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第85話「白閃のクリスティーナ」

物々しい扉を開けると、ギィィィと音が鳴り響く。


部屋は等間隔で燈籠明かりは灯されたまま、静かに揺らいでいるだけだ。


「ここは…?」


バタン!!!


先ほど開けた扉が勢いよく閉じる。


「音でビビらすのなしだぜ?」


セイメイはどうにもこういう雰囲気が苦手なようだ。


「それでもグラマスなんですか??セイメイさんっ!!」

「それとこれとは話が違うだろ~よ??」

「お二人ともおしゃべりはそこまでよ?」


スカルドが二人を諫めると地面からゴゴゴゴッと響く音が聞こえてくる。


「なんだよ、最初から出て来いよ…。」

「珍しく無駄口が多いのぅ?マスター。」

「え?だって、怖いときはなるべく大きい声で喋ればお化けは近寄って来ないんだろ?」

「なんじゃその…マイナーな子供だまし…。」


セイメイはガラにもなく大きな声で歌い始めた。


「おばけなんてないさ!おばけなんてうそさ!!ねぼけた人が!見間違えたのさ!!!」

「おい!!マスター!音程ちげーぞ!!」

「なんでこんな時にセイメイさんはふざけてられるのぉ!!???」


刀を抜き構えながらいう。


「バカヤロー!!俺はいつでも真面目だ!!!どぅわわわわーー!!!」


さきほどより、地面の振動が激しくなり、動けなくなった。


「くる…」


ドドーーーーーーン!!!


地底深くあるこのダンジョンは地獄の業火と共に魔神が現れた。


【アジ・ダハーカが現れた。】

≪全テノ愚カナウジ虫ドモニ世界ノ破滅ヲ!!!≫


アジ・ダハーカは三つ首ドラゴンの化身である。


「おいおいおい。あれ?強すぎない?」


セイメイが言い終わる前にクリスが動く




聖なる裁きを受けよッッッ!!!!


正義ジャスティス啓示エンスラー!!!




天に突き上げた聖銀の槍が太く穿つ槍に変化し、胸に掲げると、一直線にアジ・ダハーカの胸を貫く!!


「即死狙い…!!」

「やるじゃないか!!嬢ちゃん!!!」

「…ダメです。復活します!!」


傷口からはヘビやイモリなど、爬虫類がうじゃうじゃと出てくると同時に毒が噴き出し蔓延してきた。


「マジかよ…。クリス下がれ!!」

「心臓を打ち抜いているのに!!なんで!!??」

「アジ・ダハーカは死にません…。私に任せてください。ソロモンさん、残り“切れ端”は何枚ありますか?」

「ん~~残り2枚じゃあ!!!」

「順番を伝えます。悪魔には悪魔で対抗します!!その間に解毒聖魔法をクリスさん!!お願いします!!」

「わかったわ!!」


クリスは範囲魔法、聖域サンクチュアリというスキルを打つと祈り始め、あらゆるCCをクリアにしていく。


「私はアイス・フラワーであの傷口を凍らせて、止めますッ!!!」


氷消の刃よ、我が刃となりて解き放て…


アイス・フラワーッッ!!!


無数の氷刃は斉射されると、アジ・ダハーカの傷へ向けて一気に刺さる!!!


ズザザザザザザザ!!!!


キーン!!傷口を塞ぎつつダメージを与えてはいるが、アジ・ダハーカは炎をまき散らし、火傷と毒のCCが否応なくHPを削ってくる。



ヒールオブフィールド!!!


ソロモンが全体に回復魔法をかけてCCのダメージ軽減を行う。


「マスター!!このままでは埒が開かん!地道に相手のHPを削っていくしかない!!」

「まったくだ!!こういうメンドクサイの本当に好きだよな??開発者は!!!」


刀をしまい、青龍偃月刀をだしてスキルを放つ。


とおりゃあああああ!!


兜割りを放ち、届かない頭を無視して、首元を切り込み、回転斬りをいれ柄を返し旋風大車輪を放った。


旋風せんぷう大車輪だいしゃりんッッ!!!


風と共に迸る火炎が刃と共にアジダハーカの首を落とす。


「んだよ!!いけるじゃんか!!!!」


と、ほっとしていると、ルカが前にでる。


「マスター!どいてください!!」


アイスフラワーッ!!!!


氷の刃は切断した首元を凍らせていた。


「クッソ!!忘れてた!!サンキュ!!!」

「いえ、まだ二つあります!!ソロモンさん!!いけますか!!??」

「当たり前じゃ!!W詠唱のテクニックを舐めるなよッッ!!!」


ヒールオブフィールドを放っている間に“切れ端”の呪文を詠唱していたのだ。


「いでよ!!!地獄の騎士よ!!!」


ソロモンはエリゴスを召喚する。

エリゴスは切れ端に書いてある魔法陣から飛び出してくると炎獄馬に跨り、槍を携え旗を掲げ颯爽と現れた。


≪主ヨ…我ニ何ヲ求メル…≫


「決まっとるじゃろ!!アジ・ダハーカを攻撃しろ!!」


≪……。≫


「…なんで動かん!!くっそ!!不良品か!!?」


≪要求ガ多スギル。部位ヲ言エ…≫


「カーッ!!そういう問題かい!!!アイツの首を落とせ!!」


容易たやすイコトダ…≫


足で馬を叩き、走ると剣を抜き一撃で首を落としてきた。


「さっすがだわぃ!!助かったぞぃ!!!」


ソロモンがお礼をいうと、静かに消えていった。その間にルカはアイスフラワーを放ち、切断面を凍らせていた。

その間にセイメイは刀を出し、抜刀術を打ち放っていた。



剣聖神道流  “蜈蚣むかで




刀を抜くと地面すれすれに体を低く走り抜け、アジダハーカの尻尾の切断に成功する。

ギャアアアアアアアーーーーーと怪声の呻き声と共にチン!と納刀の音を鳴らしていると、斬り終えたセイメイの後ろには尻尾と付け根の切断面からヘビや毒が噴き出しセイメイを襲う!


