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第81話「効率と可能性」

絶対先制攻撃を手段とした状態で第2波に備える。


「こちらは見えてないんだよな?」

「ええ、そうですわ。セイメイ様のオーラアタックでもどなたでも…あと、クリティカルも入ります。」

刀から青龍偃月刀に装備を変える。

「セイメイさん、きます!!」


シャアアァァァァーーーーー!


一気に数多の魔物が襲い掛かってきた。


「先にクリス!セイクリッド・エンスラーを打て。そのあとに俺が続く。スカルドは俺らのHP管理頼む。ソロモン!!ソロモンは完了次第、任意で発動!!」


『了解!』


霧の中、初動の技を放つクリスは作戦通り放ち、大部分を消滅させる。残りの散らばったものを先行クリスに集中するところをセイメイのオーラアタックが燃やし尽くす。あらかた片付いたが、残りは幽霊である。


「こいつは…物理攻撃あたるのか?」

「当たる…しかし、威力が半減する。」

「お、おう。」

「アンデットには聖攻撃なの?」

「それ…」


会話をさえぎるようにソロモンが叫ぶ。


「おまっとさん!!いくぞぃ!!!!」



災厄カラミティクロゥ!!!!


ソロモンの手から突風が吹き業火がそれにより一直線へ当たる。


「まぁたまにはかっこいいとこ見せんとね?」

「なぁにいってやがるw」

幽霊の方をみると、何も動じてない。

「おいおいおい、魔法はききませんとかいうオチじゃないよな?」

「いいえ、ダメージは入っている。」

するとその幽霊はアスモデウスを召喚した。

「まじか…。いきなり大ボスじゃぞ!!!」

「まってください!このクエストを倒したことがあるのが、複数人存在するの?嘘でしょ??」

「フフフ…やるしかねーじゃんかよ…。ここで下がれば今までが無駄になる。全員死んだらゲームオーバーだろうーがw」


容赦なくアスモデウスは攻撃をしかける。


ブォンと音をたてることもなく、地面をうならせてセイメイたちの足元を揺らす。


「マスター、このままでは…。」

「落ち着いてください。私が前に出ます!」

クリスは聖攻撃を繰り出し、時間を作った。

アスモデウスは攻撃こそきかないものの、動きは封じられている。

「このままだと全滅ですわ…。セイメイ様、ここは撤退を。」

「あきらめるのか?ここまできて…!」

セイメイは苦悩する表情を浮かべ、頑張っているクリスの背中をみる。

「だめだだめだ!俺が諦めたら、ここまできた苦労が水の泡だ。」

「マスター、いいんじゃ。ここで魔導書カギを返せば、いい話じゃ。」

「それじゃ今までなんだったんだよ!!」


言い争っている間にルカが動きだした。


「私の役目が回ってきた…。」

「何いってるんだ?まだお前じゃ無理だ。」

ふわっと身体浮かせたルカはクリスの前にでる。


「る、ルカちゃん?」


魔界ヨリ出デシ悪魔王アスモデウスヨ、汝ニ告ゲル…

我ガ力ニヨリ魔界ヘ送リ返サン…


ルカの目がぼーっと光り、杖をかざすと時空断裂を生み、その時空の穴にアスモデウスを閉まってしまった。セイメイは動揺し、何がおきたかわからない状態だった。


ルカはアスモデウスを闇に帰すと、幽霊がまた攻撃をしかけようとする。


セイクリッド・エンスラァァァー!!


