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負け組エリートのギルドマスター~VRMMORPGで復讐主人公は最強を目指し全一ギルドをざまぁする~  作者: 齊乃藤原
第伍章【青は藍より出でて藍より青し。氷は水これをなして、水より寒し】
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第159話「雨天の反論者」

 ―――5年前、


 X月〇日、セイメイはイーリアスの新規登録を行う。


 それはまだ、大手企業でバリバリの営業マンだった頃の話だ。いつも休憩時間を使い、暇の時間を埋めるようにネットの巡回をしていた。それはネットのまとめサイトをみるという、取るに足らない何気ない行動の一つだった。ふとバナーに書いてあった広告に目が行き、タイトルをみてやりたくなったのがきっかけだ。


 帰りにPCショップに寄り、ハイスペックのものを取りそろえ、まるでプロゲーマーのようなPC環境を整えていく。まさにお金でモノを言わせて買い揃えた初めての買い物だった。

 セイメイは、車などにはまらず、飲みにもいかず、ただ疲弊した身体とストレスをぶつけるために買ったのが最初の動機だった。


 そしてロケテストリリース当日、セイメイはこのイーリアスに降り立つ。このロケテスト期間を経て、始めたものの、難易度やガイドラインが少なすぎて、途中で諦めてやめてしまう。


 それから、約半年が過ぎるとセイメイは、仕事の面で自分が抱えていた事業部縮小と派閥争いや裏切りによって、会社を辞めざるをえなくなって退職に追い込まれるカタチとなった。精根尽き果てていくセイメイは、引きこもりがちになり、人間不信に一時的に陥る。基本、大手の営業マンで実績があれば、ヘッドハンティングなどの転職の幅は引く手数多であったが、セイメイは人嫌いになっていたのと、無気力による惰性を貪るカタチとなる。


 昼はパチンコ屋にいき、夜は動画を貪る。そのルーティーンを1ヵ月近く続けていると、ある一通のメールが届く。


 それは昔、学生時代に知り合ったゲーセン仲間からのメールだった。

 それが、YoShi光だった。


 YoShi光とは、ゲーセンで知り合った珍しい出会い方で知り合う。

 ゲーセンにおけるオンラインゲームがいくつかの流行りの波のうち、大きな一つを迎えたビッグタイトルのゲームで相方として出会う。その事により、連携とカバーリングが逆転の要になっていた対戦型ゲームにおいて良き相方として、友情を深めていった。


 奇しくも相手は同い年の隣町の大学に通う理系の学生だった。

 セイメイは経済学部と至って文系が入りそうな学部へ入学していたため、自分には不得手な理系を、YoShi光という友人通して興味を持てた。


 また、お互い他大学の学生同士、仲の良いグループには属していたが、ことさらゲーセンに関しては、全員興味がないためお互いの価値観を共有できる仲間としてお互いを大事にし、学生時代の刹那的な楽しい時間を共有していく。


 そんな過去を持つ二人が、このイーリアスで再度タッグを組む事になる。


 YoShi光はセイメイより後に始めていたが、既にサムライになっており、セイメイもサムライの剣士で始めている事に驚いていた。


 色々戦い方の技やコンボなどを教えてもらい、YoShi光が所属するまだ創成期であったMIKADOの門を叩くことになる。そして、お互いの師である玄庵とセイメイはこのギルドで知り合う。


 セイメイは、YoShi光との差を埋めるべく早速玄庵に申し出た。


 そこから剣の指導かと張り切っていたが、まさかの採取コンテンツと栽培コンテンツの併用から教わる。生活コンテンツをおろそかにすれば、いずれ限界が見えてしまう。それが、玄庵の教えだった。毎日、狩りを終えては生活コンテンツを欠かさず々過ごす毎日、そして、その成果を士道の試練に当ててを見事攻略する。


 士道の試練はランダムMAPが広がっており、確実な正解がない。それは不特定フロアに存在するNPCの回答を答えていき、奥にいるボスを倒すというクエストになっていた。


 それを最短で解いたのはただ一人、セイメイであった。


 ようやくサムライの称号を手にしたセイメイは、玄庵に報告するとセイメイと一緒になって喜んでくれた。しかし、YoShi光が浮かない顔をしていた。その時から少し様子がおかしかった。


 追いつきそうなセイメイを快く思ってないのかと思い違いをしてしまう。


セイメイはそこから、不必要な亀裂を生じさせていく。


 ゲームで、少なくとも人間不信を取り除け始めていたセイメイは、閉ざした心を開いていくセイメイを応援したかったのだが、YoShi光は違う事に憤りを感じていた。



~ 帝都スメラ・武陽城 ~


「なに!?士道の修練をイッパツで解いただと?」

「それも、我がギルドの新人です」

「だれだ?そいつは?」


「セイメイと名乗るやつです」

「気に食わんなぁ~。我らはようやくこの職になれたというのに、これでは攻略方法が世に出れば、サムライが増えて、ライバルギルドが跋扈ばっこする。いい具合にサービススタートと同時に、この城を手にしたというのに、ここで群雄割拠の占領戦をする事なんてまだあってはいけないのだ。せっかく手に入れたこの城を他のギルドに明け渡すわけには行かない!」


