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負け組エリートのギルドマスター~VRMMORPGで復讐主人公は最強を目指し全一ギルドをざまぁする~  作者: 齊乃藤原
第伍章【青は藍より出でて藍より青し。氷は水これをなして、水より寒し】
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第200話「獅子の死線」

 ~橋~


 セイメイ一行は橋に向かって歩を進めていた。すると、案の定セイメイ予測通り視界には人影を捉えた。無論、息を潜めて射程距離に収めるように近づき“一気に倒す”というのが、先程までの提案内容なのだが―――。


 ここで一変してセイメイは“まて”のハンドサインをした。やり過ごすなんて選択は当初なかったのだが、今は様子見といったところだろう。セイメイ達は橋に近づくと数人のプレイヤーがいるという数の確認までしたのだ。様子を伺うにどうやら留守である雲海ギルドの砦を強襲するようだ。


 彼らもwisを使い顔を寄せて話をしているようにも見えた。

 ここでアイオリアから通信が入る。


 ―閣下ッッ!!ご命令をッ!!このアイオリアッ!こやつ等を一瞬に塵と化しましょうッッ!!

 ―あ、アイオリア?ちとまて。ここで()()()のは百も承知だが、奴らの作戦が

 見えてこない以上、ここで不意をついたところで作戦を瓦解させたことにはならんだろう?

 ―いいえ!ここで瓦解させなくても我々で叩き潰せば良いのです!!


 ―それじゃあ俺らがいれば何でも出来る。()()()()()()()()()()()()()と思われては今回の本当の意味をなさないのだよ?


 セイメイは続けて語りかけた。


 ―俺らの今回の最終目的は何かといえば、雲海には最終的にここの地域を掌握させ、我々と手を組ませる。それが今回ここにきた最終的な着地目標であり、必達目標だ。仮に我々と同盟を結ばなくても、彼らの自立が今後の彼らの助かりにつながる。それじゃダメかね?


 ―殿が仰るのであれば、御意に従います。

 ―はぁ……。お前も殿だ閣下だと回りくどい言い方しないで“セイメイ”っていえばいいものを……。

 ―それでは周りに示しがつかないものです!

 ―あーわかったよ。また機を見て同じことをまた尋ねるよ!ったく。

 ―私の気持ちは変わりませんぞッッ!!


 ―――そういうのが調子狂うっていうんだよ!


 セイメイは頭を掻きながら様子を伺っていた。


 そして、ようやく()()は動き始めた。彼らの後を追うように橋を渡り尾行を開始した。


 ~三叉路・雲海ギルド自砦前~


 一つ目の三叉路に差し掛かった。ここを左に曲がれば、雲海ギルドの砦まで距離はさほどない。てっきり曲がるのかと思えば、まさかの直進していく。


 ―――こいつら!まさか!!??



「まずい!アイオリア!?今だ!今行くんだ!ついてこい!」

「御意!」

「え?どういうこと?」

「Hey! what happened!!??」


「shut up !! follow me quickly!!」


 とっさに出たアイリーンの英語にアイオリアは即座に対応し走り出させた。その間、セイメイは走りながら刀を抜き、一番後方にいた敵を後ろから斬り捨てていく。


「うわーッ!」


 ダメージを負わせると共にクリスにトドメを刺すように促す!


「クリス!とどめを頼む!アイリーンもだ!」

「りょ、了解!!」

「アイオリア!前を抑えろ!先に行け!!」

「かしこま!」

「か、かしこま……?」


 セイメイはアイオリアのキャラが相変わらずつかめないので、ポカーンとしてしまった。その間にも相手は味方に奇襲の声を上げる。


「敵!後ろからだ!!」

「な、なに!?」


 敵はアイオリアに攻撃を与えようとするが、アイオリアにはかすりもしないかった。


「フン!お前らなど一瞬で消せるものをこの私が見逃すのだ!有難く思え!!」


 そういいながら、アイオリアは敵プレイヤーの合間を縫って先頭を抑えに向かった。


「お前らの相手は俺だ。アイオリアよりはちょびっと長く戦えるぜ?」


 セイメイはアイオリアにカラ撃ちしてしまった敵プレイヤー達に声をかけた。


「お、おまえは!セイメイッッ!!」

「そうだ。泣く子も黙るオケアノスのギルマス、セイメイだッ!!」

「ここにいたのか!!マダラは何をしている!?」

「あー知らねえなぁ?どっかでくたばってんじゃねーのか?」


 敵プレイヤーの一人がマダラに通信しようとしていたので、刀で喉元を突き刺す。


「おいおいおい。こちとら奇襲してんだ?なに呑気にお電話してんだよ?」


 顔を近づけてガンを飛ばす。そして、言葉を吐き捨てると同時に刀を抜いて一刀両断にする。


「もういい!こいつは俺らで倒す!」

「あぁん?てめえ!誰に向かって倒すなんて言ってんだ?」


 カシャンカシャンと仕切っていたプレイヤーに向かって歩きだす。そこにクリスとアイリーンが追いついてきた。


「セイメイさん!お待たせしました!」

「SAMURAI-BOY!!急すぎるわ!」

「そういうもんだぜ?」

「二人とも落ち着いて!」


 セイメイは刀を構えながらアイリーンに語りかける。


「Don't worry Miss Eileen!!I'm so famous in this world!!(心配すんなってアイリーンさんよぉ!この世界じゃ有名なモンでな!)」

