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負け組エリートのギルドマスター~VRMMORPGで復讐主人公は最強を目指し全一ギルドをざまぁする~  作者: 齊乃藤原
第伍章【青は藍より出でて藍より青し。氷は水これをなして、水より寒し】
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第150話「サンライズ」

 ~ 港町・長嶋 ~


 ここはサンライズ列島における玄関口、長嶋である。



挿絵(By みてみん)




 サンライズ自体、日本をモチーフにしているといっても過言ではない。なんせサムライが生まれた国として位置している。

 行き交うNPCもどこかしらデザインが違うのは独特の文化を形成してきた我が国の賜物であるには違いがない。しかし、洋製日本であるように、我々日本人が見ていた日本とは違うところがある。


 ところどころ大きい建物に漢数字で描かれているのは船倉庫であるようだ。また、歌舞伎の浮世絵ににたデザインを駆使しているところにも驚かされる。


 これもまた日本を視察した内容やネットで拾った内容に影響を受けてのデザインなのだろう。

 この辺境ともいえる極東が人気なのはサムライもさることながら、この国を統治しているMikadoのギルドが占領で吸い上げている収益が他の地方より上位のランクに入るほどの国だからであろう。


 ここで軍備を整えて北や南を攻める事は容易である。奇しくも、どこのエリアでもどの職業で初めても、最初のチュートリアルのようなものは変わらない。ただ、公式のシナリオはあくまでアーモロトにおける難題シナリオを終わらせて世界を平和にするという話だ。


 だから、どこのエリアでもスタートしても、必ずアーモロトへ通ずるルートが存在している。


 特にサムライはある程度強くならないと国外に出るのはそのプレイヤーにかかる難易度をあげるという事で、実力をつけてからでないと厳しいといわれているほどデメリットもある。他職は平均的に進めやすいが、サムライは上級者向けというお触書きが公式でもあるように難しい。


 攻撃力・回避力ともに上位に入る一方、防御力が()なので、プレイヤースキルも求められてくる。


 なんにせよ、セイメイはココを出て、アーモロトに来るまでの苦難の道のりを、友と乗り越えてこれたというのは別の機会に話そう。




ここからは徒歩になる。セイメイの馬は黄竺の厩舎に預けてしまっているし、現地調達するのもあれだと思い、()の玉体が宸闕しんけつなされている帝都に向かうのだ。


───まだ、そこに師匠がいるはず。


長嶋を出ると、帝都まで時間がある。セイメイとユーグ、そしてルカの三人は道行くモンスターを狩りながら進んでいく。


ユーグは少しノリ気でいない。

長嶋と帝都を結ぶ商業都市がユーグとセイメイとの出会いの場所でもある。


セイメイはユーグに安心しろと肩を叩く。


「意外に女々しい野郎だな?あ!女々しいなw」


そういうと去年の事を思い出していた。


「ちょ!!それとこれとは違うでしょ?内容が!!」


膨れっ面になるユーグは少し動揺していた。なにせ、出会うきっかけのいざこざの仲介したのがセイメイ本人なのだから。


「まぁ仮に()()()()と鉢合わせになろうとも、俺もユーグも強くなってきている。今度は堂々と歩けばいい」

「た、たしかに……セイメイさんは強くなってますけど……向こうを追い抜いた成長を自分はしていませんから……」


気分が落ち込むユーグをセイメイは叱責する。


「おまえ甘えてんなよ?いい加減、俺だよりにする職でもないだろ?いつまでもピーピー鳴いているひな鳥じゃあるめーしよぉ?」

「あいつら強かったじゃないですか?セイメイさんだって、やられてたし……」

「そのあと、バックアタックで殺したじゃん?」

「あんなのは卑怯…者の…やることで……」


言葉に詰まるユーグをセイメイはさらりと言い放つ。


「ああ、俺は卑怯者だ。正面から戦わなかったからな?だが、戦略的には大いなる勝利だ。勝てぬ戦ならば、策を弄じるのは当たり前の事だ。今さら卑怯も卑劣もなかろう?」


「ま、まあそうですけど……」


「あのな、正々堂々やるのはスポーツなの!ゲームや戦場であれば卑怯もへったくれもないんだよ!勝つか負けるか2択しかない」


「そうですね……」


「煮え切らんやつだな?やつらはパワーで押してきた。同じパワーを持つなら互角に戦えるが、あの頃はそうじゃなかっただろ?」


「ええそうですね……。ムカついてましたし……」


「だから俺が潰すやり方をしたまでだ。ユーグ、お前はその真っ直ぐな考えは嫌いじゃない。だが社会に出れば、いの一番に抹殺されるだろう。気をつけろよ?」


セイメイは自分がまだ若かった頃の自分と重ねていた。真っ直ぐなゆえに周りとの軋轢を生む。これを今のユーグに伝えてもきちんと理解されないだろう。セイメイはその部分に関して諦めていたが、若さの特権である行動力を失わせてしまうため、あえて言わなかった。


