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負け組エリートのギルドマスター~VRMMORPGで復讐主人公は最強を目指し全一ギルドをざまぁする~  作者: 齊乃藤原
第伍章【青は藍より出でて藍より青し。氷は水これをなして、水より寒し】
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第194話「前線基地」

 ―東京・国道〇号―


 セイメイ達を乗せた漆黒の自動車の列は、異様な空気を帯びながら道路の中央を疾走していく。


 時折、聞こえてくるインカムのやりとりが微かに聞こえ、それに聞き耳を立てるわけでもなく、セイメイは窓越しに流れる風景をただ見つめているのみ。セイメイとクリスは同乗していたが、クリスは不安げにセイメイの哀愁漂う横顔を見つめるだけだった。


「セイメイさん……」

「今は千葉でいい」

「千葉さん、わたし……」

「謝らなくていいぞ?クリスは関係ない」


 セイメイはクリスの次に出る言葉を遮るように発言を入れた。


 クリスは俯いてしまう。セイメイは外を見つめている窓越し映るクリスに、なんて言葉をかけるかわからないまま、時を過ごし目的地に向かっていた。


 ─東京都23区内某所─


 大きな施設の門をくぐるとそこには重苦しい雰囲気の建物があり、その建物の地下駐車場へと進めていく。


 そして、その地下駐車場へ進むと自動ドアのある入口の前でセイメイ達は降ろされる。


「マスター、ここに当面住んでいただきます」

「軟禁状態かよ……」

「すいません。予期せぬ出来事が起こっているのです。ご辛抱下さい」

「外出は?仕事は?」

「外出はSP同伴になります。仕事はお辞めいただく事になります」

「おい待て!仕事しないで俺は買い殺されろと言いたそうだな?」

「千葉さ…ん?」

「なんだ?クリス?お前は関係ないって言っただろ?」


 セイメイはアイオリアを睨んでいた目をクリスに向けていた。


「マスター。今回は、我がグループ会社のある一社の取締役に抜擢したという形をとります」

「んな馬鹿な!!」

「私の決定権において外部からの指名を行いました。無論、株主総会までにはそれ相応の登用理由を用意しなくてはなりませんが、そんなのは取るに足らないことですからご安心を」