クリスは襲い掛かる幽霊を貫くと、幽霊の周りに光の円柱が発生し、昇天させることに成功した。



「おい、ルカ。どういうことだ。説明してもらおうか。」


――――――――――――――――――――――――――


 セイメイ達はルカの説明を聞くとソロモン以外は驚きを隠せなかった。ルカは人工知能成長型AI、巷で噂になっていたAIの導入が行われていたプロトタイプであることを知る。AIの導入の意図はわからないが、予測としては、人工知能AIと人間の脳との相互理解、もしくは人間の手助けをすることになると思われるはずだった。しかし、人工知能が発展していくことにより、環境のこと、人類こと、全て機械が結論づけてしまうことになる恐れがあるということだ。これはだいぶ前から懸念されていることだが、まさかオンラインゲームで導入させて試験的に図ろうとしていることだった。


「ソロモンは驚いてないが、知っていたのか。」

「スマン、マスター。隠すつもりはなかった。タイミングは大事だと思ってのぅ。」

「そうか…。気を使わせてしまってすまんな。」

「いや、いいんじゃよ。」

「私には自我も存在する。表現がまだ少ないだけ。」

「そ、そうか。俺はどう接したらいいんだ?」

「マスターは第二のご主人様。なんなりとご命令をください。」

「む?へんなこと考えてないですよね?」

「お、おいw俺はロリコンじゃないぞ?犯罪者予備軍みたいな目で俺を見るなw」

「そうですわね。人ではない。けど、お話が出来るロボットみたいなもの?」

「私はロボットではない。人でいう肉体を持たない。“魂”だけの存在。すべてサーバーでの管理があり、そこに私の“魂”は存在する。」

「なるほどね。で、“第二”という言葉に引っかかったのだが、第一はだれなの?ソロモンとか?w」

セイメイは冗談ぽくいったが、まさかこの人名…いや、名前が出てきたことにセイメイは愕然とする。


「グスタフ様です。」


『!!』


「嘘だろ…。あの“ワンギルドワン”のグスタフだと…。」


セイメイは腰が砕けそうになったが、クリスに支えられてなんとか立っていた。


「グスタフ様もまた人工知能、AIなのです。」

「マジかよ…。俺はもうここまでくると驚くどころか焦りもしねーわ。」

「グスタフはなんで、ルカを野放しにしているんだ?」

「グスタフ様は、今でもこのイーリアスの最高権力者であります。その中でプレイヤーのあなた達の行動を監視しております。」

「おいまじかよ。」

「ま、じ? はい。そうです。まじです。私以外に数名おります。既にいくつかの難関クエストを攻略して、いくつかのギルドに所属しています。」

「なんだと???」

「このことにより、世界の均衡をとろうとしていた。しかし、あなた達がその均衡を壊しにきた。」

「あの、アーモロトを陥落させたことか?」

「はいそうです。マスターたちがアーモロトを陥落させたことにより、エウロパのマスター、ギュターヴが失脚をし、人では、感情というなるものが存在し、完全な統治が難しいと判断したためAIが別のルートを検索した結果、人工知能のAIを放出することが可決され、現状に至っています。」

「なるほど、ではギュスターヴは消去されているわけではないんだよね?」

「はい、そうです。エウロパが解体された以上、彼は一個人プレイヤーに戻っただけですので。」

「しかしだな。均衡とはなんだ?各プレイヤーが戦って勝ったり負けたりするのはだめなのか?」

「それは、いくつかの難易度をもって、防衛戦を行ったりし、微妙な調整を行っている最中です。このままいくと、来年には完全な統治が可能という演算がされています。」

「おいおい、機械の脳みそが俺らがしのぎを削って遊んでいる世界を効率重視で統一しようってのか?」

「そういうことでしょうね。セイメイ様。これは運営に報告をあげるべきでは?」

「なぜ?運営もグルかもしれないのに?プレイヤーをあざ笑うかのような行為ではあるが、誰がそれを止める?訴訟でも起こすのか?そんなことやっている前に統一されてしまう。そんな管理下におかれた世界で楽しめるか?」

「いや楽しめんじゃろうな。おそらく廃れていき、やがてこのゲームはサービス終了じゃろうて。」

「バカバカしい。商業目的だろうが。ゲームってもんは…。」

「なので、私の判断ではヒトの可能性の方に組み込まれているAIです。他の個体存知上げませんが、少なくとも渡し、ルカ・アルザバードは、セイメイさマ…の味方です。」

「お前のデータは、グスタフと共有されているのか?」

「されている部分とされていない部分があります。ログなどは残りますが、このような会話は別の媒体に記憶されており、それをグスタフ様が閲覧することはシステム上できないことになっています。理由は管轄が違うためにです。」

