第18話「弓手横(前編)」
~コロッセオ(コロシアム)~
現実世界では、当時の皇帝が市民を懐柔するための娯楽施設の目玉として円形闘技場の建設が検討された。模擬海戦が行われると共に、剣闘士試合で様々な猛獣5000頭が殺され、数百人の剣闘士が命を落としている。
名前の由来だが、フラウィウス朝の皇帝が建設者であることから「フラウィウス円形闘技場」が本来の名前である。しかし、ネロ帝の巨大な像が傍らに立っていたためそれと混同してコロッセウムと呼ばれるようになったという説や、円形闘技場があまりにも巨大な建物であったからコロッセウムと呼ばれるようになったという説という諸説がいくつか顕在し、おそらくこの二つが有力説である。
構造はローマン・コンクリート(火山灰を利用したコンクリート)で出来ている。鉄骨を用いないコンクリートにも関わらず幾多の地震の際も崩壊しなかったのは、全体が円筒形で力学的に安定していたためである。
ここの力学を西暦40年で確立していたのが驚きだ。
長径188m、短径156mの楕円形で、高さは48m、約5万人を収容できた(文献により40,000人 - 60,000人と幅がある。4階建てで、アーチは各層で様式が変えられており、1階はドリス式、2階はイオニア式、3階はコリント式になっている。
天井部分は開放されているが、日除け用の天幕を張る設備があった。皇帝席には1日中直射日光が当たらないように設計されており、また一般の観客席についても1日に20分以上日光が当たらないように工夫がされていた。円形闘技場に入るアーチは全周で80箇所あり、そのうち皇帝や剣闘士専用のものを除く76のアーチには番号が付されていた。
これはテッセラ(入場券)にその番号を記して混乱せずに入場できるようにするためのものと考えられている。
整理券もさることながら、この時代に既にドーム化をしていたのが、すごい!
初期においては競技場にローマ水道より引いた水を張り、模擬海戦を上演することさえ可能だったが、後には「迫」のような複雑な舞台装置を設置したためにそのような大規模演出は不可能となった。
このほかには剣闘士と戦う猛獣を闘技場のあるフロアまで運ぶ人力エレベーターが用意されていた。
コロッセウムの横には噴水が作られた。それは「メタ・スダンス(汗をかく標識)」といわれ、闘いを終えた剣闘士もここで体を洗ったと伝えられている。
(一部Wikipediaより抜粋)
さて、このコロシアムで俺は『屋島の戦い』をしなければならない。
水を入れる抜くにはパパッと出来る。ちなみに収容人数もそんなに多くない。2000名前後の規格で出来ている。じゃあ前述の説明はいらなくねーか?という元も子もない話になるが、そこは、世界遺産を伝えれる大事な箇所であるので説明すべき点はする。
なぜなら、中世ヨーロッパを土台のファンタジーがイーリアスの良いところなので関連付けて説明する義務と権利がある。本件は後者に当たり、権利放棄の選択はなかった。
その前に流鏑馬で得点を争う形となる。
流鏑馬の歴史は、平安時代にさかのぼる。6世紀に発生し、メジャー化させたのは源氏の頼朝公の武家政権の鎌倉幕府の時代に行なった。というのを踏まえて頂きたい。
流鏑馬は疾走する馬上から的に鏑矢を放ち、日本の伝統的な騎射の技術・稽古・儀式のことを言い、馬を馳せながら矢を射ることから、「矢馳せ馬」と呼ばれ、時代に追うごとにつれて「やぶさめ」と呼ばれるようになったといわれています。
【立ち透かし】という、姿勢ができて本来馬上での騎射ができるのだが、そこはゲームなので割愛する。
【立ち透かし】
鐙に脚を踏み立つ姿勢を取り、馬上で弓を引くには体を安定させなければ出来ない。
通常のように座らないのでこの姿勢が正しく出来ないと本来、弓を引けないので、馬上で立ち透かしが出来ないとどんなに馬術に長けた人でも流鏑馬は出来ないと言われている。逆に、立ち透しが出来ると頭や体は揺れず、安定して矢を放つことが可能である。
ちなみに時期的に(9月~10月)に全国各地で開催されているので、ぜひ見に行ってほしい!
地元の流鏑馬や近隣の流鏑馬でも結構です。非常に面白いですし、当たれば「おおっ!」歓声が上がります。素人でも楽しめるものです。稽古でもあり、奉納・厄除け、そして伝統的なスポーツという多角的な視点で流鏑馬は素晴らしい文化だと思います。
さて、準備は整ったようだ。
流鏑馬のルールを説明しよう。
事細かく説明するとダラダラ長くなってしまうのでかいつまんで説明しよう!
