぼくの鼻に、当たりました。


ぼくは、あわてて、しばふに、鼻を、こすり付けました。


お母さんと、よっちゃんのおばちゃんは、なみだを、流して笑っています。


すずめのヒナは、あみ戸につかまって、こちらをみています。



じょうずに、飛べるように、なっても、チュン太が、外に出ることは、ありませんでした。



夜が、すずしくなりました。


なんだか、淋しくなってきます。


「 ウォーン 」


ちょっと、ないてみました。


少し気持ちが、すっきりします。


もう一度、ないてみました。


( なかなか、いい感じ ! )


続けて、ないてみました。


淋しさが、ちょっぴり、おさまります。


もう一度、なこうとしたら


お母さんが、家から出てきました。


眠い顔です。


「 いけません ! 」 と、言って、帰りました。


ぼくは、ガマンしましたが、しばらくすると、どうしても淋しくなって、しまいます。


「 ゥウォーーン 」 えんりょしながら、なきました。


( これなら、だいじょうぶ )


「 ゥウォーーン ・・・・・ ゥウォーーン・・・・・ゥウォーーン 」


ようすを、見ながら、なきました。


お母さんが、こわい顔になって、家から、出てきました。


( ドキッ )


−−−12話につづく−−−



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