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ぼく  作者: 槌谷 紗奈絵
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ピクニック


ぼくは、甲斐犬。本当はクマと闘ったりクマを威嚇して猟師さんを守ったりする勇敢な犬なのだそうです。でも、ぼくは、猟に出かける事はなく、大切に育てられ、平和で幸せな毎日を過ごしています。

ぼくは、生まれてから、とても親切で、優しい家族に育てられました。



朝はだっこされてお散歩に行きました。


昼はシッダンとドン・イーッの練習をしました。


難しかったけれど、頑張るといっぱいほめられるので、もっともっとがんばりました。



ぼくがじょうずに走れるようになった頃、ユキというものが降りました。


ぼくはユキが大好きです。



ぼくが、だんだん大きくなって、家族のだれより早く走れるようになった時、あまいにおいがしてきました。


春になったのだそうです。



家族みんなはぼくを連れてピクニックに出かけました。


自動車からおりると、ぼくはうれしくなって走り出しました。


うしろからぼくを呼ぶ声が聞こえます。



でもぼくは、びっくりするくらい早く走ったから、みんなの声が小さく小さくなって聞こえなくなりました。



色々な花の香りがして、おなかがすいたのも忘れて走りまわりました。


初めてのいい香り、ブーンと何かが羽を鳴らして飛んでいます。



気がつくといつの間にかあたりはまっ暗になっていました。



自動車をおりた所にもどってみると、もうだれもいなくなっています。



自動車のにおいのあとを歩いてみました。歩いているうちに明るくなってきました。



朝です。



もっと歩いていると、また夜が来ました。



おなかがとてもすいています。



自動車のにおいはだんだんうすくなりました。


ほかの車のにおいが強くなって、とうとう、ぼくが乗ってきた自動車のにおいは、分からなくなってしまいました。



もう、いくつ朝が来て夜が来たのかも分かりません。



ぼくは、歩けなくなって空き地の車の下で眠ってしまいました。



目がさめると少し元気になっていました。


でも歩こうとすると足がいたくてとてもあるけません。



ウオオォーン!!大きな声で呼んでみました。



できるだけ長く呼んでみました。



何度も呼んだけれど家族は迎えに来ません。



また夜が来て朝が来ました。



のどがかわいたけれど、足が痛くて水をさがすこともできません。



ぼくはこのままここで死ぬのかな? 



第2話につづく


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