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負け組エリートのギルドマスター~VRMMORPGで復讐主人公は最強を目指し全一ギルドをざまぁする~  作者: 齊乃藤原
第伍章【青は藍より出でて藍より青し。氷は水これをなして、水より寒し】
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第175話「DIVE」

 ドゥゥゥゥゥン!!



 セイメイがイーリアスに戻るとギルドハウスではなく、村の入口に転送されていた。


 ギルドハウスでログアウトしていたため、所属外であるセイメイは強制的にリスタートさせられることとなっていた。


 手始めにルカを探そうとギルドのメンバーリストを探していた。


「おい、マスター」

「だぁぁぁーー!!」


 ルカがセイメイに声をかけていた。セイメイはいつもの通り、不意打ちをくらい、驚き慌てふためいていた。

 ルカはそれをみると、呆れているような表情をしているのか今にもため息をつきそうになっていた。が、そのような表情はせず、淡々と会話を進めていく。


「あまりにも戻りが遅いから大変な目にあったぞ?」

「あぁぁぁー!!スマン!!ルカ!!許してくれッッ!!」


 セイメイは合掌しながら、頭を下げていた。


「どうにもならないから、私がとある拠点戦に出ることになった。今回の判断はマスターの行動を正当化する為の行動の一貫であると総合的に導き出した選択肢の1つであり、最良の選択と言える」


「え??どっ、どっちだ?てか、どういうことだよ?」

「マスターが来ない間に色々と話が拗れていった。無論、ユーグさんもその戦に出ることになっている。つまり、傭兵という事になり、一戦いくことになります」


「お、おう。それはすまなかった……」

「間もなく、ユーグのログイン時間になります」

「な、なんでわかるんだよ?」

「あと15分ほどですね。統計的にバイト上がりの日に該当するためです」


「お、お前……」

「あと、残念なお知らせになります」

「え?まだあるの??」


「マスターの()()()()が亡くなられました」


「!!」


「死に目に会うのは家族であり、マスターは部外者。この場で冥福を祈る事です。それと……」


「ねぇ!!まぁだあるの?へ、凹む時間くれないんか?」

「雫は玄庵の親族に当たります」

「ちょwそれ、なんで確定事項で報告する??」

「IPが……一緒の回線なのですぐに分かりました」


「ルカ、お前……」

「マスターに有用な情報はマスターの指示や意思とは別に私の独自の判断であります。伝えた情報を拾うも捨てるもマスター次第です」


 ーーー彼女…にとっては、人の死亡報告も家族関係もただの情報に過ぎない。それは人間である我々も同じなのだ。無関係であればあるほど文字の羅列でしかなく、テレビのコメンテーターのような「ご冥福をお祈りします」なんて言葉がより、露骨に冷たく他人行儀に聞こえてくるのと同じなのだ。そう、無関係の人間であれば、どこでどう野垂れ死のうと無関係の人間からは、聞き流すBGMのように、ただ目の前の忙しさを重要視するのと変わらない。所詮、他人事なのだ。


 だが、俺にとっては関係が深い。と、一方的に思っているだけかもしれない。それでも、彼の死亡報告はショックを受けた。あんなに元気だったのに呆気なく死んでしまうものなのかとーーー




 セイメイは深い悲しみに落ちることすら許されない。とでもいいたいのか、溜まりに溜まった情報をセイメイに振り降ろしてくる。セイメイは感情を押し殺し、ルカが伝達してくる情報を捌くことにしていく。

  大人とは無駄に経験を積み重ねているせいか、客観的に物事を捉えるチカラが備わってしまう。それは全ての事において、騒ぐ事がダサいと思ってしまうし、カッコ悪いとかみそぼらしいと暗黙に学習させられてくるのだ。


大人げない。いつからこれが当たり前になっていく……


 そして、ルカはソロモン達の行動の進捗や、アイオリアの渡米によるGPS通信の遮断が一時的に起こったことなど、最早ゲームの世界ではない。このAIはゲームのサーバーを介して、世界中のデータを出し入れしている。


 セイメイの考えなどでは、心は人と人とコミュニケーションを取り相手の気心を理解した世界に身を置いている。いや、そういう世界だと思っていたいと自分に言い聞かせている。どんな事であっても、そこには人の生き様や死に様が刻まれている。ルカは個人情報のプライバシーポリシーなんてものは、あってないようなものだと言わんばかりに情報を抜き出してくる。


 セイメイはふと気になった。


 もし、AIを完全に操れれば、世界中の人々を監視下におかせ、世界に君臨するかみにでもなれるのではないかと。それと、同時に暴君が生まれ、時代が逆行するのではないかと思えてしまう。


