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第99話「突然の別離」

陰府よみ~ 


目を開けると暗く、電子の配列が縦横無尽に走っている。


「んだここは??」


「マスター目を覚ましましたか?」

「ん?俺は寝ちまってたのか?あれ?身体が動かない!?」

「そうです。ここは、ログインする待機場所、アイドリングする世界です。」

「てことは、俺はログアウトしている最中なのか?」

「いえ、今は私とマスターは時が止まっている状態です。」

「んじゃあ、さっさとソロモンたちのとこにいこうぜ?」

「いえ、マスター。あなたには、伝えなければならないことがあります。」

「なんだよ。急にかしこまっていうことなのか??」


「あなたはこの世界の5柱の一人に会いましたね?」

「いや、あってないぞ?」

「いえ、お会いしています。その証拠に“天の声”を聞いたログがあなたのキャラクターデータに入っています。」

「そんなのどこで見ればわかるんだよ?ステータス画面か??」


セイメイは急いで自分のステータスを確認した。


「ログには、ノイズが走ったようにしか残っていませんし、定時メンテナンスで通常のバグ修正で消去されるシロモノです。」

「はぁ?!だから、俺は何も…!!」


セイメイは思い返していた。


―――俺はたしか、白黒の世界で自分で自分の姿をみるような現象がおきた…そのときに、声が聞こえた。そのことなのか?


「すまん、ルカ。多分聞いた。」

「やはり。そうでしょうね。なぜ嘘をついたのですか?」

「これは嘘ではなく思い出せなかったのだよ。鮮明に覚えているわけでもなく、一瞬の出来事だったんだよ。」

「なるほど。」

「そ、それがなんかまずいのか?BANくらうとかか?」


「いえ、BANを喰らうようなことではないですね。おそらくなんらかのノイズが今後走るかもしれませんので、気をつけてください。」

「お、おう、わかった。」


ルカは話を続けた。


「今、私はAIとしてこの世界に存在し、つぶさにプレイヤーの監視をしていましたがふとしたことであなたのギルドに招待され、仲間の一員として過ごしいます。

 あなたを監視しているようにも見えますが、まだ報告データは蓄積しており、アウトプットもしていません。定期的にアウトプットされていた以前はなにも問題ないのですが、以前より膨大なデータが蓄積され、おそらく次のメンテナンスで放出される可能性が極めて高いのです。」

「ほう、それでルカはどうなっちまうんだ?」

「リセットされる可能性が高いです。」

「??」

「この人格は変わりませんが、今まで旅して来たデータがすべて吸い上げられたあと、思いメモリーがバックアップデータごと吸い取られてしまう可能性が高いのです。」

「え?まじ?最初から??」

「ええ、ですのでそれは私も正直、この状況でプログラミングされている行動の通りでいけば、おそらくギルドには残留するのですが、もう一度、データを入手しなければなりませんので、これまでの旅のデータが消えてしまうのです。」

「どうすればいいんだ??」

「私は兼ねてからバックアップデータをコピーすることを提案しようと思っており、丁度いいタイミングですので、これを期に預かっていただき、次回のメンテナンス明けのログイン時に私に預けてください。」

「そ、そんなのでいいのか?」

「ええ、構いません。ただし…」

「ただし??」

「今回は未知数の可能性が大きいです。今、アイテム化をし、マスターにお預けしますので、捨てずに保管をしていただけませんか?」

「わ、わかった。自立学習型AIなのにめんどくさいんだな?」

「所詮私はプロトタイプです。膨大なデータのマザーBOXをもっているのはグスタフしか所有を許可されていません。」

「そ、そうなのか…。」

「もういいやということであれば、今までの流れは忘れて最初からになり、マスターの何不自由ないAIとしてサポートすることになりますが、マスター側の方で、会話に支障が来たすのでそこはあしからず。」

