第71話「女王降臨」
夕飯を食べ終えたユズキはバイトの上がる時間までレジ打ちを行っていた。 他の競合店舗は一部、レジフリー化が進み従業員のコストカットが進んでいる。大学でもそうだ。PASSを持っていれば、誰でも入れる学内になっている。セキュリティ面でも不安要素があるが、比較的、日本は治安が良いためこういったシステムが導入されやすく仕事が減っていく傾向だ。
しかし、うちの店舗は人員だ。いい面でも悪い面でもオーナーの意向が強い。
オーナー曰く、『対面接客が顧客を呼び込む!』という感じだ。
コンビニでの経営に関しては対面のメリットもデメリットも知ってはいるが、なによりも弁当などのパントリーの陳列が人海戦術というのが、なんともいえない。ここが一番の労働力なのだが、ここが一番メンドクサイ。本社は何を考えているんだろうか?ここが一番重要着手しなくてはいけないところなのじゃないか?と素人目線で見てしまう。
そうこうしているうちに時間がきた。夜勤のクルーと交替し、引継ぎを終える。片桐と店舗で別れをすると、俺は自宅へ向かって愛車を飛ばすのであった。
自宅に着き、イーリアスへダイブする
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.....ヴォォォィン
Hello Master...
Language setting is Japanese...
Please give me voice-print authentication
「本日は晴天なり」
good! System all green
Dive standby...All Ready!
YES or NO ?
「いえす」だ
excellent!let's GO!!!
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~ポートウィル軍港~
ふう…。昨日の事なのに、長い時間ログインしていないような気分だ。
ギルドチャットにinしたことを報告し、カルディアさんと連絡を取る。
「あ、もしもし、ユーグですけど、どちらにいますか?」
「おせーからもう船の上だ!!俺らは先に戻っているぞ?早くこい!!」
「ええ??」
「おまえなんでおせー…ああ、バイトか今日!?」
「そうです。今から寂しく一人で戻りますよ。」
「ははは、グラース港で待っててっやるよ!」
プツン
―――あー伝言残しておけばよかったなぁ。
ぼーっと、海を眺めて定期船を待っていると、ぞろぞろと同じ旗色の冒険者がログインしてくる。
ログインの風景は面白い。
召喚されるように頭の上に輪っかが現れて一気に現れる。
あの紋章は…
マグナカルタだ!!
※ 34話参照
とある冒険者が俺を見て、仲間と会話している。
俺に近づいてきた。
「おい、おまえ。どこのもんだ。」
「オケアノス所属だ。いきなりお前呼ばわりされる筋合いはない。」
「オケアノス…?ああ、中央首都陥落へ追い込んだ。セイメイとかいうやつのギルメンか。」
「なんか文句でもあるのか?」
「フン、おまえのような新参ギルドがアーモロトを陥落できるような代物ではないぞ。」
「残念、うちのマスターをはじめ、優秀な仲間がいたから落城させて占領できたんだよなぁ?」
「何をいっている。イーリアスをなめんじゃねーガキが!!」
そういうと胸を軽く小突かれた。
「おまえのような聖騎士に上がって無いような格下が偉そうにいうじゃねーか。」
もう一人の聖騎士が俺に近づいて罵倒し始めた。
「そうかい?じゃあ野試合でもするか?聖騎士様よぉ??」
―――3対1 最初に話かけてきたやつの方が強いな。コイツを潰して…次に…
そう倒す順番を考えていたら、奥からギルドの紋章の入ったローブを着た魔導士が現れた。
いで立ちはまさに女王。イギリスの意識をしているギルドとは言ったが、まさに豪華絢爛アルビオン諸島を統治するギルドのマスターと言われても引けを取るどころか、思わず跪いてしまうほどの神々しさがある。
ここまでくると凄い。
「下がれ。お前たち!」
三人を睨みつけると俺におわびをしてきた。
「すまぬな。我がマグナカルタが失礼をした。あなたは?」
「オケアノス所属、ユーグ。あんたらと違って俺は暗黒騎士だ。」
「暗黒騎士…?あのクエストを攻略したのか?」
マグナカルタの一同は驚いた。
「おい、カリオス!!お前の負けだ。謝罪の言葉を述べろ。」
「クソ…なんで俺が…。」
「早く謝れ!!失礼だぞ!相手は中央首都:アーモロト城所有のギルドではないか!」
「すまんな。」
「なんだその謝り方は…。重ねてお詫びする。うちは身内以外を見下すやつら多い。許せ。ユーグさん」
占領ギルドのマスターが頭を下げている…?
「ああ…別にもう気にしてないです。」
「そうか?ならよかった。して…君は、なぜ暗黒騎士になったんだ?」
「それには紆余曲折ありまして…アハハ…」
「そうだな…冒険者には冒険者のストーリーがある。それが形となってギルドになる。君のマスターは良いマスターのようだな。」
「いえいえwただのオッサンですよw30過ぎの未婚だし…w」
「フフフ、そういう紹介が出来るというのは絶大な信頼をおいていないと出来ないなwもしくはどうしようもないかの二極化される。」
「とりあえず、自分はアーモロトに戻りたいので、この場を立ち去ってもいいですか?定期船きたしw」
「ああ、いいだろう。申し遅れた。私の名はプレミア。マグナカルタのマスターだ。」
「存じておりますwここに来るときに調べてきましたから。」
プレミアの目つきが変わる。
「ほう…。オケアノスはここ、アルビオン諸島を攻めるのか?」
「いえいえ!うちはアーモロト死守することでいっぱいですよw」
「そうか。ならよかった。アーモロトにはいることはないが、グラース港まではいくことになっている。一緒にいかないか?」
「ええ?いや…自分には滅相もない。」
「遠慮はするな。母艦エスメラルダに乗れるというのは貴重な体験だぞ?」
―――うはあ~乗ってみてたい~!!
