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第73話「陛下からの招待状」

~ガレオン船~


「あんにゃろ~!回線きりやがった!!」

怒り爆発中のピピンは歯軋りをしながら、文句をいっている。

「なにがあったんだ?」

カルディアは状況があまり飲み込めていない。

「ふむ…。拉致られた…。喧嘩をしかけた。しかけられた。」

いくつかの行動パターンを予測しながらファウストはメガネを輝かせている。


唯華が突拍子も無いことをいった。


「ギルド抜けるんじゃないの??」


「馬鹿をいえ!セイメイのお抱えだぞ?あいつが抜けるなんてありえない。」

「カルディア!あなたがいうのもおかしくないか?アイオリアさんに誘われて前のギルド抜けたじゃん。」

「あれとこれとでは質が違う。それにアイツはすすんでセイメイから離れたりはしない。」

「どうだかね~?彼だって成長している時点で他ギルドに目移りすることだってあるさ。打算的でいけないということはないんだからね??」

「じゃあ、お前はそうだろうな!さっさと他のギルドにいけばいいんじゃないのか?」

「はぁ??なんであんたにそんなこと言われなきゃいけないの!?」


「はいはい!!ストーーーップ!!!」


ファウストが口論の止めに入る。


「我々の目的はすでに達成されて帰路についている。そんな中で仲たがいをして、なんの得がある?打算的?打算的にというのであれば今の両者の行動や言動は一番打算的ではない。我がギルドへの損失となる。両者とも反省しろ。」


「にゃははははは!………。」

ピピンは笑っている。だが、ファウストはピピンにもガンを飛ばし、黙らせた。


「さて、僕は上にいくよ?君達も口論する暇があるなら、物見台まであがればいい。ガレオン船は物見台が二つあるしね。僕はマストまで移動させてもらう。」


というと、ファウストは消えた。


「え?ログアウトしたの?」唯華は驚いた。

「ん?知らんのか?あいつレベルになると短距離なら移動魔法が使えて、距離50は移動ができる。しかしCTがかかるらしい。」

「あ、そうなんだ。」

「俺は気になるから昇ってみてみるわ。」

「わ、わたしだって見たいよ!!」

「じゃあ先に登れよ?」

ピピンは二人の会話を聞いて、ファウストが上がっている方のトップマストへ移動し登った。


すでに銅鑼はなっていた。



~母艦エスメラルダ~


レーヴァティンの魔眼が開眼すると、黒い光はバーストの衝撃波を一気に受け止める。


「さぁ吹っ飛べ!新人ルーキー!!」


「俺に…力をよこせ!!!レィィヴァァテイィィィィン!!!!」


呼応するかのように魔眼は衝撃波を吸収した。


場はあの熱狂が嘘のように静まり返り、シーンとしている。

無造作に鎧の擦れる音だけが響き渡る。

カチャカチャ…。


ユーグのHPは減っていない。


「おまえ…何をした…!?何を使ったァァァ!!!!???」

滅殫は動揺しつつも、ユーグに詰め寄る。


ユーグは八相の構えから最短距離で剣を振り下ろす


「な…!!」

なんとか踏みとどまるが、ダメージはかなり入った。


―――なぜ!?…俺より攻撃が早い!??


ユーグは振り下ろした剣を左上の方に切り上げる、すかさず、左横切を行いそのまま回転斬りへ移行し、中段に二段当てる。滅殫は吹き飛び、ユーグは距離を縮める。


―――コイツ…!!


レーヴァティンを振り下ろすユーグの剣を手甲でガードする。


「俺にガードさせるとはな!!とんでもねー化物だな!!」


ガードした手甲を押し戻しながら、立ち上がりユーグの腹に蹴り出して距離を取る。


―――ふぅ。ヤツはいきなりあんなパワーを手に入れた?エリクサー?いや飲んだ形跡はない!すると、さっきの魔眼の影響か??


ユーグは無言で更に黒い霧を使い、相手の標準をブラす。

気づくと滅殫の眼の前に大きく振りかぶっているユーグがいた。


我が叡智を授けし、アーソナよ!我に力を授けよ!


ダーク暗黒ブリンガーァァァ!!!


「なめるなぁ!!」


我が闘気よ、龍神の力を宿せ!!


双龍拳そうーりゅーけーん!!


両腕に龍が巻きつき、拳には二つの龍の頭が現れ、両拳を突き出し、レーヴァティンに噛み付く!

二つのスキルがぶつかると攻撃の均衡が保てなくなり、お互いの攻撃が吹き飛ぶ!!


バシーーーーーン!!!


