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第20話「七連盟(前編)」

 月曜日、雨

 ブルーマンデーにはもってこいの日だ。

 営業マン時代は、満員電車での戦いに明け暮れ、取り引き先への拝み倒しの日々を過ごしてた俺には、月曜の雨というのはモチベーションダウンには好条件である。

 そんな鬱蒼とした気分もチャリンコを扱げば和らぐのがせめてもの救いだ。今の職場はチャリンコで30分のところにある。


 今までなぜこんな場所を選ばなかったのか。昔の自分をぶんなぐってやりたい。が、昔は夢や希望、そして野心があった。過去の自分と今の自分、どっちが幸せかという問いが出た時、俺はどっちも選べない。


 なぜなら、その時の自分が一番やりたいベストを過ごしていたと思えてないからだ。


 無論、やりたいことをやれている社会人なんてほんと一握りだ。


 だが、そんな中で【仕事】というモードになれば、プロ意識で取り組み、自分の為に全力でやってる。というのが、大体の社会人の“意識”だ。それは大いに間違っている。自分の為に仕事するというのは理想だ。自分の食い扶ちの為にやっているのを綺麗な言葉でやっているに過ぎない。かくいう俺もそうだ。食い扶ちのためにやっている。

 ただ、その中で仕事を楽しんでいるヤツは違う。やりたくない仕事でも楽しんで仕事しているヤツが、一番の勝ち組なのだ。やりたくない仕事でも楽しんでやっているやつはパフォーマンスが全力でやっているヤツより、数段上の結果を出す。それが評価に直結する。仕事を楽しめてないやつは不幸以外何物でもない。


 じゃあ俺はどうなのか?


 可もなく不可もなくやっている。が、頼られているという点ではやりがいがある。それは職人達の大半がめんどくさいが、やる。飯のためにやる。結果をなめられたくないからやる。詰め所でバカにされたくないからやる。に近い感覚だ。


 タバコを吸っても、金髪でも茶髪でも結果をきっちり残していれば、それは一人前の職人なのだ。そんな職人に俺は真似できないが、せめて書類作成を仕上げるという点は見習おうと思う。


 それが元スーツ組の出した答えだ。今は小綺麗な作業服を身にまとい、今日もチャリンコを扱ぐ。今日も見積書と報告書をまとめて、PCで音楽を少し小さめに流し作業をして帰るという日々だ。

 さて事務所作業が終わり、タイムカードを押し、事務所をあとにする。帰りは雨もやみ、綺麗な夕日が俺の横顔を照らす。


 結局俺は、アイオリアがいう経営・運営という能力があるとは思えない。そう考えているとものすごく情けなく、そして苦しい。

 さて、ダメもとで対エウロパ戦に向けて一生懸命考えてやれるだけのことをやろう。楽しめるかわからないが、ゲームなら楽しめれるはずだ。そう思いながらチャリンコのペダルを勢いよく扱ぎ、帰路についた。




 ログインをすると誰もいない。今日は月曜日だ。だいたい残業したりして遅いのは当たり前か。俺みたいな公務員のような9時5時人間は民間では中々いない。とりあえず、俺は青龍偃月刀を装備していなかったので装備をした。


 すると、ムービーが発生した。


 !!あれ??こんなムービー流れるのか?


 そこには関羽帝の亡霊が現れた。

 俺に語り掛ける。

『…汝が我の兄者か。』

 はい

 いいえ

 の選択肢が出てきた。

 俺は、いいえを選んだ。

『では汝が我が主か。』

 俺は“はい”を選んだ。

『そうか、我が力を求めてこの愛刀を手にしたというのか。』

『ならば、問う。最強を目指すのか。』

 おれは少し悩んだが、俺は“はい”を選んだ。

『ならば、我が伝説の力を授けよう。』

 というと、ムービーは終わった。



 なんだこれ?そもそもあったのか?こんなイベント??


 困惑しながら装備をし、試し斬りの練習も兼ねて、練習場にいく。


 練習場には木人がおり、それを練習台にしコンボ練習を行える場所だ。



 とりあえず、通常技を出してみる。


 あれ??通常時に稲妻が走ってるんだけど?ww

 風の刃を出す。

 んんっ!!!???


 風が舞い、風を巻き込むように稲妻が走る。

 そのまま打ち込むと、蒼龍が発生しまっすぐに飛んで行った。

 あんれま。これ威力上がってない?

 よし…!


 オーラアタック【炎舞えんぶ大車輪だいしゃりん旋風陣せんぷうじん


 ……!!あれ??


 オーラアタック【炎舞えんぶ大車輪だいしゃりん旋風陣せんぷうじん




 ………。

【システムエラー:該当するスキルは使用条件を満たしておりません。】

 なにぃ!!??

 システムとスキル確認をすると…

 別の項目が開放されていた。

 LE限定必殺技だと??