しばらくして、和製のゴブリンが現れては倒しを繰り返していた。

ときたま、オーガのような鬼が現れては3人で連携して倒すというどこにでもいそうなPT狩りをしていた。


そして、ユーグはケブネカイゼのオーガ狩りを思い出す。


「北国に行った時より楽っすね!?」

「当たり前だろ?こいつらはその下位モンスターなんだぞ?」

「ですよね?今いったら、同じようにいけますかね?」

「ああ、恐らく楽だと思うぞ?お前も強くなっているし、ルカもいるからな?」


「あそこに行ったことで色々始まったんですよね?」

「まぁwマイナスの転機はその前から色々始まってはいたぞ?俺が遠征いったりしてな?もっとも?ソロモンと変なカタチで出会っていたというのも不思議な縁だぜ?」


それから昔ばなしに花が咲いた。


※このもようは【episode零(仮)】で記す。


そして、商業都市スイトーにつく。



~ 商業都市・水都 ~


数々の都や都市をみられる共通点の一つとして、治水ができている国は国力を表すと言われている。

それは災害から人を守り、人の営みを守ると同時に経済を守るということにつながるからである。そのうえでここ、水都は川の氾濫を抑え、見事に水の力をコントロールし生活水準を上げている。

どことなく、他の街に比べて服装は独特だが、煌びやかなデザインが施されている。それは、この経済を守るために行われた大規模な治水工事の賜物である。


現代においても、治水工事は人が生きていく上で死活問題にである。それと同時に自然環境の破壊に直結しがちである。そのイメージは高度経済成長期におけるゼネコンが配慮が足らな過ぎた。しかし、今日こんにちの現場はしっかりと工事を執り行い、近隣やその土地に住む地方自治体が議会で公表しているため、そこまで利権のものはなくなっているが、邪な代議士はそこに手を染めてしまうものもいる。


本来はこのような嘆かわしいニュースを聞きたくはないが、なかなかどうして人はわかってても誘惑に勝てないものだと悟ってしまう。


話はそれたが、ココ水都でセイメイはひとつ休憩を取るとした。


「おい、ユーグ?俺は落ちるぞ?」

「あー自分もそれ言おうと思ったんですよ!」

「あ、お二人とも眠いんですか?」


「まぁそうだね。ルカちゃんはどうするの?」

「一時的にログオフして、情報整理しています」

「そうなんだ!」

「まぁあまり変な事をするなよ?」

「マスター!私はそんなことしません!」

「そうかい?ならまた明日だ。おやすみ」


『おやすみなさい』


――――――――――――――――



時を同じくしてセイメイがアーモロトをたった後の事


~ アーモロト城 ~


クリスはログインすると、調べ物をしているソロモンをみつけてセイメイの居場所を聞き出していた。


「あれ?セイメイさんは?」

「わしもしらんでの?」

「わたしとの夕飯をキャンセルしてまでどこいったのかしら!?」

「嬢ちゃん、ようやく進展したんだな?」


クリスは顔を赤らめていた。


「まぁはたからみているとヤキモキしていたんでの!やっと時を動かしたって感じじゃぞぃ」

「ソロモンさん!!茶化さないでください!」


二人が戯れていると、スカルドと結華がログインしてくる。


「あれ?セイメイさんいないのかー」

「どちらに行ったかご存じ?()()()()さん?」

「さぁ?私にも言わずどこかいってしまったようです……私との食事をキャンセルしてまで……」


クリスはぶつくさと愚痴をいっていたのだが、それを聞いていたスカルドはぴくんと反応する。


「食事……ですって……??どういうことかしら??」


スカルドは取り乱しそうになるところをかろうじて理性を保っていた。


「あースカルドさん、うれしいようで悲しい話ですけど、今回はアイオリア(お兄ちゃん)の約束なんですよ?」

「アイオリアが……?」

「私一人ではさみしがるということで、お兄ちゃんの配慮です。なので、私は誘われていません」

「あんた……それで何回ぐらい食事したの?」


スカルドは拳を握り、ぷるぷると震えていた。クリスはそんなこともつゆ知らず淡々と報告していく。


「最初は兄と同行していましたけど、兄を見送った次の日に焼き肉屋いって……」

「焼き肉屋!!?」

「そうですよ!?次の日には……」

「次の日には!!??」


「なんなんですか?イチイチ反応しなくていいですよ?」

「な・ん・な・の・は!アンタの方でしょうがよ!!」

「はい?」

「はいじゃないわよ!どういうことよ!?」


「兄のお節介ですよ!当の()()は食ったらハイサヨウナラ、駅までは送ってくれるけど、半ば強引に見送りされるという感じですよ?」


「それで……あんたはおめおめ帰宅するということかね?」

「仕方ないですよ!そのあと帰ったらログインしろっていうんですからね?」


「えーっとちょっとまってwクリス!全く何もないの?遊びに行くとか?」

「あれば、お二人に一歩リードできるんですけどね?あの人は常に『俺は喫煙者だ。長くそばにいちゃあタバコ臭くなる、それに女性にはとくによろしくない』という理由で、たばこを我慢するのが嫌みたいで……」

「ほー。では全く何もないと?そのぶき使っているのに?」


と結華はクリスの胸をガン見し始めた。


「ちょちょちょっと!結華さんでも見過ぎですよ!!」


それを聞いたスカルドは鼻息を荒くする。


「んまぁ!あなたのようなガキんちょには見向きもしないってことよ!?おーほっほほほほほ!!」


クリスと結華はため息をついていた。


『あんたもそのガキと進展変わらんだろ』


ひさしぶりにアーモロトの時間はゆっくりと時を刻んでいた。

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