「アルビオン諸島の制圧特典はこの、母艦エスメラルダに乗れるという事だ。」
「わ、わかりました。お言葉に甘えて…。」
「よし。決断力のある男は私は好きだ!さぁ出航だ!!」
各副隊長クラスが声を上げる。
「出航準備!錨を上げろ!」
「出航準備!錨を上げろ!」
「出航準備!錨を上げろ!」
ドタバタと激しく動き回る。
「さあユーグ君、こっちだ。」
といわれ、乗船すると艦長室へ案内された。
「さて、ユーグ君なぜ、君をここに呼んだかわかるかね?」
副マスターの聖騎士や、亜人の格闘家、エルフの弓兵幹部など、そうそうたるメンバーがこの部屋にいる。
「わからぬのなら、単刀直入にいおう。」
「わが、マグナカルタへの入団をしないか?」
「えええ?????」
「じ、自分は先ほども言ったように、オケアノス所属です!」
「鈍いな。ヘッドハンティングだよ。我が陣営に入れ。」
「いや、ムリムリムリ!マスターを裏切れない!!」
「我がマグナカルタは伝統と歴史がある。ぽっと出のギルドではない。」
「それはわかります!だって強そうだもんwww」
「ならば、己の成長の高みを目指そうという気持ちにはならんのか?」
「…それは、あります。ありますけど、ここまで成長できたのは仲間がいたからです。自分にはそのような裏切り行為はできないです。」
「裏切り?裏切りではない。お前が成長したいからギルドを移るなんてのは、よくある話だ。違うか?」
「違くないですけど、それにマグナカルタでやっていく自信もないです。」
艦長室にモニター画面がいくつも映し出されている。甲板にいるギルメン達が騒がしい。
「出航用意!!」
「出航用意!!」
「出航用意!!」
「マスター、号令を…。」
「そうだな。」
「しゅっこよぉぉーーーーーいっ!!!!!!!!!」
「一番離せ~」
「舫離せ~」
岸から離れて船が動く
「出港!!」
「出港!!」
「出港!!」
「よし!このまま全速前進!!」
「全速前進!ヨーソロー!!!」
「よし、グラース港へ向かおうか。」
「ハハッ!これより、私が艦長代理をし、艦を運行させます。」
サブマスターの聖騎士が操舵室へ向かった。
「お騒がせした。さて、ユーグ君。話は戻るがどうかね?待遇の問題であれば、幹部代理の地位を設けよう。給料も今の倍だそう。悪い話ではないが?」
「ええ、ありがたいのですがマスターは…兄貴みたいな感じなんです。俺が暗黒騎士や騎士になる前からの駆け出しから育ててくれている人なんです。お金や名誉より勝るものはありません。」
プレミアが大きくため息をついた。
「おい、あんま調子に乗るなよ。暗黒騎士風情が!!」
エルフの幹部が業を煮やしたかのように怒っている。
「やめろ。おまえでもコイツには勝てん。下がれ。私に恥をかかせるな。」
「くっ…。」
「ますます、気に入ったぞ!ユーグ君。私の誘いを断ったのは、流浪のアイオリア以来だな。アイオリアは元気か?」
「!!」
少し驚いたが、冷静を装った。
「ええ、あの人はいつも元気ですよ。」
「フフフ…。そうか、あいつは元気かwwwこれは面白い!ハハハハハハ!!!あの、触れたら無言で殴るような男が元気とはな!想像もつかぬ!!」
「いやいや今日は面白い話を聞けて私はテンションあがってきたぞwあはははwww」
「このまま、下船させるのは惜しいよのう。そうだ!どうだ?グラース港につくまで一戦、親善試合をするというのは??」
「え?まぁ自分でよければ…。」
「おい、滅殫。甲板で相手してやれ。」
亜人の格闘家が前に出る。
「よいのですか?手加減できませんよ?私。」
「かえって手加減で負けたなんてのが広がれば我がギルド名折れ。全力で倒せ。」
「わかりました。」
「ユーグ君、それでいいかな?」
「自分は皆さんより格下ですので、常に全力です!」
「くぅ~!!その姿勢!!皆も見習え!!これぞ、純粋な勇者だ!」
幹部がこちらをチラ見する。
―――いやだなぁこういう人達苦手w
「ルールは簡単、やられたら負け。シンプルだろ?」
「わかりました。滅殫さん、よろしくお願いします!」
「ハハハ、久しぶりに腕がなるのぉ!よろしくな!」
滅殫は拳を出してきた。
ユーグも拳を出して拳同士をぶつけた。
かくしてユーグは母艦エスメラルダ甲板にて、親善試合をすることとなった。
船は海の波の影響などなく、動く島のように悠然と航海をしていた。