 考え過ぎだ。そんなことをやったところでいずれボロが出て非業の死を迎えるだけだ。

 そのトドメを刺すのも最後は人なのだ。AIが人間を支配出来ても、いずれどこかで逆転をする。そして、またどこかの時代でAIが巻き返す。新たな覇権争いに愚かにも染めようとするのかと思うと辟易するのだった。


 ルカが色々と情報を言い終えるとセイメイは、わかったと一言いって、しばらく目を閉じ腕を組んで黙って考えていた。


 そして、セイメイは閉じた目を開けクリスの事を話す。


「今、俺の()にクリスがいるんだが、クリスに情報提供したのはなんでだ?俺は個人情報の扱いを不正にするなと前に注意したと思ったんだが?」


「その事案については、ギルドの存続に関わる、または、ギルドマスターの生死に関わる案件であると採択された場合に限り、近しい人物及び幹部レベルにおいてはギルドマスターの安全保護を第一とし、ある条件下においては、その限りではないと定めておきましたので、前提条件は優先順位から一時的に除外されました。今回においては平時とは違い、緊急性を要しないため……」


「わーった!わーった!」


 説明を求めたのは、()()が悪かったとセイメイは反省をした。ルカの行動が理論的に自分の為に動き、ルールを設けて理由付けを行っていたことなのはわかったが、説明が長すぎて聞くに耐えなかったという点も見受けられていた。


「まぁいい。今は平時なのだ。一時的にそのルールを課すことになるがいいか?」

「マスターの仰せのままに……」


 ーーーなんか、やりづらくなったなぁ……


 セイメイは頭をかきながらやりづらそうにしていた。



「さて……その拠点戦はいつなんだ?俺も参加していいのか?」

「はい。明日の19:00から準備との事でした」

「開戦は20:00という事だな?」

「はい」


「相手は?」

「バンブーパンダです」

「あ、マスター。マスターは除外条件になっていますので、単独参戦扱いです」

「え?なんでだ?w」


「マスターの立場的にはグラマス。つまり、一国の王扱いですから、王が局地戦のような拠点戦に出るなんてありえないという設定のようですね」

「そ、それだけ?」

「十分な理由だと思いますがね?」

「いや、しかし!!あ!それでも出陣出来るのはあれか。個人参戦なら…ということか?」


「ええ、ですので、パンダもところも他の零細ギルドももろとも敵判定になります。劣勢に次ぐ劣勢の状況。あくまで私達はマスターの行動の肯定をする義理立てという名目で参戦するということです。そこに()()で、参戦するという事はマスター自身も…あちら側の()()を通すという事になります」


「なんだか厄介な事になってきそうだな」

「ええ、厄介な事になっています。それが人間社会。なのでしょ?」

「あぁ…まあ、おおよそあっている。あっているし、俺が今回の騒動を引き起こしている。援軍を呼んでも構わないよね?」

「ええ、非公式参戦ですからね。ただ、袋叩きにあう可能性も否定出来ません」

「そんときはそんときだ。非公式参戦で、仮に勝っても負けても拠点の確保が出来る訳では無いからな。今回は花を持たせると言った方が正しいかもな?」



「では、応援にはどなたを?」

「ファウスト辺りが妥当かな?まぁ来れなくてもいいけどな」

「……わかりました。マスターの思うがままに」

「あ?ああ……」


 セイメイはルカの最後の言葉に妙な違和感を抱いたが、毎回の事と思い、とりあえず今はユーグを待っていた。


 ほとなくして、ルカが予想した通り現れる。


「ま、マスター!!?やっと戻ってきたんすね!!あれから、ちょ~大変だったんすよ??流石の自分もムッと来ましたけど、まぁマスターのやる事だからきっと意味があると思い我慢しましたよぉ!」


「いやぁ~すまんすまん!面倒押し付けちまったなぁ!!わりぃな!」

「まぁいいすよ?お陰で相手が格下ってのもあって、楽しみです!」

「キルリーダーを狙っていくのか?」

「当然ッッ!!ここぞとばかり暴れさせてもらいますよっ?!」

「はははっ!俺は友軍敵軍無視していいなら、俺の方が分母が大きいからかなぁ!!」

「なぁにいってんすか!?今回は…マスターの後始末なんですからね!?」

「そうだった…!!」

「まったくそうやって調子こくんすから!」


『ははははは!!』


 2人は大声で笑っていたが、それもつかの間、2人の元凶となった者達が二人の前に現れるのは必然の事だった。

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