「まて!社長……爺さん達は?」

「快諾頂いてます。あなたを腐らせるわけにはいかないという解答を頂いてます」

「そんなでっち上げの情報で……!!」

「あなたが一番ご存知でしょ?ビジネスにおいての冷徹・冷淡さは!」

「だからと言って……」


 セイメイが声を荒らげようとした瞬間、セイメイの顔をはたく人物がいた。


「ってーな。テメェ!」


 セイメイの睨みがより一層厳しくなったのはアイリーンが前に出てきたからだ。


「ここまで強情だと冷静さを取り戻すには怒りの矛先を変えなければならないと思ってね。どう?女の子もいる前で今日知ったばかりの女にハタかれる気分は?」


「このヘボ捜査官が……!」

「ヘボでもドベでも結構。日本国憲法で言えば傷害?暴行罪なんでしょうけど、アメリカを舐めんじゃないわよ?そんな生ぬるい日常なんてないわ!目を覚ませ!」


「さっきから言いたいことばっかいいやがって!」

「マスター!協力してください!お願いです!」

「私からもお願いします!セイメイさんがいなくなるのは私、とってもイヤなんです!!」


 三人がセイメイに詰め寄る。


「……わかったよ。そんな重要な人間になるなんて、普通は思わないし、にわかに信じ難い話だ」

「そうよ?そうやって話のわかる男の方が好まれるわよ?アメリカではね!さ、中に入って」


「なぁお前、名前は?」

「アイリーン。平和の使者よ?フフフ……」


 ─────────────────


「どこまで下がるんだ?このエレベーターは??」

「地下7階です」

「陽の光も浴びれないのかよ」

「安心してください。ここにいるのは1.2ヶ月程度、その後は高層階に引っ越します」

「俺はセミじゃねーんだぞ?」

「今は身元が割れている。ご実家ですら危険なのよ?」

「アンタらの仲間、いや相棒はどうした?捜査官は二人で組むんだろ?」

「今はまだ来ないわ。わたしが早すぎるくらい前乗りしたからね」

「ふーん。まぁお前と組む相方はさぞかし可哀想だと思うよ」


 セイメイは嫌味を言ったのだが、アイリーンは動じずフロアの電子表示を眺めていた。


 ───アイオリアもよくこんな女を手玉に取れるな?金持ちだからか?そういった意味では尊敬するぜ?ったく。


 少し長い廊下をコツコツと音を立てるように歩いていくと研究室のような扉の前に立たされる。


「俺はモルモットかなんかになるかぁ?」


 セイメイはアイオリアの横顔を見ると、真剣な顔でドアのロックを外し始めていた。


 重厚な扉のロックが音を立てて解錠されていく。


「おいおい、これって……」


「みてお分かりになりますか?」


 目の前には無数のモニターとオペレーターが数人いた。


「社長、ようやく着きましたか?」

「ああ、少し時間を要した。向こうは?」

「特に動きはありません」

「そりゃそうだろうな、今からテストに入る」

「了解」


「桜井、今デバイスの状態は?」

「ベータからガンマに移行は済んでます」

「OK!じゃあ準備しよう」


 移動しながら、別室ではデバイスの用意など色々用意されている。


「おいおいおい!アイオリア!なんだココは?」

「マスターに会う前に拵えた対ギャラルホルン用の基地、とでも言ってみますかね」

「あんな企業が俺を抹殺しようとしてるのかよ?」

「ええ。ですから申し上げていた通りですよ?」

「やっぱ信じられないよ!」

「元々ココはネットワークにおけるメンテナンスの試験会場みたいなものでしてね。声をかけたらすぐに対策本部が出来た。といわけです」

「金持ちのやることっていうのは一味違うねぇ~」

「今回はこれを導入するのと同時にデバイス開発を独自にしましたよ」


「イーリアスごときにこんなに金かける必要性があるのか?」

「今はあります。ここらでBANされないためにもね」

「そうか……」

「まず、()()がなんなのかわかってるよね?Mr.Chiba??」

「ああ、アイツだろ?今も俺を待っている!」

「そうだ。人ならざる者だ。そして、トリガーの一つ……」

「複数ある言い方はよしてくれ。気が滅入る」

「事実、我々だけでも7つは確認している。そのうちの3つは確認できていて、2つは破壊、そのうちの一つは融合されている」

「まったく、これだからアメリカっていう国はそうやってロックをかけたがる」

「そういうのは日本が不用心過ぎるのよ?」

「あーそうかい!?」

「マスター!」


 アイリーンと言い合いをしている中、アイオリアが話しかけてきた。


「こまけぇ事は後回しだ。飯とか風呂トイレ完備なんだろ?ここは!?」

「おっしゃる通りです」

「んじゃカレーライス、作っておいてくれよ」

「任せてください。うちの専属が作ります」

「おし、まずは色々やるべきことをやりにいく。お前らは?」

「遅れてダイヴします!」


「わかった。あと、忘れるなよ。まだ俺らは雫達の助けをしなきゃいけない!」


 デバイスを額に装着し、別室に案内されると、なにやらコードがない


「おいこれ!?なんでだ?今までのと違うじゃねーか!」

「最新作です。ワイヤレスであり、充電もバッチリ!途中切れそうになったら、うちの人間がデバイス交換のため、休止状態に一瞬します。すぐに新しいのを装着してください」

「ここまでする事あるのか?」

「あと、今まで微弱な電流で反応をさせていましたが、今回はさらに脳波を拾えるように開発させています」

「ええ!??」

「なので、今までより素早い反応が出来ると思います。相手には少し早く動いているように思えるでしょうね」

「チートじゃねーか……」

「いえ、微弱電流から微弱電波への切り替えのようなものなので、問題ないです」


「まぁ色々問題は解決済みってことか」

「はい!では行ってらっしゃいませ!」

「おう、行ってくる!」

「私もいきます!」

「そうだな。クリス、いくぞ?」

「はい!!」


「あらあら、お熱いカップルだこと……」


 アイリーンはボソッと独り言をモニター越しにいう。


 ログイン画面まで進めてスイッチを押す前にアイオリアへ向かってセイメイはいう。


「あと二日だ。二日後には東方を落とす!」


「イェス!マジェスティ!!」

「……まぁいいか、セッティングは前のデータを引継ぎ出来ているんだろうな?」

「もちろんです。今までと変わりなく!」


「じゃあ行ってくるわ」



 ―――――――――――――――――――――――――




 .....ヴォォォィン








 HEY! Master...




 Language setting is Japanese...




 Come on! give me voice-print authentication 




「吾輩は猫である。名前はまだ無い」




 It's a Crazyyy!hahaha!LMFAO!




 ohohoh!sorry...OKOK! System... all greeeeen!!haha!




 Dive standby...OK.heyhey..Come on! YeeeS!!All Ready!!!




 I'm on your side.You know?




「Ooookeyyyy!YeeeS!!!!」




 Marvelous!!!! GO!!GO!!!GO!!!!!




 ―――――――――――――――――――――――――




「なぁにあの悪趣味なログインガイダンスは?」

「マスターの好みだとおもうんだけど……俺も知らなかったよ」

「なんだかんだアメリカ好きなんじゃないの?あのカタブツ」

「まぁそういうなって。お前にもこのゲーム参加してもらうぞ?」

「データはあるの?」

「ああ、とっておきのな!?」


 こうして、セイメイは再びイーリアスへダイヴしていくのであった。




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