距離をとらされる



「中々やるじゃねーか。新人化物ルーキーモンスター…!!」


―――クソッ!ドレイン・ブレイクを使って滅殫の攻撃ダメージを吸収し、攻撃力バフに転化させて瞬間火力、加えて俺の連撃スタイルを使ってギリ対等だ。



「さぁ…そろそろ終わりにしようか!!」

滅殫は肩をまわしながら、ユーグに言い放った。


戦いは更なる激化の色を見せていた。


~母艦エスメラルダ・上甲板~

「グラマス…。ファウストがガレオン船にいます…。」

マグナカルタの魔導士長の幹部がプレミアに耳打ちする。

「なに!?」

プレミアはモニターを出して船外にあるガレオン船を見る。マストの上に立ってこちらをみているのは、ファウストの姿だった。


「なぜヤツがガレオン船なんかに乗っている!?」

「どうやら、あの男の連れのようですね。」

「今日はやたらと色々と出来事が起こっているなぁ。今日は退屈しないなw」

にやりと不敵な笑みをこぼしていた。


~ガレオン船~

「ふむ。どうやら、ユーグ君は戦っているようですね。」

メガネのレンズを調整して拡大している。

「まぁたアイツはそんなことやっているのかよ。」

「しかし、中々の激戦を繰り広げているようですよ。」

「アイツ、俺らのグループギルドVC切ってなにやってんだ?」

「そんなことわかるわけないじゃない!」

「ていうか、俺にもそのメガネ貸せよ?」

「残念、これは課金アイテムです。」

「はぁ?今買うわ!!!」

「高い?」

「普通だよ。」


そんなやり取りをしている間にユーグの攻防は続いていた。



「ん?DMダイレクトメッセージ?」

ファウストはシステムを開き、送り主を確認していた。どうやら、あのプレミアからのお誘いのメールだった。


―――――――――――――――――――――――――


君もここにきて、仲間の応援にでもしたらどうかね?

我が強敵ともよ。


               Message by プレミア


―――――――――――――――――――――――――


―――僕は君を知らないんだけどなぁ…。しかし、アウェイのユーグ君を放ってはおけないしな。


「ピピン、ちょっと向こうの船に行って見る。」

「え?ええ??ど、どういうことだよ??」

「敵の罠にかかってみようと思ってね!二人を任せたよ。」

「ちょwちょまってよ!」


フォン…。


マストに立っていたファウストは母艦エスメラルダに乗り込んだ。



~母艦エスメラルダ・上甲板~


ファウストは移動魔法で飛び乗った。

プレミアのそばに近づくと衛兵らしき聖騎士二人が気づく。

「なんだ!?貴様!!」

「どうやって入ってきた!?」


ファウストは両手に魔法陣出し、瞬時に唱えて歩きながら、両手を衛兵の二人の顔面に手を当てると、バタバタと膝から落ちる。


「Good night…。」


中に入ると鎮座していたプレミアの左後方に出た。


「貴様!どうやって乗船した!!??」魔導士長は激昂した。

「よいよい。私が呼んだのだ。衛兵を倒すとはな。警備が甘いか…??」


副マスターの聖騎士を横目で見ると、聖騎士は深く頭を下げていた。


「申し訳御座いません!」

「よい。私は怒っているわけではない。」

「ハッ!」

「それより、ファウスト殿、お初お目にかかる…というわけではないのだが、貴殿は覚えているか?」

「これは女王陛下、大変申し訳ありません。身に覚えがございません。」


というとファウストは丁寧会釈する。


「フハハハ!女王陛下とはな。駆け出しの頃、狩場を譲ってくれたのを覚えてないか?」

「いや、覚えていないなぁ。」

「それ以降、貴殿の背中を追いかけていたら、いつの間にかこうなったわけだ。」

「ほほう。それは立派なことですなぁ。さっそくですが、うちのニンゲンを返してもらいたいのですが?お返し願えますか?」

「そうなるかどうかは彼の双肩にかかっている。」


甲板の大きなサークルには激闘を繰り広げている両雄が並び立ち、攻撃を撃っては弾き、またダメージのシーソーゲームを繰り広げていた。

「ほほう。これは良い趣味をおもちですな。完全アウェイでの戦い。これはあれか?当ギルドのメンバーを血祭りに上げているという変わった趣味のお話か!?」


メガネを輝かせながらプレミアを睨みつける。プレミアは意を返さず話を続ける。


「いや、彼が望んでやっているだけだ。私どもも占領ギルドとしてのプライドがある。全力の相手に全力で返している。言わば、“親善試合”だ。」

「親善試合ねぇ。では、終わったら返して頂こうか?勝敗に関係なくね。」

「フフフ、さぁそれはどうかな?彼の戦いぶりを見ていえるかな?」

「なにッ!?」

戦っているユーグはファウストが乗船したことなぞ知る由もなくただ眼前の敵と戦っている。その顔はバイザー越しではあるが、自然な笑顔がこぼれているのをファウストはみた。

「本来、彼のような上昇志向は我がギルドのようなガチ勢に所属することが最良とされている。彼はまだ伸びる。それをぽっと出のギルドに甘んじさせるのは、先駆者の一人としてどう思うかね?」

「どうもこうも、本人の意志だろ?」

「違う。よりよい環境に送り出してあげるのも先駆者の役目ではないかね?」



プレミアは話を続ける。



「私は彼がほしい!」



甲板に突風が吹き荒れる。それは旅路を終わらせまいと見えない力がユーグ達を足止めしようとしているようにファウストは感じ取っていた。


日は陰りをみせていた。

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