「お言葉ですが、ミヤゾンさん。ここは一計を図られては?」

「セイメイをこちら側に引き入れて、悪者にするというのはどうでしょうか?」

「ほう?どうするのだ?」

「大事なことなので、wisにて……」

「お主も悪よのぉwww」




――――――――――――――――




こうして、セイメイはまんまと騙されていく。チートの疑いをかけられ、情報を予め不正データを利用するというでっち上げられた噂をバラまかれる。


セイメイは違うといっても、誰も信用されない。また、罵詈雑言の中に運営に報告し停止アカウントの申請報告をするとまで耳に入ってきた。ようやく、心を取り戻そうとしていた矢先の出来事にセイメイは絶望した。また、セイメイをギルドに入れた当時のギルマスの追求責任まで発展することなりかけた。

そのため、新参者のセイメイは脱退を決意する。


そして、この出来事はセイメイの根幹を揺るがす事に発展する。


―――結局、人なんてものはすぐに裏切る……!!ならば!!俺の手で信頼し合う仲間を集めればいいだけの事だッッ!!


無念の胸中を知っているYoShi光は、セイメイの潔白を訴え続けた。しかし、セイメイはそれを知る由もない。貯めに貯めた資金で買えるだけの装備を揃えて、単身、帝都スメラを出奔しゅっぽんを決意する。


雨が降り注ぐ中、一人、ギルドの脱退のボタンを押すとPKモードをオンして、狩場で向かう。

その道中、ミヤゾンを見つけ攻撃をしかける。

セイメイは単身、ミヤゾン目掛けて刃を向けるが、それを阻止しようと元仲間達が阻む。そして、無常にも敵となった元仲間らを次々と斬っていく。


そして、その現場をセイメイはあろう事か玄庵に見つかる。

しかし、それをいい事にミヤゾンは行方を晦ます。


その後は、玄庵の言う通りである。


サンライズをでたセイメイはYoShi光の話を人づてに聞く。


最後までセイメイは不正をやっていないと、なんの確証もないのに……。

それは理系としてあり得ない行動であった。確証なくして反論するというロジックで、真逆の情緒的な言葉を彼が述べていた事に驚く。しかし、彼はそれを最後にログイン履歴がなくなり、いつしかMIKADOから追放され、その後の行方が知れない。



あらぬ疑いをかけられ、また反逆のセイメイと不名誉なレッテルを貼られたまま、セイメイはダイトーへ向かった。


 ―――これが一連の流れである。




この事を玄庵は知らない。


それを今さら言ったところで、信じてもらえないだろうと悟り、空いた口をまた閉じてしまった。


また沈黙が続く中、そこで見かねた玄庵が口を開く。


「のう。セイメイ?なぜ脱退する前にワシに相談せんかった?」

「師匠はこの件に関しては無関係だ」

「そうだろうなぁ。ワシのように中立を保てば良かったのかもしれん。だがの、ワシもあのような場面に出くわしても同じ結果にはならんかった。それは、お主はすぐ人を信用する。それがお主のいい所であり、悪いところである。まぁ、仕方ないの」


セイメイはただ玄庵の言葉を聞いていた。


「それとな、YoShi光はワシに伝言を頼まれておる」

「え!?」


セイメイは思わず立ち上がった。


「まぁそうあせるな、座れ。お主は濡れ衣を着せられた。それは、ギルド資金を使ってギルド専用アイテムをギルド取引所に通じ運用した。違うか?」


「ああ、そうだ。やっておいてくれと言われたからな?」

「うむ。当時のギルマスに確認はとったか?」

「いや、その時は……その時、すでにログアウトした後だった」


「また、お主はミヤゾンの確認も取れてないのだろ?」

「ああ、言われるがままやっただけだしな」

「しかし、金額に狂いが出た。お主が動かした金額と“誰か”が同時に動かした可能性が高いわけだ?」


「俺がやったわけじゃない!」

「たまたま、初期設定のままだったお主を利用した」


「ギルド資金の利用制限をギルメンにかけられるのは、ギルマスのみと当時はなっていた。初期設定は青天井だからのぉ?その設定をし忘れていた事を知っていたミヤゾンは、それを利用した。今は加入と同時にゼロスタートになったのは、その後のデータの更新アップデートからじゃからな!」

「くっ……!!」

「まぁあれじゃな?右も左も分からない状態のお主を利用した。そして、責任を押しつけて失脚を図られた。たわいも無い事よ……」

「奴の術中にハメられたんだぞ!」


セイメイは堪らず立ち上がる。


「それより、YoShi光の伝言を聞きたくないか?」


玄庵はにやりと笑いセイメイに語りかけた。



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