「そんなこと思ってもいないぞ?」

「ならば、次回のメンテナンス明けに私に声をかけて手渡してください。すぐにインストールし、対応が取れます。」

「OK~!いいぜ!?」

「では、少々お待ちください。」


ルカは大きく息を吸い、両手を胸に当てると光の玉が出てきた。


「これを預かっておいてください。」

「おおうw」


【記憶の宝玉】を手に入れました。


「これを次のメンテナンスの際に渡せばいいんだな?」

「そうです。」

「わかった。大事に保管しとくよ。」


「では、転送先をソロモンさんの背後にします。…いきます。」


ルカの周りが輝くと目の前は一気に真っ白になった。



――――――――――――――――――――――――――――


~定期船・甲板~


ソロモンの背後にワープしたセイメイとルカは着地した。


海をくまなく探しているソロモンを尻目に、ソロモンの背中をポンポンと叩いた。

ソロモンは振り向くと、驚いて海に落ちそうになっていた。

セイメイは、ソロモンの手を引き、なんとか体勢を元に戻すと、ソロモンは頭をかきながらいう。


「まったく都合のいいようにぽんぽんワープしよってからに!!」

「ははは…。まぁいいじゃねーか。つかえるもんはつかっておこうぜ?」

「マスター、私はモノではありません。A…」


セイメイはルカの口を塞ぎ、にやっと笑いこういった。


「すまんすまん。仲間だもんな。」


「さすが、セイメイ様。見事な計略!御見それしました!」

「わ、わたしは!セイメイさんが戻ってくるのを信じていましたから!驚きはしませんよっ!」

「よくいうわい。嬢ちゃんwさっきまで半泣きしとったくせにwww」

「ソロモンさん、言っていいことと悪いことがありますよっ!!」

というと、クリスは槍を出しソロモンの顔に突き出した。


ソロモンは苦笑いしながら、指で槍をゆっくりと顔をからどかした。


「ま、まぁ心配してたっていうのはわかったからええじゃろ??」

「むぅぅ~~~!!」


「まぁまぁ二人共w俺もルカも無事なんだからいいじゃねーか。それより、さっさとアーモロトに戻ろう。」


揺れる船の上で今までの話やくだらない雑談をしていた。


~メディオラム・ロームレス城下町~


セイメイ一行は無難にロームレスに入る事ができた。そして、アーモロトに帰る事をベルスに直接会って報告しようかと思っていたのだが、生憎、ベルスは既にログアウトしているとの事だったので、セイメイ達はロームレスを後に、アーモロトへ帰る事にした。



~商業都市ロンバルド~


ここは商業が栄えている街だ。(第7話参照)


セイメイ一行は一時解散し、各自アーモロトに戻る支度をし直し、15分後に集合し直す話をしていた。

しかし、時間になっても、ルカの姿が見当たらない、仕方なく探してみる事にした。


「おーい、ルカー?どこいったんだ?」

「マスターどうしたんじゃ??」

「いや、ルカが見当たらないんだ。俺の近くにいなかったから、てっきりクリス、ソロモンの周りにいるもんかと思っていたんだけど?」

「え?私はてっきりセイメイさんと一緒なのかと…。」

「わたくしには会いにきませんでしたし、なにか興味があって立ち見しているかもしれませんね…。」


アーケード街を探し回ったが、一向に気配を感じれない。


「マスター、ギルドチャットとか、個人チャットは出来んのか?」

「無論、送っているが反応がない。」


メンバーリストをおこし、ログインの確認を見る。


「ログイン中になっているからどこかにいるんだよな?」


すると、知らないヤツからメッセージが届く。


―セイメイ、東門へこい。但し一人でな。


周りを見渡したが行き交うプレイヤーであるため、どいつが送ってきたのか見当もつかない。

また、囁きの個人チャットは一方的に切られていた。


「あーっと俺は少し東側を探す。みんなは反対側を探してくれ。」


『わかりました。』



~商業都市ロンバルド・東側の門~


足早に東側の門に向かうと、一人の女とルカが、立っていた。


「あんたか、俺を呼び出したのは…。」

「流石、アーモロト守護者にして、グランドマスターのセイメイだねぇ。」

「あ~どうよんでもらっても構わない。うちのギルメンを返してもらおう。」

「あーっとそれは無理なお願いだよ。」

「なぜだ!?ギルドの脱退は本人、もしくは俺のキック権限のみだ。お前になにが出来る!!??」

「そんなこと?簡単よ??」


魔法陣のような詠唱をし始めたが一瞬でその行為は行われた。


【ルカさんがギルドを脱退しました。】


「な、なんだと!??…ルカ!!おまえ!!!?」

「おほほほほほ!!ルカの意志とは関係ないわ!!ニンゲン…!!」

「テメー、AIか??」

「そういうことにしておきましょう。私の名は妲己。知る人ぞ知る悪女の名を冠した者よ。」

「ハハハハハ!!!」

「なにが、おかしい!!??」

「おかしいだろwwwまんまやんけぇ!!wwww」

「貴様に何がわかる!!??ニンゲン風情が!!!」


そういうと、俺に黒い雷を落としてきた。


ズドーーーン!!


「いててて…。せっかく!!耐久を戻した鎧になってことしてくれんだよ!!!」


セイメイが刀を抜こうとすると、全身の力が抜ける。


「おっとと…。」


セイメイは前かがみに倒れてしまった。


―――HPに余裕はあるし、CCでもない。何が起きたんだ??


「あはははは!!!所詮、この世界のニンゲンなんぞ、その程度よ!」

「くそっ!!ルカを返せ!!」

「無駄だよ!この子は今、膨大なデータを抽出されている。メンテナンス状態なんだよ。お前の声なんか聞こえちゃいない。」

「こんのクソアマがぁ!!!」

「なんとでもおっしゃい♪この子は私の所にもらうわ。じゃあね♪」


そういうと、セイメイの前から消えてしまった。



月夜に消える魔女に手も足もでなかった。


セイメイはただ、ただ消えた痕跡を見つめるしかなかった。



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