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負け組エリートのギルドマスター~VRMMORPGで復讐主人公は最強を目指し全一ギルドをざまぁする~  作者: 齊乃藤原
第伍章【青は藍より出でて藍より青し。氷は水これをなして、水より寒し】
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第149話 「それぞれの想い」

セイメイの後ろを追いかける様にユーグとルカは小走りに近寄った。


「せ、セイメイさん!」

「なんだ?」

「なんで最後煽っているんですか?もっと穏便に……」

「じゃあ、次、あいつらと当たったら真っ先に俺はタイマン張りにいけると思うのか!!?」


セイメイはユーグを睨む。


「いや……それは…」


「そうだ。叶わないんだよ!その辺の無法地帯フィールドでしか!俺に仕掛けられない!拠点戦はうちはできない!占領戦でしか戦えない!それを彼らに課す事がどれだけ厳しい言い方で上から目線になるかわかるか?」


「よくわからないです……」

「はぁ……」


セイメイは手を顔に当て深呼吸をする。


「あれはな、俺が自由に占領戦でギルマス同士の一騎打ちを許すはずがないのだよ。まずファウストやアイオリアが止める。その時点で戦略的に上策を用いるだろう。ましてや、優勢の状況下で一騎打ちなんぞ下策中の下策。

 さらにうちは今、無謀にも統一を目指すとかいうとんでもない事を考えている。彼らと占領戦のような公式で一騎打ちで戦う事はまずないだろう。ならば、思いっ切り斬り捨ててやるのも、優しさなんだよッ……」


目は怒りに満ちていたが声はどこか虚しさに聞こえていた。するとルカがセイメイに話しかける。


「お主がそう思うなら、もう一度、実際に斬り捨てやればいい」


―――蓬華モード……だな。俺はちょっとわかってきたぞ。


「だとすれば、この旅に時間をかけることになるぞ?早く行きたくないか?」

「むぅ……うまくかわせるようになったの」

()()よりルカの意見なら聞けたんだがな?」


ルカは歩くのをやめ、セイメイをみていた。


「ほう、お主、いつから気づいていた?」

「いつからって……?最初から?」


「……」


「というよりは種明かしの時間だ。そろそろ、ネタ晴らししてくれ。そうじゃないとメンドクサイ」


セイメイは()()に向けて言っていた。


「よかろう。私のアカウント消滅から日が経つ。おそらく()()()も気づいてないだろう」

「ほう?では、まもなく船場につく。船上で聞こうか?」

「いいだろう」


三人はサンライズ列島に向けて船出を待ち、NPCが運航する貿易船へと乗り込んでいった。



~貿易船~


あの伝説の続き、黄竺の次王、すなわち弟君は病弱だったそうだ。そのため異国の話を聞くことに大層夢中になっていたそうだ。それによりサンライズとの交易を盛んにし、また北東の僻地や南の高度な文明をもつ失われた大陸アトランティスとも盛んに行われた。


このことにより、富を増し泰平の世を礎を築くことになる。


しかし、代行者プレイヤーのゲーム性はものの見事にぶち壊していく。それも面白さの一つでもあるが、皮肉なものだ。別の人種によって戦火はやまない。


陸を離れて数分、セイメイは樽の上に腰かけてルカをよびつけた。


「さて、これで誰にも邪魔されずに話が聞ける。さぁ聞こうか」


セイメイの表情はいつになく真剣だった。


「よかろう。私が電子データの海に消えゆく時にルカに埋め込まれていた残滓ざんしを見つけた。それは妲己によるコントロールプロトコルの一種だ。それを意識が遠く前に書き換えて意志だけでもコピーしてこの世界に留まらせたのだ」


「ほう?AIにしちゃあやけにご都合主義だな?」

「愚かな人間より天と地ほどの差がある知能をもつ我らにこれぐらいの改ざんは容易い」

「それで?」


「うむ。このことにより、ルカのAIデータに私のデータを進入させた。そのことにより、一種のバグが発生する。そのバグ利用して、本来つなげるべき回路を一時的に麻痺させこちらのデータへアクセスさせるように仕向けているということだ」


