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第72話「両雄激突」

~ガレオン船~


ファウストがカルディアに話しかけている。


「なぁカルディア、ユーグ君を待つべきだったんじゃないのかな?彼は学生だしバイトとかやっているんだろうしさ。」

「さっきVCで話したよ。次の定期船に乗るからグラース港で待つって伝えてあるよ。」

「まぁ結果的に待つことになるけどさぁ…」

「男がお手て繋いで一緒に帰るっていうのは気持ち悪いだろ?」

「そうじゃない。団体行動の話だよ。」

「わーかったよ!謝るよ!すまぬな!」

「まぁ彼自身のクエストに我々が同行したのもおかしな話なのはわかるけど、思わぬ収穫もあったわけだ。そこに関しては彼を蔑ろにするのはどうかと思っただけだよ。」

「…、あいつは俺を越えつつある。その重圧プレッシャーっていうのはお前にわからんだろうよ…。」

カルディアは海を眺めながら寂しそうに呟いた。

ファウストはクスリと笑いながら、カルディアの肩を叩く。

「そんなこと言ったら、みんな古参を越えていくんだよ。古参だから先輩面していいということはないんだよ。彼は図に乗ってマウントを取りに来ないのは、成長させてくれたという恩義と彼の人となりがそうさせているのさ。彼は仲間の中でお荷物扱いを嫌い、急成長を遂げた。それだけでも彼は悔しさをバネに成長しただけのことさ。それに我々は影響を受けて更なる成長を我々もすればいいだけの事だよ。卑屈にならなくていいんじゃないのか?」

「卑屈になんかなってないさ!ただ、俺の気が短かっただけさ…。詫びているだろ?」

カルディアは口を尖らして少し拗ねている。

「ははは。悪かったよ。カルディアを虐めるのはあんま好ましくないなw」


二人はぼーっとグラース港のある方向をみつめていた。


唯華はピピンとじゃれ合っている。


「ねーねーその耳ってデフォルトでの形なの?」

「小娘!よく聞いたな!このピピン様の愛でずにはいられないこのきゃわゆいお耳はスペシャルアバターの賜物タマモノなのだ!」

「へー!!触ってもいい??」

「ひかえぃ!ひかえおろぅ!!この耳は貴様のような下賤の人間が触るなど、恐れ多いぞぉ!!」

「はは~!!ってなんでよ!!いいじゃんかよ!!へるもんんじゃないし!!」

「ちょ!おま!やめろ!!」

「なぁ~にテンプレの拒絶使っているんだよ!ほれほれほれ~~!!」

「ふぁあああ~~やめるんだぁ~~~!!!」


耳をもふもふしていると、ピピンは母艦エスメラルダを艦影を見つけた!!


「お、おい!!小娘!!みろ!!母艦エスメラルダが航行しているぞ!!!」

「ぼかんえすめらるだ??」

「アルビオン諸島のポートウィル軍港で見ただろ?あのデカイ戦艦だよ!!」



ガレオン船もそこそこ大きいが、母艦エスメラルダはその5倍である。悠然たる航行をし、ガレオン船と同じ行き先なのか、航路が平行するように近づいてくる。むしろ、こちらが近づいているのかもしれない錯覚に陥った。


「お、おい。あの旗印…!!」

「マグナカルタの紋章…。」

「カルディア!!」


ピピンはカルディアの方に向かって走る。

「カルディアみろ!!マグナカルタの軍が動いている!!」

「ああ、本当だ、こいつらが…。母艦が動いているということは…!?」

「巨大クラーケンか、シーサーペントの狩り、占領戦をするにはまだ早い時期だ。」


近くで見るととても雄大で圧巻のデカさを身近に感じさせる。


そしてなにやら見覚えのある背中がちらりと映った。


『!!??』一同は目を疑った。


黒い鎧を白く日光が反射し、靡く襟付きマントは聖騎士か暗黒騎士の上位職による特権である。背中にはオケアノスの紋章が刻まれていた。


「おいおいおい、黒光りしてうちの紋章背負っている騎士様は、あの天然バァカしかいねーよな!?」

「まったくあいつは奇想天外な行動しかしねーなぁ。」

「ギルドVCで呼びかける!」


~母艦エスメラルダ・甲板~


「はい?ピピンさん?え?後ろみろ?何言ってるんですかw後ろは海しk…」

梁を見るとガレオン船の帆が見えたので、ガレオン船をみる。4人が俺を見て、手を振っている。

「あー実は、色々ありまして…。」

「ガミガミガミ!!!!」

「すいません!!いえ、そういうわけでは…!」

「ガミガミガミ!!!!」

「ちょっとこっちも立て込んでおりまして…!!」

「ガミガミガミ!!!!」

「お、降りたら…港で説明しますから!!はい!はい!いえ!はい!では一旦切りますね!」

プツン

強制終了をし、VCOFFを押した。


「ん?大丈夫か?」

プレミアが話しかけた。

「いえ、大丈夫です!!」


―――母艦エスメラルダの方が早いのは当たり前か…。こんなんだったら定期船に乗ればよかった…!


