第32話「前哨戦(前編)」
――――決戦当日――――
~指令室~
メディオラムの門の前に7ギルドのメンバー全員が集まることになっている。
俺らは食事をとり、バフをかけて開始の合図を待つように時間をみていた。
俺は緊張してきたため、タバコに火をつけた。
ふうーーー。
カチッカチッという音に反応したのはクリスだ。
「あああーー!!タバコ吸ってるー!!いけないんだーー!!」
「はぁ?」
「セイメイさん、大学生でしょ!?タバコ吸っちゃいけないんだよ!!」
「……俺、30超えてるおっさんなんだけど…。それに大学生でも二十歳超えていれば自己責任だろ。」
「え?30過ぎなの?」
「ええええ?逆に知らんかったのか??」
「ワシはどうなるんじゃ?」
ソロモンが聞いてきた。
「ソロモンさんは60歳」
「還暦じゃねーかww」
ソロモンがうぎゃーと嘆いていた。
「え?じゃあ自分はどうなんですか?」
ユーグは恐る恐る聞いた。
「ユーグさんは高校生!!」
「だ…大学生なんだけど……!!」
「じゃあ俺らはどうなるんだよ!?」
カルディアとピピンがいう。
「カルディアさんは25歳前後?」
「おおう、微妙に当たっている。」
「ピピンさんは27!!」
「なんでカルディアより上なんだよ!!」
「ま、まぁいいじゃないかw年齢なんてww」
俺は場を宥めた。
「じゃあクリス!!おまえいくつなんだよ!!」
ピピンがいう。
「23歳ですけど?」
「ふん!俺らより年下じゃねーか!おい、焼きそばパン買って来いよ!」
「そうだよ!俺はカレーパンな!!」
カルディアが悪ノリする。
「なんで焼きそばパンなんですか!?あとカレーパンも!?しかも届け先知らないですし!!」
「ぎゃはははは!!」
カルディアとピピンが大爆笑する。
「やぁ、みんな元気そうだね。」
ファウストとアイオリアがきた。
「こんばんわ!ファウストさん。」
ユーグがいった。
「おう、聞こうぜ!ファウスト!ファウストはいくつなの?」
「まてまて、ここはクリス大先生に聞いていただこうじゃあないかぁ!!」
カルディアがクリスをみる。
「んー、落ち着きからしてお兄ちゃんより上だと思うから、やっぱ30??」
「あーいい線いってるね。28だよ」
「オオオオーーー!!」とカルディアとピピンとユーグが驚く
「ん?するとお兄ちゃんと同い年なの?」
クリスは聞き返すとファウストはクスクスと苦笑いしながらいう
「アイオリアは僕と同学年なんだね?ははは。道理でくだらない話では合う理由はそういうことか」
「クリス、いや、我が妹よ。私の話をするのはやめたまえ!」
アイオリアは妹に軽く叱責する。
「ふん!知らない!」
兄に歯向かうクリスはぷいと顔をそむけた。
「まぁいいじゃないかwとりあえず、俺がおっさんだということで落ち着いてくれ」
「ていうか、おっさんじゃなくね???」
カルディアがいう。
「最近の30代も中には40代も若々しくカッコイイ人多いよね?」
「たしかに…」
クリスは納得していた。
「あのさ、今日、これから決戦なんだぞ?」
俺がため息交じりでいう。
「へーそれにしてはタバコに火をつけてどうしちゃったんですか?」
ユーグはニヤニヤしながらセイメイにいう
「戦闘準備だよ!なぁソロモン??」
「くぁ~!そういうときだけワシにふるんかぁ??四次元ポケットじゃねーんだぞ??」
ソロモンがツッコミをいれると全員で大笑いをした。
窓から大広間をみると戦争に参加するメンバーが集結しつつあった。
「おい、みんないくぞ」
『おっしゃあ!』
歩く度に、メンバー達の鎧の音が、戦場へ向けての協奏曲を奏でるようだった。
~ロームレス・大広間~
広間にいくとほぼ全員集まっていた。
ベルスが近づいてきた。
「さぁ盟主殿、みなに挨拶を。」と促されて広間に用意された壇上に立つ。
「ここに集まりし、英雄たちよ!今日こそこの悪しき風習を打ち破るときがきた!!我々はいちプレイヤーとして楽しみたいと思い、この世界に来た。しかし、先行した上層部だけで取り分の多い金額を回しあっているという仕組みをぶっ壊すことにしよう!ここで一気に攻め上げ名を遺す事で歴史の1ページを我々が刻むのだ!!いくぞぉーー!!!」
オオオオオオオオオーーーーーーッッッ!!!!!!
