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負け組エリートのギルドマスター~VRMMORPGで復讐主人公は最強を目指し全一ギルドをざまぁする~  作者: 齊乃藤原
第伍章【青は藍より出でて藍より青し。氷は水これをなして、水より寒し】
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第180話「閃光」

「フハハハハハ!!まだか?まだ諦めんのか!?」

「まだまだぁ!!」

「いいぞ!いいぞ!!それでこそッ!!アサシンよぉ!!!」


 幾多の刃を重ならせ、飛び込んでは相打ち、弾かれては身を隠し回復を飲むなど攻防一体を繰り返していた。この場合、地形を利用して木陰に隠れたり、茂みに隠れたりし身を潜める。相手の位置が把握出来次第、すぐさま距離を詰めて交戦するといった、如何にも“忍び”らしい動きをお互い行っていた。その最中である。セルは声をかける。


「こんなことして!!お前は何がしたいんだ!!」


混沌カオスだ!!この世界において!必要なものは一つ!!現実リアルじゃあよぉ!!人殺せねぇからなぁ気楽によぉ!!こちとらストレスの発散以外このゲームは考えちゃいねぇんだよ!!お前だってそうだろうがぁ!!」


 森のざわめきに混ぜて人の業を叫ぶ!


「おまえ!実は真面目だろ?そうだろ?こんなに血眼になってまで人の邪魔をすることに精を出すなんざ、さぞお堅い仕事にお勤めされているんだろうよ!もしくは親が金持ちのボンボンでやることのない能無しのクソニートのどっちかだ!!」


「!!」


 セルの耳元をクナイの三連射が翳め、足元へと突き刺さる。

 セルはすぐさま頭上を見上げると人影がいない。これはまずいと思った次の瞬間にセルは黒い影にこかされて鬱蒼と茂った木々の葉を見上げた。その次の瞬間にセルの喉元に刃を当てる。


「ジ♡エンド♡」


 刃を引こうと赤眼が腕を引こうとすると、覆いつくそうとする影が覆い被さる。


「!?」


 赤眼がフィニッシュを決めようとしようとした手が止まる。その瞬間にセルは辛くも脱出をし、身を物陰に隠す。ソロモンの召喚した悪魔はセルへのスピードを奪う。



 バシュン!!


 赤眼の身体をすり抜ける攻撃を行うと赤眼の膝が地面をつく。


「ちぃぃぃいい!!!あと少しのところで……!!」


「どうやら間に合ったようじゃな!」

「うっせえ!!回復中だ!!!」

「ふぉふぉふぉ!強気なら大丈夫じゃな!!ほんだらトドメをさすかね!?」


 悪魔が腕を振り上げるとセルがソロモンの肩を触り、少し押しのける。


「こいつはぁ俺の戦いだ。手をだすんじゃぁねぇぜオッサン……ここで俺が2対1だと前回のPKKでもおんなじになっちまう……」

「前回??」


 ソロモンは眉間にしわを寄せて首を傾げる。


「全開の占領戦で、コイツは俺らにどさくさに紛れてPK仕掛けてきたんだよ。その借りは返さなきゃな。前回も物陰に隠れてやり過ごすという逃げになったが、今回はそんな言い訳できねーんだよ」

「占領戦でか?」

「まさかと思うだろ?コイツは仕掛けてきたんだよ。ったくよぉ……まぁそんなわけだ。コイツとの戦いはケジメつけなきゃいけねぇってわけだ」


 そういって地面に膝をついている赤眼にセルが近づこうとすると、どこからともなく光がセルの目の前を横切る。その光は赤眼の頭を打ち抜いていた。セルは一瞬なにが起きたのかわからなかった。


「だれだぁ!!こいつをやったのわぁああああ!!!!!!!!!!!!!」


 セルの目は血走り、光が飛んできた方を睨みつけた。


 そこには、エルフが弓をもっていた。その後ろには10名前後のプレイヤーが規律よく立っていた。


「てめーら!!俺はお前らに助けてもらおうなんざ、おもっちゃいねーんだぞ!!どこのギルドだ!コノヤロー!!!」


 セルの言い回しが荒々しくなり、怒り狂っていた。


 そして、エルフがすっと下がると出てきたのは聖騎士だった。聖騎士はセルに向かって声をかける。


「こんばんわ」

「こんばんわとか吞気に挨拶交わしてきてんじゃねぇ!!」

「これはこれは!つい、PKに会っていたのを救ったのに、その言い方はないんじゃないかな?」


 聖騎士はニヤリと笑い、セルに微笑んでいた。


「わかってて横槍いれたよなぁ?ぜってーー!!」

「さぁ?我々はここには()()に来ただけなんだがな?たまたまだろ?」

「たまたまで、赤眼の脳天ぶち抜けるほどの展開なんか聞いたことねぇぞ!!」

「フフフ……面白い冗談を言う人だね~?君は……えっと誰だい?」

「セルだ。DCギルドのギルマスだ。そっちは!?」

「マグナカルタ所属第四師団団長、オーウェンだ」

「ま、マグナカルタだと!?」


 ソロモンは動揺した。まさか、ここまで勢力を伸ばし、また堂々と狩りという名目でこれだけの人数を一気に移動させる様は、人数分でも良い金額にはなる。大金を収めてまでしてわざわざ国境を越えてこの人数でくるとは思ってもみなかった。