 なになに…。


 ※レジェンド武器によるオーラアタックはコマンド入力が異なり、

 発動時のコマンド入力が異なります。

 大車輪を発動させたのち、↑+LR同時押し⇒Fトリガー


 え?なにそれ?やってみるか。

 大車輪でくるっと回ってから…うわかっけー!


 ∞←を描き赤い龍と蒼き龍が重なって前に走る感じてことは、風の刃がコンボに組み込まれているということか。


 なるへそ


 技名が…、ぷw厨2くせーなw


 まぁMMORPGではお約束だがな。



天舞てんぶ蒼朱そうじゅ旋風せんぷう烈覇れっぱ



 ほえーーw


 まぁ威力でけーからいいかwww


 と、いいながら、練習場を出た。



 練習場を出た俺に近寄ってきたのは、結華だった。


「ねぇ!!今のなに?????」と驚いた様子だった。

「なに?ってコマンド練習w」

「そうじゃない!あたしの時はそんなスキル出てなかったよ!!」

「ああ、それはね…」

 俺は青龍偃月刀の装備の際にムービーが出て選択肢をチョイスしてたらこうなったと伝えた。

「どうやら、私は選択ミスをしてしまったようね…」

「そうなの?」

「だってあたしが使う時はそんな龍でなかったもん。稲妻でて終わり。」

「えええええ?????」


 まじか……。


 俺は質問した。


「二回目以降は出なかったの?」

「出てない。」

「あんれまw」

「まあ、いいわ。今回は勝負で負けてあげたわけですから。愛用してくださいな♪」

「申し訳ない。大事に使わせてもらうよ。結華さん」

「む!だめです!!」


「はぁ???」

「さん付けは禁止です。せめて“ちゃん付け”してください!!」

「お、おう。ゆ、結華ちゃん…」

「ん~~。ダメですね」

「はいい???」


「結ちゃんでいきましょう!!」

「ええええ???はずかしいよぉw」

「早くいってください!」

「ゆ、ゆ、ゆい…ちゃん……」

「続けて言うの!!」

「ゆいちゃん…」

「はーい!♪」


 唯華はめちゃめちゃ喜んで微笑んでいた。

 俺が少し疲れていると、うしろから冷たい目線を感じた。


「せ~い~め~い~さぁぁああああん!!!」


 うっ、こんなところにクリスが!!


「ゆいちゃんとは親しいですね!!」


こちらをジロリと小声でいう。


「結華さん!!あなたはPROUDのギルドですよね??セイメイさんはうちのギルマスですよ!今回のエウロパ討伐の指揮官にちゃん付けを強要させるとは何事ですか?」


「別に~友好ギルドのギルマスに挨拶をフランクにしてもらうだけですよ~!あ、もしかしてセイメイさんのこと気になってるのかしら??」


結華はクリスを茶化す。


「な、な、な、なにを根拠に言っているのかわかりませんねっ!!私は!!セイメイさんのボデイーガード兼秘書ですから!!!!」


「あらそう??じゃあ私はいちプレイヤーとして寄り添ってもいいってことね!?」

「だからダメです!!!何を言っているんですか??正気ですか??」


 ここで口論していると、スカルドがきた。


「あらー?セイメイ様」

「え?」

「殿方の前で、()()()()()()()()。お二人」


 《はい???》クリスと結華はハモっていった。



「あ、用事を思い出した。すまんが、いい策が思いついたので、わたしは失礼する。失敬!!」といい、俺はその場から去った。



 ~総指令室~


 ふう…。ああいうの苦手だわ。選んでくれなんて言われたら、答えらんねーよ。見た目も顔も年齢もわかんねーんだぞ。なにがそうさせたんだ??


「お、マスターいたのか!いや~昨日はすごかったなぁ!」


指令室に入ろうとした俺を見かけたソロモンが声をかけてくる


「あんたは、女の子とハーレムだったと聞いたが??」

「あれ?ばれちまったか!!」

「そんなんだから、嫁さん逃げちまったんだろ??」


「男に生まれた以上、据え膳食わぬは男の恥っていうだろ?」

「自分で据えてりゃ苦労しねーわな!!」

「こりゃ一本とられたわい!!がははは!!」


「ほめてねーつーの……!!」

「それより、青龍偃月刀はどうだ?」

「ああ、かなり調子いい」

「羨ましいのぅ。出来れば、エウロパ戦の前に指輪をそろえておきたかったな」

「あれはなー。難しいからなぁ時間もないし、エウロパ戦のあといこうか」


「ブリューナクはいいのか?」

「ああ、あれは今度でいい。仲間の装備強化が先だ」

「頼りにしてるぜ?マスター!」

「ああ」


「そういや、貿易船みないか?会議まで時間あるだろ?」

「そうだな。防具も新調しよう!!」


 というと、貿易船のところまでいくとした。





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