と、歓声が上がる。
そして、開戦の合図が鳴り響いた。
我々はメディオラムの城門をくぐり、戦場へと旅立つのであった。
行軍は予定通り進み、ルガールの街まできた。
セルとドリアスに近づく。
「ここで、しばしのお別れだが、頼みましたよ。」
「んま、やるしかねーんだからやるわ。そっちこそライン負けするなよ。」とセルがいう。
「セイメイ、お前の作戦で恩賞配分ちゃんと頼むぜ?」とドリアスがにやりと笑う。
「ああ、任せて下さい。」
こうして、DGは三小隊に別れ山岳地帯へ、レオナルドはドリアスの号令で密集体型をとりながら東側へ進軍することとなった。
スカルド率いるPROUDはどうやらウルススの街に入ったと情報が伝えられてきた。
我々は行軍を早め、ウルススに入る事とした。
~自然要塞都市ウルスス~
第6話で説明済であるが、ここは川を生かした自然要塞である。防衛戦においてここが最重要であり、難攻不落の都市でもある。
本陣営を設営し、陣内は慌ただしくプレイヤーが動き回る。
俺らは即席の会議机の周りに座り、地図を広げて、駒を表示し確認する。
スカルドに話しかける。
「そっちの情報はどうなっている?」
「今のところ、敵影なしみたいね。斥候もまだ飛んできてない。」
「まだパスガについていないのか?」
「それはわからないけど、時間的にはもうそろそろ着いてもいいのじゃないかしら?」
「わかった。そのまま山岳地帯のエリアギリギリを進行してくれるか?」
「ええ、わかったわ。私もいきますね。」
「ああ、わかった。それとだな…」
「なに?」
「ギリギリのところを進行するわけだから、敵に見つからない様にね。」
「OK、指示に従うわ。あとの判断は任せてね。」
「ああ、よろしく頼む。」
ふむ…。どこかしら、腑に落ちない。考えすぎか?パスガを受け渡しで本拠地決戦で兵力を温存し時間を稼ぐのか?それにしては時間がかかる上に徐々に削られて疲弊し、死に戻りからの戦線復帰は早いがペナルティウェイトが掛りやすい。まぁそれはないか。
ミラとパレンテが報告を上げてくる。
「ギルメン全員位置につきました!」
「了解した。そのままラインを上げていこう」
地図を確認し歩兵位置をみた。
ウルススからパスガまでの道筋は多少蛇行している。おそらく半々の位置で落ち合うはずだ。リフェラ達が俺のところにくる。
「砲兵隊も移動を開始します」
「ああ、頼む」
リフェラ達が足早い移動しようとしたときに俺は声をかけた。
俺はとある伝言を告げて、彼らをの背中を押した。
さて、まずはファーストコンタクトだ。
―――――――――――――――――――――――――――――
~パスガとウルススを結ぶ山道~
ミラとパレンテ率いる前衛部隊が進行していると遠くから土煙が上がる。
「敵影を確認!!エウロパですッッ!!」
「とうとう来たな」
「ええ、この日を待っていましたよ」
ミラとパレンテは目を合わせて持ち場につく
「弓兵前へ!!」
「魔導士は詠唱開始!!!」
ミラが声を抑えていう
「まだだ…十分に引き付けてから撃つんだぞ、まだだ……!」
「カウント入れ!!」
「敵、距離1000!!」
「まだだ…!」
「800…600、400!!」
「今だ!!斉射ァァッッ!!!!」
ヒュンヒュン!!!
と無数の矢の雨が走り込んでくる敵に当たる。
それでも敵の足はスピードが落ちない。
「パレンテさん、詠唱完了!!いつでも打てます!!」ギルメンが声をかける。
「よし!歩兵にクイックアクセル!!打てーー!」
歩兵の足が速くなる。
「続けてグラビティ・ヘイズ詠唱!」
ミラが声を上げる。
「偉大なる戦士たちよ!!ディフェンダーを展開しろ!!」
歩兵達の盾と鎧に光り輝くオーラが纏う。
エウロパの騎兵隊は弓を斉射し、ミラ率いる歩兵部隊に降り注ぐ
騎兵隊は続けてヴァルキリー擁する突撃隊がランスを手に突進を仕掛けてくる。
「いまだ!!グラビティ・ヘイズ!!!!」
魔導士達はヴァルキリー隊に向けて杖で魔法玉を放出し足場に放つ!
ヴァルキリーは足元がおぼつかなくなり、足が一瞬止まる。
「今だ!!一斉にかかれ!!!」
ワー!という掛け声と同時に斬り合いに入った。
キンキン!ズバッ!バシャ!!敵も味方も入り乱れ、魔法攻撃が飛び交い、無数のゴーレムやサラマンダーが岩や炎が両者の歩兵達を飲み込み、混戦状態だ。
ヒュルルルルルル~~~~~ッッドッパーーーン!!!
山間から大砲が飛んでくる。
「エウロパより、砲撃です!!」
「どこからだ!?」
「山間の向こうからです!!」
エウロパはやまなりに砲撃してきている。
「あいつら、着弾点を計算できるやつがいるのか?」ミラは焦っていた。
「味方、半数が死に戻り!カウント30です!!」
「初動で死に戻ったやつらと合流させて押し返すぞ!!??」
「はい!!」
ミラは直接回線をパレンテに回す。
「おい、こっちは押されているぞ!?そっちはどうだ?」
「死に戻りのやつらの全回復と補助魔法をかけるので手いっぱいだ。ライン下げるか?」
「わかった。少しラインを下げる。補給所は設営済みか?」
「ええ、とっくに!!それより、うちの砲兵がどこいるかわからないの!!」
「な、なんだって??」
ヒュルルルルルル~~~~~ッッドッパーーーン!!!
「クッソ!一時後退!!」
illustrator:@Yukitos14047800





