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負け組エリートのギルドマスター~VRMMORPGで復讐主人公は最強を目指し全一ギルドをざまぁする~  作者: 齊乃藤原
第伍章【青は藍より出でて藍より青し。氷は水これをなして、水より寒し】
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第178話「森のざわめき」

 一行は妖精の谷に向かい、西へ進路を取っており、森の奥へと進む一行は途切れつつある道を進んで行った。


 後ろから得体の知れない輩を背負いながら目的地へ向かう。

 セルは時折振り返っては何かを行っていた。まるで()()誘い込むかのように……。


「いやー!久しぶりにいくなぁ」

「まぁ確かにな。あそこはある一定のレベルまでいくと物足りなさが出てくるしな。効率を求めるとアソコじゃなくてもいいかな?って思ってくるよね?」

「そうだな。まぁ妖精の谷から少し離れた虚空の神殿にいくのがいいかもな。あそこならPT狩りも美味しいし、悪くは無い」


 カルディアとピピンは懐かしそうに思い出話をしていた。

 するとスカルドが話に入ってくる。


「それはそうとお二人共?虚空の神殿でのクエストは完了してますの?」

「くえすと??」


 二人はキョトンとした顔でスカルドを見た。


 スカルドは「はぁ」とため息をつくと説明を始めた。


「虚空の神殿の設定はいにしえより降臨してきた神々の降りる神聖な場所であった。そして、神々降臨してこなかった時代には祭事を行ってきた場所でもあったわけね。


 しかし、この世界の混沌と歪みが生じてきて邪悪な力がおよんできたため、人々はそこに棲みついた魔物を討伐してきてほしいという依頼がクエストの概要よ?」


 それを聞いた二人は無駄にやる気を起こしていた。


「なんだ。今の俺らなら余裕じゃねーか!!」

「このピピン様の神弓を舐めないで頂こう!」


 それを聞いたスカルドはまたため息をついた。

 スカルドはソロモンをみていう。


「あの二人はどうしてあんなにもやる気と根拠の無い自信が湧いているのかよく分かりませんわ……」

「お主も若いがそれ以上に若いのがあの二人じゃて。若さの勢いというのは時として突破力となる。その手綱を握り最大限に発揮させるのが、年寄りの役目じゃて。お前さんもいい歳の女じゃろ?キャリアウーマンというポジションにおるのなら、それくらいの事は分かっておるはずじゃ」


 ソロモンは性懲りも無くウィンクをする。


 パチーン☆


「うわ…本当にやめた方がいいですよ。それ……」


 スカルドはアタマを抱えながら、諭していた。


 そして、後方にはセルが何かをしているのをスカルドは気づいていながらも見て見ぬふりをしていた。


 道中のモンスターと対峙するとパーティ全体の火力過多相まって即死攻撃で収めていく。

 足止めにもならない。手応えのない冒険の往路に全体的に油断が生まれていた。


「そういえば、セル。後ろの輩はどうなってんだ?全然仕掛けて来ないじゃないか?」

 カルディアがセルに煽るような言い方をしていた。


「ふん、お前みたいな楽観主義じゃないんでな。念には念を入れて後方支援しているんだよ」

「念には念をねぇ……。もういなくなったか、帰って寝ちゃったんじゃねーのか?」

「まぁ戦力的には俺らなら瞬殺っしょ??」

「そう言ってられるのも今のうちだぜ?どうやら、俺の仕掛けにかかった奴がいる」

「ほう。現れよったか」


 ソロモンが指輪をはめた手を後方に手を翳す。カルディアとピピンは慌てて構え出す。


 森がざわめき、鳥達が空に羽ばたいていった。


「おい、脅かしっこはナシだぜ?」

「ちぃ!静かにしろ。音が聞こえねぇ!」

「フン!」


ザッザッザッ……



「近いぞ?…二人、いや、3、4人?」

「意外と早く仕掛けてきたな?」

「くそ、見えねぇ!」

「なんでだよ?」


セルにしか聞こえない音が消えてしまった。


「近い!目の前にいる!!」


「え?」


 スパーン!!


 カルディアの横っ面に飛び蹴りを放った人影がパーティの隊列を横切った。


「くそ!デコイか!!」


 ディフェクトノヴァ!


 スカルドは遅ればせながら防御魔法を唱えた。


「おい!カルディア!立てるか?」


 ソロモンはカルディアを庇いながら指輪の悪魔を召喚した。


「馬鹿野郎!!」


 セルはソロモンの死角から襲ってくる人影の攻撃を受け止めにガードを張っていた。


「グハッ……!!」

「おい!なんじゃ?」

「オッサン!そんな適当に召喚したら死ぬぞ!俺ら囲まれていやがる!!」


『!!』


 パーティ全体に戦慄が走るッ!!