―――マグナカルタ、例のギルドか!?まさか、こいつらは先遣隊として来ているのか!?このままではまずい。資金力も勢力も束になったところで差が大きすぎるッッ!!こんなギルドとワシらは戦わなきゃいけないのか??


ソロモンは大きな戦力差を改めて痛感してしまう。


「ほう?わざわざ狩りをしに整列を組んでまで高みの見物とはな?わざととしか見られないよなぁ!?」

「ま、どう取られても結構だが?」

「なんだとこの野郎……!!」

「セル、落ち着け。ここは、人数の不利もある。それにまだスカルドやカルディアとも合流できていない。ここは下がろう」


―当初の目的とだいぶずれている。藪をつついて蛇を出すなら、まだしも大蛇がでてきたもんじゃぞ!


 ソロモンはセルにwisを飛ばすが、その場から動かないセル。しかし、セルの腕を握り引きずろうとしたとき、また別の問題が発生する。


 ヒュルルルーーー……ドンッッ!!


 セルの目の前に大きな火球が落下し爆発をした。


 爆風をもろに受けたセルは煙をかき分けるように手を仰ぐ。が、ダメージが少し入っているようで全体が煤だらけになってしまう。


「ったく!!今日は厄日かこの野郎!!」


 セルの前方に立っているオーウェンはセルを見ていない。むしろ、配下のプレイヤー達が戦闘態勢に入っていた。最早、セルとソロモンの事など見る必要がないといったような態度にも見えた。


「ほう……こちらは正規ルートで狩りに来ているのに、水を差すようですね?」


「水じゃねーよ、火種だよ。オーウェンさん」


 セルとソロモンはオーウェン達が見ている方向に目をやると、そこにはアーカードが立っていた。

 アーカードの後ろには前回同様の配下達が攻撃態勢を取っていた。



 誰もが見れば、一触即発の状態である。



「とまぁ冗談は抜きして……。この人らはうちのお客人だ。手荒な事はよしてくれないか?ここは我が領地だ。こちらの言い分を飲んで聞いてくれないかね?」


 そうしゃべりながら、ソロモンとセルを匿っていく。


「そうか!それはそれは失礼な事をした。残り少ない領地時間を楽しむ一時ひとときを邪魔するのは無粋というものだ。……おい、下がるぞ」


 オーウェンがそういうと、ゆっくりと来た道を戻っていた。それに続きぞろぞろと配下を連れて森の奥へと消えていった。


 それとは少し違うところからスカルド達が合流する。


「あれ??赤眼達は??」

「なんだやっつけちまったのか?つまんねーの!」

「まぁ無事で何よりですわね」


 三人は今あったことなど知らないため、吞気に言いたい事を言っていた。


 ソロモンはアーカードに話しかける。


「救ってくれたのはありがたいのじゃが……お主ら、わしらを尾行しておったじゃろ?なんで尾行した?」


「さすがにバレていたか。まぁ俺らがいたから、あんなやつらと戦いが起こらないで済んだようだな?」

「ふむ。その点は感謝するがの。じゃが、理由にはならんぞ?」

「フン、食えないネクロマンサーだな?」

「まぁ熟してはいるぞぃ?」


 そういうとウィンクをする。それをみたアーカード達はぞっとしていた。


「お、おまえんとこのギルメンはあれなんだな?ユニークがきついヤツいるんだな?」


 アーカードはソロモンを震えながら指をさしてセルに話しかける。


「違う×2あれは特殊だ!」

「№2なんだろ?」

「ああ、神器持ちのネクロマンサーだ。信じられないだろうがな」

「神器持ちだと?」

「ああ、このオッサンの手をみろ。“ソロモンの指輪”を持っているぜ?生憎、PSプレイヤースキルは置いといてな」


 アーカードはソロモンの指を見ると黄金に輝く指輪が目に入ってきた。


「ヴェ??あのクエストクリアしたのか?」


 驚きを隠せないアーカードを尻目にセルはアーカードの肩をポンポンと叩く。


「まぁ……ちったぁ実力を信じてくれそうだな?立ち話もなんだ。精霊の谷まで道中、護衛がてら頼むよ?アーカード()?」


 セルは精霊の谷まで案内するようにアーカードの背中を押した。


 森は何事もなかったように静けさを取り戻した。そして一行は再度、精霊の谷へ向かうのであった。



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