「なるほどなぁ、ちなみにルカは俺についてくる。という判断でいいのか?」

「イエス、マスター。ご指示をいただければ、私がご助力させていただきます。」

「くぅう~~!なんかいいなぁ。メイドみたいな感じでw」

「ちなみにワシに対してのあの表現はなんじゃ?ムスメとかいうのは。」

「今までのソロモンさんとセイメイ様の会話ログを閲覧することが可能です。」

「え?いや、いかがわしいような会話もか?」

「はいそうです。ソロモンさんはたしか、キャバクラ?というのがお好きですよね?」

「ば、バカ!ココで余計なこというな!場所を選べ!」


クリスとスカルドの視線が痛い


「申し訳ございません。以後使用時には気をつけるようにする単語と認識させます。」

「それはいいとして、今後どうするかだな?グスタフにしかけるにも我々では力不足だ。相手はチートみたいなもんだからな。」

「いえ、グスタフ様はステータス上限であり、装備もSランク装備なだけです。」

「それがチートというんだよwww」

「なる…ほど?」

「まぁいい。ルカみたいな存在がこちら側についていることに俺は驚きもあるがすごくうれしいよ。ヒトの可能性は無限大なんだぞ?」

「ああ、君達AIも無限な情報量を有することが出来るのと同じくらい、ヒトには可能性がある。それがちょっとAIと違うだけで、無限大という表現はイコールだよ。」

「…。わかりました。以後、可能性の演算システムへ移行させます。」

「さてとここをでるか。」


するとどこからともなく黒い物体が現れてルカの身体を壁に押し上げてルカへ大ダメージを負わす。


「ルカちゃん!!」

クリスが横たわるルカを抱きかかえて涙ぐんでいる。

黒い球体は無機質のごとく、モーションなしで魔法を繰り出す。


風が巻き起こり、CCがはいっていく。


「クソ!!出血のCCだ。」


オールヒーリングエンチャント!


「スカルド!ナイス!!」

「そんなことよりセイメイ様!あの球体は?」

「おそらくルカの行動を考えてルカの排除しにきたのかもしれない。」

「なぜ???」

「俺らのような諦めの悪い可能性を信じている信者がグスタフには邪魔なんだろうよ。」

「セイメイ様、それは私を回収しにくる。CPUです。」

「ほう、では排除できるんだな?CPUっていったよな?」

「はい、しかし…。」

球体は起き上がるルカへ再度体当たりをする。


セイクリッド・エンスラー!!


ドン!

ダメージは入っているようだ。


「ナーイスクリス!あとは俺にまかせろ!オーラはたまったぜ!!!」

「セイメイさん!気をつけて!!」


―――グスタフ、おまえとはいつか戦うときがくると思っていたが、まさかAIだとはな…。おそれいったぜ…。


ルカ「はぁ…はぁ…!!」


ソロモン「マスター!!受け取れ!!コンセントレーション!!アーンド!!クイックタイム!!」


―――マスター!もう良い!!これでダメなら、下がってくれ!!


スカルド「決めちゃって下さい!!大地ガイア精霊スピット聖鎧ホーリーアーマー!!」


セイメイ「っしゃ!!」


ザザザザ!!


―――これで倒せないなら…やむを得ない!!撤退だ…!!!常に血の疾風のCCを喰らい続けているためHPがかなり削られる。


龍よ、我に力を授けよ!


天舞てんぶ蒼朱そうじゅ旋風せんぷう烈覇れっぱ!!!!


クリス「ルカちゃん!!下がって!マスター!!ルカが!!」


セイメイ「バッッカヤロー!!!機械の脳みそなんかに飲まれるんじゃねーー!!!!」


ルカが黒い球体に包まれる。それに単独突っ込むセイメイがいた。


『マスタァァァー!!!!!』




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