「なるほどな。わかりやすく言えば、脳ミソを埋め込んだということだな?」

「フン、粗削りだがそういう事で認識が共有されるのであれば、その表現でよかろう」


「ん?てことは魔導士とネクロマンサーの両方が使える?ということか?」

「使おうと思えば使えるが、()()に特定されてしまう。それは困るので極力さけさせてもらう」

「やつら?とは?」

「お前も知っておろう?リンク・オッデセイ社の運営チームじゃ」

「あそこも絡んでくるのはなんとなく想像の範囲だったけど、そんなにか?」


「アカウント管理も彼らの役目であろう?それに私らはあのグスタフを製作したプログラマーの派生版といっていい」

「にわかに信じがたい。そもそも学習型AIに……!まさか!?」


「え?なになに?俺全然わからないんだけど??ww」


驚くセイメイと話の流れがわかっていないユーグをルカ扮する蓬華は驚かした。


「AIがAIによる自発的ハッキングしプログラムを一部書き換えたといいたいのか?」

「さすがセイメイ、私に破壊者と言わせたニンゲンよのぉ?」


「そうだ。AI単体での可決はほぼ正解であろう。だがしかし、もう一方の空きのあるスペースに独自のAI回路を作成させることによる可決内容を否決に追い込む事も可能になるということじゃな?」


「でもそれは制限下においては……!」

「違反として、はじかれる事になる」


―――それ以上にAIが葛藤するという人間じみた“心が再現”できてしまっているじゃないか!?


セイメイはそういおうとしたが、ぐっとこらえていた。


「ま、まぁどっちしろ、()()()()ってことでいいんですよね?」


ユーグは二人を取り持つかのように話しをまとめようとしていた。


「そうじゃな。そういう事にしておく方がよかろう。それよりこれは他言無用、ソロモンにも無用じゃ」

「おい、ルカがしゃべるかもしれんだろ?」


「ヤツはしゃべらん。なぜならメモリーは共有されておるからな。ただ喋った内容までは残されない様にしている情報だけが蓄積されていくだけで、支障がでない」


「けっ、用意周到だな?嫌いじゃないぜ?そういうスタンス」


セイメイは苦笑いをしていた。だが、どこかしら安堵の表情を覗かせていた。ユーグはセイメイの表情をみて少し落ち着きを取り戻していた。また、蓬華はというと、ルカであるがゆえの葛藤はなくそろそろ入れ替わるといって目を閉じてしまった。


セイメイは海を眺めていた。


セイメイが生まれし誕生の地、それがサンライズ、スメラなのだ。


遠くを見つめていた。



―――――――――――――――――――



~ アメリカ合衆国・カルフォルニア州・シリコンバレー ~


ここシリコンバレーではIT産業の隆盛はアメリカ経済復活の狼煙を挙げた事により、ベンチャー企業や大学、政府などの働きかけによってIT産業が成熟する基盤が築き上げられ、そのうちの幾つかは着実に成果を上げ、成長を遂げた。それに従い、シリコンバレー各地で、大成功の象徴であるシリコンバレーに肖り、愛称や俗称が付けられているようになっている。


つまり、ITの成功者が集う街として発展をしていった。


ここに降り立っていたのは、あのアイオリアだった。アイオリアはスーツではなく、ラフなジャケット羽織り自動運転の車に乗り荷物をトランクに入れて走っていた。


「Hello!リチャード!」

「だれかと思えば、レオじゃないか!こっちにきてたのか?」

「そうだね!日本から帰ってきたばかりだよ」


自動運転の車にデバイスをリンクさせたアイオリアはハンドルについているセンサーに指示を出して目的地までシートをたおしていた。


「それで今回はどんな要件なんだ?」

「リチャードが弁護しているリンク・オッデセイ社の件で知りたいことがある。なぁに監査官としての定例監査だよ」

「レオも大変だな~。いいだろう!今日の夜、いつものバーで落ち合おう!」


「いいぜ!日本の酒は好きか?」

「レオ!気が利くな!そしたら、ジャパニーズレストランにしよう!」

「いつものように君と酒が酌み交わせるのが、嬉しいのさ」

「女も呼ぶか?いい女呼べるぞ?俺の肩書でケツふってくるメスが腐るほどいやがるからな!」


「そんな尻軽より、大事な女がいるだろ?リチャード!」

「ああ、そうだ。レオ、おまえにはかなわないな?ハハハハ!」

「まぁ積もる話もお互いあるだろう?酒のツマミにして盛り上がろうな」


「OKOK!予約したレストランをあとで送る。遅れるなよ?俺の日本酒が恋焦がれちまうからよぉ!」

「いってろ!またな!」


そういうと電話を切り、サンフランシスコにある宿泊予定のホテルへと向かっていった。



―――さぁてと、忙しくなるな……



ダッシュボードに閉まってあるP90とサイレンサーを取り出し携帯していく


アイオリアの目的が今明かされる……!

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