ミスト!!!防御壁プロテクションウォーーーールッッ!!!!!


吹き付ける毒はミストと中和していくが、ヘビなどの爬虫類は壁を抜けてくる。


「セイメイ様!!」


スカルドはセイメイを覆うように盾となり、噛まれてしまった。


「バカヤロー、女を壁にするほど、俺は落ちぶれてねーぞ!!ソロモン!!回復いけるか!?」

「任せろ!!」


ソロモンはかけよりヒールオブエスペランサを唱えている。

軽く切れているセイメイは苛立ちを覚えていた。


「あんまよぉ~!悪魔さんばっか出てこられても成仏させられない()()()()さんじゃあ、名折れってもんだぜッッ!!!」

武器を刀に切り替えて抜刀の構えをすると、走り込む。


奥義!!疾風!枝垂桜しだれざくら!!!


 抜刀ともに右一文字から斬り抜け、踵を返し刀の柄を持ち替えて片腕で、首元の切り裂いた肉を切り落とすように先ほど一文字で切り裂いた下部をまた右側から切り裂く。血しぶきが枝垂れ桜の如く、飛び散る!


「だから!!マスター!!動いて!!」


アイスフラワー!!!


「まだだ!!!」


刀をスパーンと切り裂くと斬り損ねた皮一枚を切り落としにかかり、最後の首を落とす!


怒涛の連続技により、アジ・ダハーカの首を全て落とす事になった。


「ふぃ~!これでもまだ生きているんだろ??どうすんのこれw」


首がなくなった胴体は蠢き始めた。


「おいおい、第二形態とか、フリー〇とか、デス〇サロじゃねーんだぞ??」

「さっきから版権引っ掛かりすぎですぅ!!!」


クリスがツッコミを入れる。


アジ・ダハーカは先ほどクリスが打ち抜いた胸部の当たりから、目のような形が出てくる。そして、ゆっくりと瞼を開くと俺らを凝視し始めた。


「第二形態のお披露目かよ。」

「この動きは…クリスさんの聖域に入ってください!!」

クリスの聖域から出てしまっているセイメイは急いで戻る。そして、アジ・ダハーカの目は、眩い光を放つ。

「あっぶね~~!!ヘッドスライディングしたの草野球以来だわw」


辛うじて中に入ることができた。しかし…


「マスター!!足が…!!」


セイメイの片足は石化を始めていた。


「はーい。俺をこんな石に変えられちゃっている俺を助けてくれる英雄ヒーローは誰だい?」


セイメイはソロモンをみて、目配せをした。


「そりゃあワシしかおらんじゃろ?w」


にぃっと笑うと、最後の魔導書グリモアの切れ端を出していた。


―――とはいうものの、最後の一枚だ。こいつは…当時泣け無しお金で買ったヤツじゃ。これはランダムじゃ…!何が出るかわからねー!!


いでよ!!我が僕!!


切れ端に書いてある魔法陣から飛び出してくる。


フシューーーーー!!!


煙の中から現れたのは顔が馬の悪魔だった。


「ここにきて馬頭めずなんじゃああ!!!」


ソロモンはがっくり肩を落としていた。


≪…我ガ名ハ…オロバス、汝ノ願イヲ叶エヨウ…≫


「オロバスよ、お前さんは何ができる?」


≪汝ガこうむル災難ヲ退ケヨウ…≫


―――魔法防御か??おし、()()にでるかの。



「嬢ちゃん、お祈りは終わりだぞぃ?」

「え?」

「こやつが、我々を守ってくれる。嬢ちゃんの属性攻撃力が必要じゃ!早くせぃ!」

「あ、はい。」


クリスは慌ててかけより盾を前に出す。


「それでどうするんですか!!」


ソロモンはニタニタしながら話しかける。


「無論、セイクリッド・エンスラーじゃ!」

「でも、相手の攻撃が…。」

「そこじゃ。石化の光線を喰らわずに、攻撃ができるじゃろ?」


オロバスを見上げて身震いする。


「こ、この悪魔が助けてくれるんですか?」

「そうじゃよ?」

「オロバスは召喚者に対しては大変誠実で、他の霊からの攻撃から守ってくれるということじゃ。」


スパパパンとシステム開き、注釈を見せてあげた。


「うう…。い、一応聖職者なんですけどぉ…??」


クリスは戸惑いながらソロモンに返答したが、ソロモンは聞き入れてない。


「んなあほなこといいさんなや。ほな、いくで!!」


クイックタイム、コンセントレーション!!


クリスの素早さと攻撃力を上げた。


「マスターにいつも授ける魔法と一緒じゃ。」


後ろを振り向き、動けないはずのセイメイは青龍偃月刀を構えていた。


―――セイメイさん、なんであんな状態でも戦意を失わないのだろう…。


グォォォォーーー!!


雄たけびと共にアジ・ダハーカの目は、眩い光を放つ。

ソロモンとクリスは目を瞑る。


ブォォォン!

オロバスはクリスの目の前にバリアを張り、光線を防いでいた。


「長くは持たんぞ!?安モンじゃからの!!」

「いっきまぁぁぁぁぁす!!!」



アジ・ダハーカに一直線に向かいスキルを放つ。


「これで…最後だぁぁ!!!!」



セイクリッド・エンスラァァァァーーーーー!!!!!!!!!!!!




輝く光の線は白い閃光に変わりアジ・ダハーカ向かった。


渾身の一撃を繰り出したクリスの影はセイメイ達の身体を隠した。


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