「Holy shit! If you can speak English, do so!(なんだって!英語喋れるなら、喋ってよ!)」

「I think so. But this is Japan. So it's polite to speak in Japanese, right?(俺もそうしたい。だけど、ここは日本だ。だから日本語で話すのが礼儀だろ?)」

「Oh my god!!you're not kindness!!(なんてこと!あなたは親切じゃない!)」


 セイメイは一瞬、顔を暗くするが眼光を相手に突き刺していた。


「……フフ、なんとでも言え!」


 セイメイが言い終わると敵と間合いに入っていた。



 剣聖神道流  “絶影(ぜつえい)



 ―――くっ!流石に!踏み込みが甘かったッ!


 振り抜いてみたものの、致命傷には至っていない!


「この瀕死状態でもやれることはある!!死ぬならもろともじゃあ!!死ねぇ!!セイメイィィ!!!」


 幾人かの敵はセイメイに斬りつけてきたが、セイメイが斬り返しのモーションを取ろうと瞬間!敵は粒子化をしていた。


「こいつらバカなの?」


 アイリーンは粒子化した先にセイメイを見下ろしながらいう。


「なぁに助かったよ。アイリーン」

「なんで、一対複数なのに私達を忘れてるのよ!ねぇ!?クリス?」

「いやぁそう言われても……今、背後から攻撃したの全部アイリーンさんですよ?」

「だって、戦争でしょ?周りの敵も排除しないで、なぁ~んでそんなリスク取るのよ?」

「まぁ助かったのに変わりはないよ。サンキューアイリーン!」

「you're welcome. Mr. Seimei...それで、レオ……アイオリアは?」

「おそらく先頭集団だろう!急ぐぞ!」


 ――――アイオリアは、駆け抜けた先にいたリーダー格を見つけた。


「おい、おまえらこの私が来たからには死んでもらおうッ!」

「な、なに?」

「おちつけ!アタシ達は挟み撃ちをしかけるのが先決だ!……お前ごときに潰されてたまるかぁ!!」


 敵プレイヤーのリーダー格が刀を抜き、アイオリアより先に先制を取る!


 陰流(かげりゅう)幡殺(ばんさつ)ッッ!!



 横一線に刀撃が走るッ!その一線にアイオリアはスウェーするように仰け反りで回避するが、胸元に一筋の線が入りダメージを負ってしまう!


 bleeding!!

 bleeding!!

 bleeding!!

 ……


「ほほう、この私に出血ダメを負わせるとは幹部クラスだな?どこのモンだ?」

「フン、MIKADO所属、副マスのナタネだ!」

「私の名は……」

「アイオリアだろ?知っている」


 自分の()()を言う前に正体はバレていた。思わず、こけそうになった。


「あのなぁ!こういう時は、敵の口上を聞くっていうのがセオリーだろうがよ?おまえ戦隊モノでも、魔法少女アニメでも変身中に怪人達は攻撃しないで見守るだろ?それをいとも簡単に()()()()にするなよ!」

「そんな時間は今の私達にないッ!!……お前らは先にゆけ!!」


 ナタネは他のメンバーに顎で先にいけと指示する。


「ぬう!!待たぬか!このうつけ共がぁ!!」


 アイオリアはすかさず、瞬歩で追いつこうするがナタネがそれを(はばか)った。


 チン……。


「アイオリア、お前といえどここは通さん!足止めはさせてもらうわ!!」

「キサマごときにこの私を止められるかな?」

「こちらも平定を狙ってる身としては、帝都を制圧しているギルドの輩に負けるわけにはいかないんだよォ!!」


 アイオリアに接近したのはナタネの攻撃からだった。ナタネは刀を突き刺すようなモーションで接近してくる!!


 ザザザッ!!


 ―――ここで突っ込んでくるとは!……まてよ!?この距離感ッッ!!妙だぞ!!?


「遅いッッ!!」


 陰流・土蜘蛛ォォォッッ!!


 刀で地面を突き刺し、急ブレーキをかけるッッ!!


 Rigidity!!

 Rigidity!!


「しまった!!」


 アイオリアはナタネのフェイントにハマってしまった!



「もらったぁ!!」


 陰流・足曲(あしまが)りッ!!


 アイオリアは動けないので、ダメージが加算される!


「くっっッ!!!」


「これでトドメだ!」


 高くジャンプをし、刀を突き立てるモーションで落下してくる!!


 真・陰・流・火球(かきゅう)!!


「落ちろぉ!!アイオリアァァァ!!!」



 アイオリアはナタネの眼を静かにじっと見つめていた。



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