ユーグは頭を抱えたが、どうしようもできないので、仕方なく闘技するサークルまで近づいた。


「これより、マグナカルタ主催の親善試合を行う!!」

「両者前へ!」


俺と滅殫はサークル内に入る。


「ルールは簡単。戦闘不能による転倒以外は試合続行とみなす。その他なんでもあり!」

「両者位置につけ!!」

ユーグはレーヴァティンを背中から抜く。

滅殫は手甲を装備し、闘気を纏った。

―――暗黒騎士になってからの完全な五分ゴブの試合だ。言い訳ができない!!俺ならやれる!!己を信じろ!!ユズキ!!!


「試合開始ッッ!!!」


開始の銅鑼が鳴り響く!

ドワーン!!!


最初に仕掛けてきたのは滅殫だった。

格闘家はスピード・拳速・動体視力・そして組み手を交わした鍛錬の数といわれている。

まさにその体現通り。修行なんてものはない。明らかなセンスと動体視力の練度だ。


思わず、防御態勢を取らされた。

ガシーン!!

すかさず、上段攻撃がのしかかる。


―――瞬歩からの正拳突き!からの胴回し!コンボがトリッキーすぎる!


攻撃速度に関しては全職一位二位を争うのが格闘家系の特徴だ。


「おお、みせるなぁ。滅殫さん!」

「いきなり“見せ技”で相手の度肝を抜きやがった。」

観客のマグナカルタのギルメン達はやじっていた。


本来ではあれば、正拳突きからの逆手からの二段突き、その後、回し蹴りをするのがセオリーなのだが、胴回しというスキの多い大技で仕掛けてくるあたり、滅殫の余裕さを伺えている。

この間にも、ユーグのガードゲージを削っていく。


ドン!バシーン!ドゴ!!ドドーン!


胴回しからの下段回し蹴り、IMMUNE!! 

―――フン、これは捨て技

ネリチャギ! IMMUNE!! 

―――これも捨てている。

正拳突き二段!! IMMUNE!!

―――そもそも布石の攻撃CCは捨てている。俺が欲しいのは…


亀のように内に籠っている甲羅をぶち壊すのが俺の目的だぁ!!!!


くるりと回り、足をユーグの腹部に当たるところをレーヴァティンに乗せる様に蹴りだす。


中段回し蹴り!!knock back!!


ユーグはレーヴァティンごと吹き飛ばされる!

ズササァー…!


―――このままでは…!!


「終わりだ!!」


足元の地面を蹴り出し、蹴りだした足裏から紅蓮の炎を纏う

滅殫はさらに加速し、そのまま一直線にユーグに飛び蹴りを入れる。


ドラゴン…!!フレイムッッッ!!!



―――こ、この技は!!!??


ユーグは黒い霧を使い、ゴキブリのように床を這いずりながら走り避けた。


「フン、今の攻撃を避けるとはな。」

「はぁ…はぁ…。アイオリアさんの得意技ですからね。毎日のように見ていた俺には避ける方法をしっている!あなたには予想外だったようだね?!」

「ふーぃ。そうだった、この技を教えてくれたのはアイオリアさんだ。お前は中々骨のあるやつだ。対格闘家のクセを見抜いていようとはな!!」

「アイオリアさんの技を毎日見てきた俺にとっちゃあ、最強の格闘家はあの人だ。弟子もどきにあの人を越える戦闘術を見たことがない。さぁきな!!まだ、隠し技あるんだろ?」

「ふーぅ、言ってくれるじゃんか…。」


というと、一瞬で目の前から消える。


「ッッッ!!?」


すると、いつ間にか俺の鳩尾に拳が埋め込まれていた。rigid!!


「調子に乗るなよ!新人ルーキー!!!」


前かがみになった俺の後頭部を思いきりかかと落としを打ち込んでくる。俺はダウンしたまま動けない。

滅殫は俺の頭を掴み、床を擦る様に引きずる。

「オラァオラァオラァオラァアアアアー!!!!」

雑巾のように擦られた俺はそのまま、投げ飛ばされた。


―――クソ!!リカバリーが聞かないッッ!!!


宙に浮いた俺の身体を綺麗に背中に中段回し蹴りを打ち込み、バックアタックを取っていく。

吹き飛ばされた俺はきりもみ状態で床にたたきつけられる。


これでしまいだ!!!


ライトニング・バースト!!!


ユーグにめがけて拳を突き立てる、全闘気が拳より放たれた衝撃波がユーグに襲い掛かる!!


「甘いなぁ…。俺は…悪の申し子、暗黒騎士だぜ!!!」


ユーグは防御態勢を取る。


「馬鹿め!!!ガードブレイクで、次の攻撃は俺のコンボが待っているんだぞ!死ねぇぇぇ!!!!」

そういうと、レーヴァティンの眼が光る!



甲板には黒い光が放たれた。


甲板にいる完全アウェイのユーグを血祭りにあげるが如く、マグナカルタのギルメンは熱狂している。

そんな中、プレミアは眉一つ動かさず、じっと両雄の戦いを見続けていた。



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