 構えを崩されてたが、なんとか持ち直してセルはフィールドエクスポーズを使う。


「手前に5!奥に6!めんどくせえ数で仕掛けてきやがったなッ!」


「そ、そんなに??」


 スカルドは動揺していたが、あの2人組は意気揚々としている。


「なんだか知らねぇが、オラァワクワクしてきたぞ?」

「そんなヤサイな異星人の真似するんだよ!」

「山賊なんてものは、確実に仕留めるのが定石、山賊のやり方を知らねぇようだから、このカルディアが直々にレクチャーしてやろうじゃねぇか!」

「そりゃそうだ。俺らの十八番おはこだぞ?」

「行くっきゃねぇよなぁ!!」


 二人はやる気満々で武器を構え、フォーメーションを組み込もうとしていた。

 その横にはセルが構えを変え、暗器を手に忍ばせていた。そして、意外な人物との再会に反吐が出る思いを巡らすことになる。


「なんだ。またアンタか……。ったく、仕事を選ばねぇ野郎だな!」


 セルの視線の先には、暗闇の奥に静かに滾らせる赤い眼が煌々と輝いていた。


「ふはははは!!まさかお前らだとはな!!運命というのは面白い!今日の運勢は良かったのか?この再会に祝福を!そして、勝利の美酒は貴様の血で賄おう!!かかれッッ!!」


 暗闇に隠れていた隠者達が一斉に襲う!!


それと同時にセルには赤眼がぶつかりにきた。


 ガキン!!


「ったく!負けたのが悔しくてここで雪辱を晴らす寸法か?」

「なにをいっている?このゲームの仕組みをしらんようだな!ある一定の装備とスキル、レベルが拮抗するとほぼジャンケンのような状態になる。たまたま勝てたからといって図に乗っているお前の脳ミソはお花畑にいるじゃないのか??」

「なんだとこの野郎ッ!!」


 小刀を弾き返し暗器を投げ飛ばし追撃を行うがひらりひらりとセルの攻撃を交わしていく!!


「ゆったろ?お前の攻撃が受けないように俺もお前に当たらない!!さぁ、どちらのスタミナと気力と根気が切れるか無限地獄の旅路だぁ!!」


 森の木を使い、スピードを上げて突進してくる。


 セルはその攻撃を躱し、追撃の攻撃を弾き返した。


「この野郎ッ!!俺のコンボを真似しやがってッ!!」

「同じ穴の狢って知っているか?お前は俺で俺はお前だ。クックックッ……!!」


 二人は睨み合いが続いていくッ!!


 その最中、スカルドとカルディア、ピピンの3人はソロモンの召喚した悪魔と共闘するかのような連携を行っていた。


「オッサン!!召喚した悪魔!なんて名前なの?」

「アンドロマリウスじゃよ!盗賊とかに攻撃が有効なんじゃよ!」

「にしちゃ大人しくねぇか?大丈夫かよ!」

「なんじゃと?言っておくが神器だぞ?そんな弱い悪魔いないじゃろ!!」

「だって、モロダメージ通ってるよ?」


 ぱっと見ると頭の上に表示されているゲージが半分越えて減っていた。


「う、うるさい!操作するワシのPSプレイヤースキルの問題じゃあ!!」

「あらら……期待してしまった私が損しましたわッ!!」

「クソ!見てろ!()()()()!!スティールチャージ!」


 アンドロマリウスは範囲攻撃を示し相手のスピードを奪った。


「相手の攻撃速度が遅くなった!カルディア!アレやれるぞ!」

「ったりめーよ!!喰らえ!!」


 クロスサイクロン!!


 カルディアが担いでいた大斧は大きく下から振りかぶって投げ飛ばした!!


「まだだ!喰らえ!我が神弓!スパイダーシャイン!!」


 ピピンは天に向かって矢を放つと敵の影を捉えて更にスピードを遅くする。

 間髪入れずにピピンは次の矢を装填していた。


「トドメだ!!」


 精霊より受け継ぎし、大樹の光よ!我が闇を払え!!!


 ピピンの手と弓、そして矢が光り輝く!


 ホーリーなる雷光ライトニング衝撃インパクト!!


 眩い光と轟音による矢はフィールドを駆け抜ける!


 手前の敵はカルディアによる攻撃で倒されていくが、瀕死で残っていた残党を刈り取る勢いで、オーラアタックを放っていったのだった。


「っしゃあ!いっちょあがり!!」


 ピピンが飛び跳ねて喜んでいたのも束の間、背後から黒い影が強襲する!!


「本職をなめるなよ!?」


 ズブッ!


 鈍い音がピピンの身体から聞こえてくる。


「っ!!てめぇ……!!」

「おたくのギルマスには煮え湯を飲まされててなぁ!!こんな奴を1人倒したくらいでは気が収まらないんでな!!そこのデカブツもプスリと殺らせてもらおう!」


 そういうとピピンが倒れるのを見届ける間もなく一瞬でカルディアの前に現れた。


「死ねよ。デカブツ」


 カルディアの目の前で姿を消し、無数の攻撃を仕掛けていく。


「あはははは!!遅い!!遅い!!遅すぎる!!所詮は力任せ!!スキル依存の強い職だな!!」

「クソ!標準が合わねぇ!!」

「標準があったところでフレーム負けしてんだよ!!木偶の坊がぁ!」


 防戦を強いられているカルディアにスカルドが支援魔法をかける。


 精霊魔法!!クイック調アイズ


 ※クイックタイムと同じ効果


 カルディアの動きにキレが増幅され、生意気なアサシンは距離を取らざるを得なくなった。


「チィ!!綺麗な顔にキズつけなきゃわかんねぇのかよ!」


「あなた!!どこがで見かけたことがあるわ!」

「あん?」


 生意気なアサシンはチラッとスカルドの顔を覗き込む。


「お、思い出したわ!!セイメイ様を襲った…!!」

「アスリアだ。テメーみたいな支援職のピーキーは黙って指を咥えてるのがお似合いだぜ?」


 アポカリプスの主力が今回関わっていた事なのだと、この戦いで知ることになったのだった。



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