第27話「未知数(後編)」
俺は地図を広げて話をした。
「我々本体はルガールを経由し、ウルススに入る。ここまでは全体会議でも伝えた話だ。誰もがここに本陣営を構え、パスガとの間での開戦が予測される。そこであなた方、お二人が率いる軍勢でパスガのへの攻撃がキーとなる」
「ほう。それで?」ドリアスがこちらをじろりと睨む。
「もし可能であれば、DGの中でも足の速い小隊を設けて頂き、DG・レオナルドの合同進軍への連絡役を行なって頂き、本陣営のラインの状況を把握していただきたい」
「うむ。それは容易い。だが、補給路が手薄にならないか?もし、奇襲を喰らうと、味方のPOTが枯渇する。自給にも限界がある」
「それに関してはフォルツァの人間を配備することとなるが……」
「それでは兵力を指すこととなるよなぁ?」とセルが割ってくる。
「しかし…。これは本陣営の役割だ。人員を割くしかない……」
「あそこは頂きが高い。あそこから崖下りをするにしたら、どこかで進軍してくる小隊を見つけやすいはずだ」
「ならば、挟撃側の人数を割いても問題あるまい。」セルがいう。
「本陣営は常に押し引きが存在する。そこに人数がいないと押し切られる。ここは我がギルド(DG)のメンバーを配置しよう。そこでやられたなら奇襲にも対応がとれる」
セルが俺をみてにやりとする。
「やって頂けるのですか?」
俺は驚きと戸惑いが同時に押し寄せてきた。
「勘違いするな。やるからには勝つ。勝った時の配当はしっかりともらおうか?」
スキのない交渉が差し込んでくる。
「ああ、うち(オケアノス)は正直報酬は一番少なくていい。勝てた時のメリットは報酬以上のものですから」
「相変わらず食えないやつだな。俺なら取り分は正当にもらうがな」
「今回はアイオリアという存在があなた方を動かしている。俺はそのお膳立てにのっただけだ。それだけで上前をピンハネするなんてできないよ」
「はははははは!!!」
横で聞いていたドリアスが笑う。
「はあー……君は欲がないのだろうか?」
「ありますよ?分をわきまえていると評価していただけると幸いです」
「ふん、相変わらず腹の中身が見えない男だ。本音なのか建前なのか、深読みさせてくれる。出世するよ。」
「そうだといいですね。」
少し心に刺さったが、今回は本音だ。
「あともうひとつ」と付け加えた。
「戦況確認、奇襲警戒と二つあるが、もう一つ。できれば、セルさんのいる本体をこの二つの間におき、さらにレオナルドとの距離を一定の距離を保てれるだけの位置で移動をしていただきたい」
「ほう。理由を聞こう」
「戦況確認班はおそらく相手の戦況確認班との衝突のリスクを忘れていた。そこで衝突したとき、向こうは援軍を送りやすい。その際、下がってほしいんです」
「それでは、こちらは戦況確認が取れなくて、突撃のタイミングがわからない」
「それをうまく引き付けてほしいんです。レオナルドの場所を把握させないためです」
「レオナルドが我が陣営からエウロパへ“一ノ谷作戦”となるのです」
「DGは囮役、情報連動・補給路の護衛とかなりの役目をお願いしたいです」
「この野郎、こき使うのか?」と嫌味を笑いながらいう。
「ええ、使えるものは何でも使います。それが指揮というものです」
「セル、お前の負けだ。俺も今回はこいつに従う」
「ドリアス!お前いいのか?ぽっと出のやつに従うのを!」
「いや、俺が想定していたことのさらに上を言った。それが答えさ」
「なんといっても俺んとこは伏兵中の伏兵、絶対にバレてはいけないわけだ。索敵の目を反らすため頑張ってくれ。セル」
「くっ……」セルは言葉を飲んだ。
俺はセルへの口説きどころだと思いここで構想を話す。
「実は、俺がこういうとリップサービスに聞こえてしまうかもしれないんだけど、正直、重要な役割だと思っています。正直、未知数です。表ではライン戦を行っているなか、裏で相手の戦力を山に引き込んでいくというやり方です。山から上るのも下るには時間がかかる。
しかし、DGの精鋭ですから上り下りは早い。そして陣取っているDGを見れば、来た道をもどらなくてはならない。かといって、ライン戦の横をついたとしても予備兵力が少なく我々は挟撃のチャンスにつながり、ラインも押し上げられる。
また、レオナルドがパスガ近くの山に潜伏できていれば、DGを追ってきたエウロパの一陣は開けた道にDGがいて、レオナルドの存在は見えてない、そのため、下がるか攻めるかになり、やつらには伏兵はいないと踏む。なぜなら道が開けているからだ。
どっちにしろそこで兵力を割くこととなり、ラインと挟撃の二段で相手は混乱する。これがうまくいけば、兵力の分散につながり、ライン戦は押し込むことが出来る」
「ふむ。中々の戦略だな」とドリアスが感心している。
「ここで大事なのは、我々……というより、俺とセルさん、ドリアスさんとの信頼関係の強化と連携が結果を生むということです」
「ふう……。スキがあれば突っ込んでいたんだが、どうやら俺にはその頭がないらしい。この作戦で行こう。ライン戦負けるなよ。俺とドリアスで敵兵力の分散を図る」
「ありがとうございます。お話しできてよかった。」
俺はおじきをした。
「アイオリアが選んだ男だな。俺らも期待されているのに本当の敗走をしてしまったら、笑われる。それで負ける起因を我々のせいされても文句もいえない。俺らの戦果が勝利に直結するということか」
「はい。もし各個撃破などをし、討伐成功すれば相手は城復活になり、[DG+レオナルド軍]と[オケアノス+フォルツァ+ガガSP+BV]軍のパスガ攻略戦にいきます。」
「お二方、力をお貸しください。あなた方も大事な戦略おける駒です。格上に駒落ちで勝てるなど、俺自身そんな余裕はありません。どうかよろしくお願いいたします」
「わかったよ。まるで営業マンだな」
「はーあ、やるしかねーよな」
二人から俺は快諾をもらうことができた。
みんなが来るまで三人で世間話をし、意外な一面を確認できてしこりは解消できたようだ。
やはり、話し合い・コミュニケーションは非常に大事だと改めて確信した。
次は陣形の取り方だ。オケアノス一同を集め、フォルツァとPROUD、ガガSP、BVと連携とライン戦の取り方を練習及び模擬戦し形をつくっていこうと思う。
今日は顔合わせして概要を話し、明日からみっちりやるしかない。
これが今できる最大限の努力だ。
俺は残り数日やれることを全部やろうというやっすい誓いをしたのだった。