そもそも儀式なので、礼儀作法をする。
そして、的は「天下泰平、五穀豊穣、万民息災」を祈念するという目的。
これらの的を二回、馬を走らせて狙う。現実は外しては恥なので、かなりの凄腕の弓術・馬術が求められる。
最後に勝ったものが、勝鬨を挙げて奉納するというのが、ざっくりとした流れだ。
今回は、かなり簡略化されているらしい。
さてさて、今回は「健康第一、開運厄除、必勝祈願」となっている。
ま、まぁいいか。ゲームだけどちゃんとやろうとしていることが凝っている。
本来であれば、伝統衣装に身を包みやるところなんだが、流石にその衣装はないので、装備のままやる。
さぁお立ち会い頂こう。真弓勝負!!!
どうやら俺をとりまく皆様は俺の失敗を見に来たらしい。
スカルドさんの気合がどうも全体にいきわたったらしく超満員だ。
中には、別サイトで俺らの対決を放送してるやつも出てきた。そんなに俺に負けてほしいのかよ。
アンチども!!人の不幸は蜜の味という言葉あるくらいだ。こうまでして俺の失敗や悔しがる顔をみたいものなのか?!!まったく民衆というのは、人を公開処刑するのが大好きな生命体のようだ。
まったく。
俺は控室に赴いた。
カルディアやピピン、ユーグまできていやがる!!
「負けるなよ!!」
「マスターの腕前拝見といこうか」
「マスター!!サクッと割っちゃってくださいよぉ!!!」
「わーったわーった!とりあえず、控室にいくからお前らは観客席にいってろ」
はーいといい、観客席にむかった。
「今何飲みながらやってるの?」
「コーラ」
「俺、スプライト派!」
「俺は緑茶だ!」
と、遠巻きに聞こえた。
ユーグとカルディア、ピピンは俺がいない間に意気投合していた。
ユーグはムードメーカーだったんだな。
部屋に入ると結華がおり、俺に話しかける。
「セイメイさん、先攻と後攻どちらがよろしい?」
「まぁ後攻がいいかな?…。」
「相手が女性だから“レディーファースト”っていいたいの?」
「そういうのじゃない!」
「じゃあ作戦?」
「んなもんねーよ!」
ふーんといい、後ろを向き一呼吸を入れて、2.3歩歩いたところ急に踵を返し俺に近づき、「じゃあ殿方がお手本を見せてくださいな♪」といいながらウィンクをしてきた。
―――これが女のペースか。しかたない誘いに乗るか。
さて、ファンファーレがなった。俺らは対決の場“戦場”へ赴くこととなった。
~コロッセオ・決闘場~
まぁ現実だとここで何百人という血が流れてていた狂乱の祭典だったと思うと身震いがする。
「あら?怖いんですか?」と結華は俺の顔を伺いながらいう。
「武者震いだ!」
スカルドがコロッセオ全体に声をかける。
「これより、PROUD主催の激戦!青龍偃月刀争奪戦を行います!!」
観客からわーっと歓声が上がる。
スカルドはあーだこーだ大袈裟に演説をしていっているが俺には入ってこなかった。
「…では、協賛のオケアノスより、英雄アイオリアさんからの挨拶をお願い致します。」
「諸君!!私がアイオリアである!!」
わーっ!!!!と歓声があがる。
『アイ・オリ・ア!』『アイ・オリ・ア!』『アイ・オリ・ア!』『アイ・オリ・ア!』
アイオリアコールがかかる。それをなだめるように、手を翳し静粛を保たせる。
―――コイツ……。自分がやらねーから楽しんでやがるッッ!
「諸君らも知っておろう!わが主!!セイメイ“様”がオケアノスの実力を見せつけるため、PROUDに対して親善試合を申し込んだ!!!」
―――ちょっとまてーーーーぃ!!!!俺は試合申し込まれた方だ!!!!!!!
あいつは、俺をダシに面白がってるだけじゃねーか!!!!
しかも“様”ってなんだよ!!いつからお前は俺に様をつけることにしたんだ?おい!!!
演説は続く
「PROUDのスカルド氏はこれを快諾、試合条件を弓とし、平和的且つ、和洋折衷のコラボレーションをここに実現させようとし、今日この場で成し遂げたのだ!!
セイメイ様は、皆に己の実力を披露し、今後の展開の祈願という伝統的な背景も抑えつつ、このような運びとなりました!ぜひぜひ、このコロッセオの伝統と流鏑馬の伝統の融合した夢のコラボレーションを熱狂していただきたい!!以上だ!!」
わーっと同時に悪ノリしたプレイヤー達が年末に運営からもらった花火アイテムを使用して花火をバンバン打ち上げたり、音を鳴らしたりして盛り上がっている。
俺はやりづらくて仕方がない!!
「アイオリアめ~~!いつかぶっ殺す!!」と壁に向かっていっていた。
しばらくすると馬が用意され、セコンドにクリスがついてきた。
「あれ?クリスなにしてんの?」
「わ、わたしは、ボディーガード兼秘書ですっ!!そばにいるのがあ、ああ、あたり、当たり前じゃないですか!!」
慌てながらいってきた。
「あ、そっか」
俺は馬に跨り準備をした。
PROUDのメンバー達が準備と扇をもち、合図する。
一の的、二の的、三の的とあり、馬場からスタートしてすぐに3本の矢で射貫くという実は高等技術なのだ。
まずは【素馳】をする。
射手は弓を射ずに全速力で馬場を走り抜ける。まずは馬と自分の打つイメージの“慣らし”だ。
結華も走り準備をする。
さてそろそろ本番。
【奉射】だ。
真ん中から5.4.3.2.1点となっている。
撃つ前に少し弦のハリを確認する。
さてスタートだ。
扇をもった女性が俺に合図を促す。
「せいやっ!はっ!」と声をかけて走り込む。
馬を馳せながら矢声をかけるが、意味のない言葉は臆病声といい、意味ある言葉として「インヨー(陰陽)」の声をかける。矢声は番える動作の間に発す。というらしいが、俺は気合でいうこととしよう。
まずは一つ目
ある程度のロックオンはできるが、果たしてど真ん中を打ち抜けるかだ。
「はっ!!!」
バコン!
少しずれたか?
次、二つ目
すぐさま右後ろから矢を取り出し、矢継ぎに入る。
気づいた方もいるだろう。「矢継ぎ早に~」これはこの次装填が早い為、矢継ぎ早にという言葉はここからきている。
弦をキリリッと最大限に引き、狙いを定める。
こんどこそ!!
「せいや!!!!!」
おし、当たった。
最後、三つ目
「さぁっ!!!!!!!」
お、そこそこいいかも??
さて得点を確認しよう。
3点 5点 4点
合計:12点
場内はわーっとなった。
「1回目にはしては上々かな…。」まずまずの成績に納得した。
次に結華だ。
パーン!!……パーン!!……パーン!!
場内はオオオオオッッッ!!!!と場内は蠢いた!!!
なんだ!!!!????
じゅ…14点だと!!??
撃ち終えた結華が俺にいう。
「まぁこんなものですね。さぁさらに突き放しますよ!!」
「くっ……」
―――まじかよ!!おいおいおいおい!!!あんな上手いのかよ!!!俺完全にアウェイじゃん!!いや、知ってたよ!!わかってたよ!!!!他国でこんなことなっちゃってるんだから!!!
くっそう。馬上で馬を歩かせながら、焦った心を落ち着かせる。
二回目の馬場で埒が開くのを待つ。
ここで豆知識だが、馬場の周囲に巡らした柵。これを埒という。
埒が明かないというのは、ここの埒からきている。
クリスが拝むようにいう。
「一本大事に!!!!」
「ああ、集中!!集中!!!」
二回目の扇の合図が見えた。
ふぅー。と一息つき集中する。
「はぁ!!!」
一つ!
スパァァアン!!
二つ!!
スパァァアン!!!
三つ!!!
スパァァァアン!!!!
おーし!!手ごたえありだ!!!!
得点をみる。
5点 5点 4点
合計:14点
2回合わせて、26点!!
おっしゃあ!!!!!!!!!
本来ならこんな事で喜ぶのは不謹慎だが、神様許せ!!
あとは結華の精度がどうかってとこだ。
パーン!パーン!パーーン!!
相変わらずいい音だすなぁ!!
問題は点数だ。
5点 5点 3点
合計:27点!!!!
クソ、負けた…。
そう悔しさを滲ませながら苦い思いを無理やり飲み込んだ。
まじか!いや~惜し良かったな!!
結華が近づき、俺を労う。
「お疲れ様です。はじめてにしてはスジがいいね。なんかやってたの??」
「いや~~、FPSを少しやってて、俺、偏差撃ちを昔少し練習してたんだよ。その調整がたまたまうまくいっただけだよ!それより、すごい命中精度だね!!」
「最後は少し狙いすぎちゃった!てへ♪」
可愛い!!……いやいやいや!!!これは罠だ!!!!危ない危ない!!
「次はまけねーぞ!」
「私も負ける気はありませんよ!」
勝負の行方は次回へと続く……!!